なんで勝てない? セビージャ不振の理由
すみません。企画変更で今回はコチラ。
セビージャ 不振の理由は何?
■一体、何が起きているのか
名門の危機です。
リーガの第2勢力であったセビージャが降格危機に瀕しています。ここ3シーズン連続で4位フィニッシュ。19/20のELで優勝するなど、欧州での実績も充分なアンダルシアの雄。19節のエルチェ戦で3-0の快勝をしたことで13位に浮上したものの、実はその前まで19位と降格圏に沈み、今節は勝利しましたけど、降格圏18位のカディスとはわずかに勝ち点差2の21。ちょっと信じられない成績です。
メンバーも決して悪くはない。カタールW杯で大躍進したモロッコ代表のGKヤシン・ブヌ。W杯ではボノと表記されていましたが、発音的には「ブヌ」が正解らしいのでここではブヌで。あと同じモロッコ代表としてポルトガル撃破に大貢献したユセフ・エンネシリ。あとはセビージャではキングのイバン・ラキティッチに元スペイン代表で今はSBやってるヘスス・ナバス。東京五輪スペイン代表のラファ・ミルに、あとあのアドナン・ヤヌザイもいました。
タレントの質に関しては順位が順位でもレベルは高いです。では問題の本質はいったい何なのか。
■補強の失敗
今季のセビージャの不振の原因は、やっぱこれに尽きるのではないかと。夏のマーケットで、セビージャは核となる超重要人物2名を放出しました。CBのディエゴ・カルロスをアストンビラへ、ジュール・クンデをバルサに出しています。軸になるCB2人を同時放出すれば苦戦は必至だよなぁと。それに代わる補強だったはずのマルコンはほとんど出ていない。バイエルンから来たタンギ・クアシはまだ20歳と経験が浅いながらもこの苦境下で最終ラインの統率役をやることに。厳しい台所事情です。
そして補強の失敗はまだまだ。それこそソシエダから来たヤヌザイは戦力になっておらず、今夏の目玉でもあったイスコはたった半年で契約解除という流れになりました。敏腕モンチの魔法もここまでか。
■やっちまったぜロペテギ
今はサンパオリが復帰していますが、少し前まではフレン・ロペテギでした。セビージャの歴代最高勝ち点にEL優勝をもたらしましたが、今季はスタートダッシュに失敗。CB2枚を引き抜かれたとはいえ、ここまでガタガタに崩れたのはなぜか。
振り返ってみます。まずは守備問題から。リーガ第4節バルサ戦です。
レヴァンドフスキの得点シーンなんですが、ここでクンデ持ちます。
エンネシリやっちゃいました。1発で簡単に置いてかれるのはマズいんですけど、この時点でセビージャの組織守備がなっていないんですね。
別角度から見てみます。クンデ持ちました。エンネシリがあっさりかわされるんですけど
一応442のブロックは出来ています。エンネシリの対応は論外っちゃあ論外なんですけど、ミドルプレスとファーストプレスが全くなっていない。
ハッキリ言うと、絞りが遅くて1人抜かれたらやりたい放題なスペースが広がりすぎ。イスコは多分、ブスケツへのパスコースを切ろうとしていたんだと思うんですけど、で、エンネシリのカバーはラキティッチっていう考えだったと思うんですけど、これ逆。仮にブスケツに入ったとしてイスコは間に合ってないし、後ろからのプレスなんでブスケツはトラップ1つで前向けちゃう。ここではクンデに前進を許してはいけないです。ならばラキティッチよりイスコ。そしてラキティッチももっと中に絞るべき。
結果的になんですけど、動き出したレヴァンドフスキに簡単に抜けられて
クンデに簡単に前進を許せばどこにでも配給されることぐらい、昨シーズンまで同じチームでやっていたのだから分かっていたはずです。イスコが加わったことで、イスコも頑張るけど強度が強いわけではないのでプレッシングの精度は落ちるんですけど、昨年からセビージャはミドルプレスが弱い点が多くて、力の落ちたラキティッチもいるという点も無きにしろあらずですけど、昨シーズンは最後の最後でディエゴ・カルロスとクンデがいたので瀬戸際で防げたんですけど、それが今季はない。
それでミドルプレスが機能しないとなれば、ロペテギでなくとも取るべき手段はありますよね。
「引いて守る」
その後も、あんまりにも勝てなかったんで遂に禁断の術『5バック』を導入。だけど、ロペテギが引いて守るとか5バックとかで上手く守りきれたことは多分ない。昔ポルト率いていたときにCLでバイエルンをホームで打ち負かしたけど、アウェイで守りに入ったらアホみたいに点獲られたイメージが強い。それまでもスペイン代表とかレアルとか、U21スペイン代表とかでも。いずれのチームでもイスコとか、U21代表では今リーズにいるロドリゴやベティスのセルヒオ・カナレスといったファンタジスタ系を扱うのがメッチャ上手い。セビージャでもオリベル・トーレスやエリック・ラメラみたいな王様タイプを共存させてバランスを保つのが上手く、それで上位争いできてたわけですが、核を失われるとアララと。
■ポゼッションできない? オフェンスの問題点
ロペテギのサッカーというと、ポゼッションのイメージが強いです。前回にバイエルンのサッカーを紹介したんですけど、割とそのサッカーに似ている。システマチックというわけではなく、個の質の部分をフォーカスして、それを生かすような、そんなサッカーです。
なので、ロペテギファンの方にはもしかしたら語弊が生まれるかもしれないんですけど「ポジショナルプレーではないよな」という感じ。僕はロペテギのサッカーは好きですよ。でも、少しでもカオスが生まれるとその後の修正は難しいかもなとは思います。
結論言うと、今季のセビージャは失い方が悪すぎる。ファンタジスタ系を並べるということは、引き換えにプレスの精度を落とさざるを得ない。それをカバーするためでもポゼッションは大切になるんですけど。
ちょっとそのシーンを見てみます。第6節ビジャレアル戦から
サイドのヘスス・ナバスからイスコに落とすシーンですね。
イスコがボールもらってターンしました。
ターンはしたまではいいのに、サポート体制がないというか。相手ブロック内に味方が"埋め込まれている"という状態なので、仮にイスコが強引に突破できたとしても前に受け手はいなかったなと。この場面は運よくここでファールもらえました、ハイ次。
1番奪われてはいけない場所で奪われちゃった。この後はマジでエグイカウンター喰らった。
イスコの場面もそうなんですけど、なんか距離感悪くない?ビルドアップの場面でも、クンデとかラキティッチに依存していた部分が多かったんじゃないかと思うくらい前進できない。だから中盤でサポートない孤立状態でボールを受けるもんだから変に失ってカウンター喰らう。オイオイ。
■サンパオリはセビージャを蘇らせることはできるのか
さて、5年ぶりの復帰となったサンパオリですが、正直な意見言っていいですか。サンパオリって、優秀な副官いないとあんまり成績残せないイメージあって、前回はリージョが副官でいましたけど、今は誰なんですかね。
そんな現在のセビージャはサンパオリの下で復活できるか。第18節のカディス戦から
5バックスタートの左CBであるフェルナンドが上がり、ボールはラキティッチに。内側に空いたスペースをラメラが突く
ラキティッチから中のラメラへ。
ちょっと流れてしまいましたね。ただ逆サイドにはスペースが空いています。
オリベルが拾ってナバスがさらに拾う
ナバスがドリブルで運ぶ。サイドに出たオリベルの前にスペース。
はい先制!と思いきや、オリベルが戻りオフサイドということでノーゴール。ただいい形ではありました。
サンパオリのセビージャについて正直な感想です。攻撃の仕組みに関してはロペテギの方が何倍もある。ただ、状況が状況なんでサンパオリはノーリスクでシンプルにサイドを使った攻撃が多い。このシーンはCBが飛び出ていましたが、元が5バックなんで1人出ていったからといってリスクは最小限にはなってる。
カディス戦は89分にラキティッチがPK決めて辛うじて1-0の勝利。サンパオリは
サイドをシンプルに使うのならば、エンネシリの復活は必要条件。W杯ポルトガル戦の印象が強いことで意外に思われるかもしれないんですが、前節のエルチェ戦でやっと今季初ゴールを決めたぐらいに点が入らなかった。サイドを搔い潜ってならば長身のエンネシリは必要でしょうし。今季は最後まで苦戦はするでしょう。今季残りは我慢ということで。
次回予告
まもなくELプレーオフ!
バルサがマンチェスターユナイテッドに勝つための必勝法を探す!!
Thank for watching!!
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