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心に残るドキュメンタリー映画/火事場の馬鹿力Part2

ドキュメンタリー映像が好きでよく見るんですけど、最近印象に残った映画を紹介します。アマプラビデオです。

『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』

リンダ・ロンシュタットってみなさんご存知ですかね? 1970〜80年代に主に活躍した超絶美しくパワフルな歌声を持ったアメリカのミューズなんですけども。ヒット曲がべらぼうにあるので、1曲でも聴いたらすぐに「ああ!」と膝を打つと思います。

YouTubeオフィシャルビデオより『ブルーバイユー』(LIVE版)

私にはそれらのヒット曲ぐらいしか馴染みがなかったんですが、映画を見て彼女がカントリーやフォーク、POPS、ロックのほかに、ミュージカルオペラジャズまで歌っていたと知り驚愕しました。発声方法が全然違うのに「歌ってみたい」という理由だけで猛特訓し、その世界のプロをも唸らせる実力を発揮していたのです。

さらには「こればかりは習得が難しいから諦めて」と言われたメキシコの伝統曲(日本で言う民謡みたいなやつ?)にまでチャレンジし、早口言葉並みのスペイン語で見事歌い上げ、劇場に集まった観客から大喝采を浴びました。

こうして書くと彼女が常に自信満々な天才歌手のように見えますが、等身大の彼女はとても控えめで、自己評価も低かったそうです。「私よりも歌のうまい人は大勢いる」と言い、アリーナコンサートで最前列の観客二人が内緒話をしている姿を見ると「私の歌が下手だと悪口を言っているに違いない」と本気で落ち込んだとか。

そもそも人前に出るのが苦手。でも歌うのは大好きだから、そのためならなんだってやるという意欲を持ち続けていたらしい。(彼女自身の思い込みによる)実力不足を補うために、それこそ血の滲むような努力を欠かさなかったため、結果後世にまで語り継がれる素晴らしい歌声を数多く残すことになりました。

現在70代後半のリンダ・ロンシュタットは、いまから10年以上前に現役を引退しています。理由はパーキンソン病の罹患。7色の声が思うように出せなくなり、いまは家族と穏やかに暮らしているようです。

天性の才能に人生を捧げるほどの努力を重ねるとこんな名作が生まれるのか! といたく感動しました。大ステージに立つ輝かしい外見と、自信のなさを隠さないありのままのリンダの姿を、素晴らしい歌声と共に楽しめる映画。おすすめです。

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