見出し画像

UIで見る「オクトパストラベラー2」

概要

最新技術で懐かしいRPGの魅力を再創造するという独自のコンセプトが高い評価を得た「オクトパストラベラー」の続編。美しいHD-2Dグラフィックが洗練された作品。

購入情報

開発元:Square Enix, ACQUIRE Corp.
パブリッシャー:Square Enix
発売年月日:2023年2月24日
レビューVer:1.1.0
Steam URL: https://store.steampowered.com/app/1971650/_II/

全体的なUI・アートワーク

前作から非常にレベルが高かったピクセルアートを豊かな 3D 環境で表現する「HD-2D」表現は素晴らしいの一言。前作よりもさらにドラマチックに感じる理由は「ドットの密度を限界まで高めている。」とのこと。

『オクトパストラベラーⅡ』は、その見事な HD-2D スタイルで、より大きく、より大胆な世界を創り上げる
https://www.unrealengine.com/ja/developer-interviews/octopath-traveler-ii-builds-a-bigger-bolder-world-in-its-stunning-hd-2d-style

被写界深度のボケ表現と巧なライティングで奥行きある世界が表現されている

メニュー画面

「世界地図」画面

ファンタジー地図として細部まで書き込まれたあしらいとゲームならではのアニメーションが非常に美しいデザインに旅情がそそられる。

水面はきらめき、枠部分の日時計はアニメーションする

各ランドマークは街道に沿って配置されている。外れた場所にも意味深に書き込まれた建物や遺跡のようなものがあり実際に何かあるので、地図をゆっくり眺めて散策する時間も非常に楽しい。

一方で現在地表示がランドマーク毎でしか表示されないため、ポイント間の詳細な位置は掴みづらい。

旅の記録(ストーリー確認)画面

ステンドグラスとスポットライトの舞台的な表現が美しい。他の画面でキャラ選択は縦並びのタブなので独自のこだわりを感じる。

ずらっと横に並ぶ各キャラの意匠が壮観
選択後は他画面と同じリスト表示


「アイテム」画面

「入手順」から各種装備までアイコンが付与されている。消費アイテムの名称が効果が明示されいて分かりやすく好印象(例:HP回復のブドウ、暗闇の治療ハーブなど)。

アイテム一覧から装備品を直接身につけられるのも便利。

入手順-カテゴリ別で分かれていて特に迷うところはない
きっちり装備補正も表示してくれるので問題なく利用できる

「装備」画面

「おすすめ装備」「装備ロック」が可能。装備品選択時にはステータス補正値が表示される。他人が装備している武器はパーティ内メンバーであっても付け替えできない。ジョブは付け替えが可能なのでこちらも対応してほしかった。

ロック機能は地味に便利

「回復アビリティ」画面

シンプル。そもそもフィールド上で使える回復アビリティは少ない。

「ジョブ」画面

各キャラ固有の「ベースジョブ」に加えてサブクラス的な「バトルジョブ」を選択する画面。ジョブによりステータスが変化するため装備品と同じく補正値が表示される。また、各ジョブごとに最大3名が同時装備できるため、他の装備者もアイコン表示され満枠時はキャラを選び付け替え可能。

キャラ絵がリング上にリスト化されている。空きスペースから隠しジョブの存在がそれとなく示されている

「アビリティ」画面

ジョブアビリティを規定数取得すると新規サポートアビリティが解除される仕様。取得流れから見てもジョブ / サポートアビリティ画面の移動には画面を「戻る」必要があるのが不便。他画面と同じくタブ切り替えか、同一画面で設定できても良いのではと感じる。

JPが一定以上貯まると新規ジョブアビリティが獲得できる
次に一定数のジョブアビリティを習得すると新規サポートアビリティが習得される
画面を戻る必要がある。ジョブアビリティは「習得」サポートアビリティは「装備」という概念なので画面内切り替えを採用していないのかも


ステータス画面

ステータスは閲覧のみ機能なのでキャラにカーソルを合わせた時点で表示される。キャラごとにアクション / パラメータが表示切り替えできるが、タブの様な選択UIは明示されずボタンのみで行う。画面右下の説明テキスト箇所に操作が説明されるだけなので切り替えできることに気づかないユーザーがいそう。

ページ切り替えにタブは明示されない

ショップ画面

基本的にアイテム画面と同じくカテゴリとアイコンでまとめられていてわかりやすい。補正数値が参照できるが、上述のアイテム画面からの装備選択時は4行表示されるのに対して同じ構成要素なのにこちらは3行。そのためか同じ武器でも表示される項目が違うのが気になった。

影響度が大きい項目が優先表示されるのかも

酒場ではパーティメンバーの入れ替えやストーリーの「開始」が可能。というかストーリーがキャラ個別に紐づいているので、該当キャラがパーティにいる状態で街に入った瞬間か酒場に行かなければ開始できない。

また酒場ではメンバー全員の装備変更が可能だが、ここでも装備の付け替えができないため既に誰かが装備している武器は一旦外すか変更して空けなければならない。上述のストーリーがキャラ固定の件もあり、メンバー変更を頻繁に行うため不便。

フィールド画面

基本要素とUI

各マップは広くはないものの、高低差をに富んだフィールドやダンジョンでは脇道や隠し通路の先にある宝箱などが程よく見えるよう設計されているので「行ってみたい」を刺激される設計。基本徒歩移動となるが効果音、特に足音のバリエーションが多彩でフィールドの臨場感が高く移動自体が心地よい。

主要ルート以外には大抵宝箱が設置されている

水の表現がドットとの調和が取れていて大変美しい(ファミコン・スーファミ世代のRPGは水の表現でグラフィックの進化を謳っていたのを思い出す)。一方で航海画面はフィールドが簡略化されているためか奥行きが少なく、「見えない壁」で移動不可エリアが多いのもあり窮屈に感じてしまう。

海はフィールドに比べて平坦で簡素に見えてしまう

ミニマップ

画面右下にはミニマップが表示される。周辺のランドマークが表示される他に物語やクエストの目的地まで表示されるので便利ではあるが、探索の趣を損なってしまう感がある。

いささか親切すぎるミニマップ

会話表現

会話は吹き出しで表現される。雰囲気のある字幕風フォントと話者を表すゴシック体の切り分けが明確で読みやすいが、個人的には吹き出しUIは話者が明確なので思い切ってセリフ前の名称は不要で良さそう(好みの範囲)。会話のオート、スキップの切り替えが簡単で便利。

趣がありつつ可読性も確保されたフォントだと感じます
回想やモノローグは画面全体が装飾されます

フィールドコマンド

各キャラクターの個性を体現した「フィールドコマンド」は、都度メニューを開き使用キャラを選択する必要がある。

NPCに接した時点でコマンドと実行済/不可などが分かる

会話できるNPCにはほぼ利用できる。更に昼夜で使えるコマンド変化するため、作業感が非常に強く何とか実行までの手数を減らして欲しかった。

コマンドにより実行可能レベルや成功率の表示も必要なので仕方ない面も

戦闘画面

基本要素とUI

オーソドックスな横視点コマンドUI。アニメーションはかなり派手で敵はボスや一部雑魚敵のスキルはアニメーション表現されるので古臭さは全く感じない。カメラがゆっくり左右に揺れる演出でコマンドメニューも同期して左右に揺れているため若干冗長に感じる。(キャラステータス表示は固定)

オーソドックスなコマンドUI

行動順表示

一律タイムライン表示ではなく現在/次ターンが左右で分けられている。行動順を遅らせるスキルの効果が次ターンから有効だったり、ターン区切りの影響は大きい。

タイムラインとは似て非なる感覚

ポイントで表示で管理が容易なBPと、ゲージ表示のため次の行動でMAXになる確証がなく適度に緊張感がある「底力(切り札)」の表示切り分けが上手い。バフ・デバフはアイコンにはテキスト説明がなく数値表記も持続ターン数なのか重複数なのか迷う場面も。

一般的でない状態が分かりづらい

回復魔法など自キャラを選択する際の矢印が対象キャラ以外に掛かっている様に見えてしまうことがあった。(選択キャラにはハイライトが入るので間違って実行するまでには至らなさそう)

画面が暗いので判別しやすいが、矢印がオズバルドに当たっているように見えます

弱点表示

弱点アイコンの枠数がデフォルトで見えており、かつ固定順なので順番を覚えていれば未開封の弱点を予想、箇所によっては特定できてしまう(救済措置かもしれない)。BREAK時の表現は画面表現・バイブレーション共に派手で分かりやすい一方で雑魚戦からBREAK前提のバランスなのでだんだん冗長に感じてしまいがち。

弱点一枠目が「斧」なので剣・槍・短剣は弱点では無いことが分かってしまう

その他

  • キーボード操作のキー割り当てが「C(Cancel)「M (Map)」「R (Rador)」など一般的な単語の頭文字が当てられていて理解しやすい。

アクセシビリティ対応

特になし。スムーズにプレイできるよう、演出を制限する設定は用意されている。

設定できる部分は細かく調整できる

まとめ

作品の世界観や旅情あふれるビジュアルを活かした部分と機能面に徹したUIの使い分けが上手く、ブランディングに寄与しながら使いやすさもしっかり支えられている印象。ただ部分的にUIとしての一貫性が欠けていたりユーザー工数を強いられる操作があるので、まだまだ改善の余地があると感じる。

サポート頂いた日は、いつもより美味しい猫缶をごちそうしてもらうにゃ⭐︎