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手放す#2 3歳だって空気読む

前回に引き続き3歳の記憶。

母は自宅でピアノを教えています。
子どもたちが幼稚園や学校から帰ってくる時間くらいから仕事が始まります。

私は母の仕事が始まると、ずっと1人で過ごしていました。
何をして過ごしていたかあまり記憶にありませんが、塗り絵が好きでした。
当時はまだ兄弟もいなかったのですが、特に寂しいとかそんな感情はなかったように思います。
ただ、本当に困っていたことがありました。

我が家は2世帯住宅で、1階に父方の祖父母の住まいと母のレッスン室があり、私たち家族は2階で生活をしていました。
同じ家に住んでいますが母と祖父母の関係は最悪で、とにかく母は祖父母を嫌っていました。
私はずっと祖父母と関わらないようにしつけられていました。

でもそんなん無理ですよね。
一緒の家におるんやもん。

母がレッスンをしている間、私が1人なのを祖父母はもちろん知っていて、たまに様子を見に来てくれました。

普通なら喜ぶところですが、そういう訳にはいきません。
だって関わるな、話をするな、と言われているから。

母にばれたら怒られる。
でもおじいちゃんおばあちゃんは心配して見に来てくれている。

嬉しいとかそういう気持ちは全くなく、とにかくどうしよう、という気持ちでいっぱいでした。
話をしてはいけない、でも話さない訳にもいかない。心配して来てくれとるし。
3歳ながらここはどうするべきか、めちゃくちゃ考えて、とりあえずお菓子くれたしありがとうって言おう。
でも母に見つかる前に1階に降りていってほしい。
あんまり余計なことは話さないでおこう。
なんてことをハラハラしながら考えていました。

めちゃくちゃ空気読むやん。
3歳なんてまだなんも分からんと思いがちですが、結構色々分かっとったし考えとったなって思います。

こんな記憶があるからか、私はこれくらいの年齢の子どもと話す時、大人とまではいかなくても、小学校高学年くらいの子と同じような話し方をする癖があります。
「こいつこんなちびっこいけど、実は色々分かっとるんちゃうか」みたいな気になるんですよね。
で、子どもって興味深い生き物やと思ってるんで、友達の子どもとかすごい色々聞きたくなります。
今何が好きなん?とか、なんでそれ好きなん?とか、どー思ったん?とか、質問すごいする(笑)
子ども面白いですよねー。

何の話?て感じですが、とにかく3歳の私はびっくりするくらい気使って生きとったんやぞ ていう話。

しかもこんなに気使っても結構な確率でバレて怒られる。

今の自分のままあの時に戻って言ってやりたい。
「知らんがな」と。
同じ家におるのに関わるな、話すなとか無理に決まっとるやん。
そんなに接触させたくないなら柵でも作って入れやんようにすれば?
嫌なら別に住めば?
って。

こんな事が言えたらよかったのにな。
あの頃はとにかく我慢我慢で、だんだん言いたいことが言えない人間になってゆくのでした。

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