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木登りモドキ

わたしは毎晩20時すぎからの1〜2時間を
夜の公園で過ごした。
モドキが夜ごはんをもらうのは19時半。
わたしが公園に到着する頃には既に食べ終わっている。
公園を寝床にしているわけではないので
食べるためにわざわざ
車が通る4m道路を横切ってやってくる。
どこからきて、どこへ帰っていくのか。
何度か後をついて行ったけど
同じ民家の駐車場から暗闇に消えていった。
もしかしたら違うところでも
違う名前で可愛がられているのかもしれない。
そんな風に思うことも、最初のうちはあった。

いま振り返ってみると
モドキと会えなかったのは
ほんの何日かしかなかった。
食後にちょっと出かけて
しばらくして戻ってきてみたり
何かの用事を急に思い出したみたいに
走って帰ったりすることもあった。

1度だけ、勢いつけて公園の木に登ったことがあったけど
あれは、いいところを見せたかったんじゃないかと思う。
上ったはいいけど、どうやって下りるのよって
困り果てた顔、忘れられない。
しばらく下りられなくて、
そのうちに木の下に他の猫たちが集まってきて。
あのとき、初めてモドキを心配した。


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