見出し画像

【第2話】彼女からデートの誘い

ひきこもり

彼女とお店で出会ってからは
お酒を一時的に経ち、キャバクラに行くこともやめた。
理由は、子供との時間を増やしたかったからだ。

当時は月に2回、子供達に面会するために名古屋に1泊していた。
小学生だった二人の娘が別れる直前になると大泣きする姿を見るのが
とても辛く、もう少し頻繁に会えるように
近くに移住が出来ないか考えていた。
ただ、自営の仕事とはいえ、東京から遠く離れた場所で移住して
今までのように仕事が出来るか不安もあった。

そこで悩んで考えたのが
ノートパソコン1台あればどこでも稼げる仕事
ようするに、不労所得のことである。
ソフトウェアの開発が仕事なんだから、不労所得みたいなもんじゃないか?
って思われる方もいると思うが
実際には時間的な制約も多く、完成して納品できるまではお金ももらえず
仕事によっては、土日も休めないことが多かった。
自宅でできる仕事とはいえ、仕事をもらう身分としては自由ではない。

まず始めたのは、FXである。
1ヶ月ぐらいはデモの取引口座で勉強をし、為替の基本的なことや
為替に影響する世界の情勢などを頭にたたき込んだ。
暇さえあれば、チャートを眺めて相場の動きを理解。
食事の時でさえ、スマホ片手に眺めていた。
そんな状態だったので、彼女から何度か誘いがあったが
丁重に断り続けていた。

昔から何か目標を決めると、常に損得勘定で判断するクセがあり
その時は彼女よりも、自分の将来の事が優先されていたんだと思う。

FXでも少しずつ稼げるようになった時に
彼女からLINEでメッセージが来た。
「次の日曜日にフルーツパーラーでパフェを食べませんか?」
少し、気持ちに余裕が出来たのと
何度か誘ってくれる彼女に申し訳ないという気持ちもあり
すぐに返事した。「ぜひ、行きましょう」と。

そう、この時点で彼女とお店で出会ってから、半年近く経過していた。

初めてのデート

軽い気持ちでデートをすることになったけど
別居してから外出することも減り、デートに着ていくような服がなかった。とりあえず、ユ●クロで適当な服を購入して
シューズはA●Cマートで買ってきた。

結婚してからは、ユ●クロで服を買うことが多かったので
デートするからといってブランド品の服ではなく
ユ●クロを選択してしまうのは、おじさんなんだろうな。

彼女とは昼すぎに新宿で待ち合わせ。
目が合った瞬間、初めて会った時と同じように
眩しい笑顔で迎えてくれた。
久々に味わうドキドキ感だった。

カフェでランチを食べて、フルーツパーラでパフェを一緒に食べた。
不思議なことに、25歳も離れているのに
まったく年齢差を感じず、話しが尽きない。

食べ物の話から、テレビドラマの話
そして、別居中の子供達の話しまで、彼女とは何でも話しが出来てしまう。
何かあれば、彼女なりにアドバイスもしてくれる。

ただ、冷静に考えれば
水商売している彼女だから、話しを合わせられるのは当然
だから、心の中では適度な距離を保とうと思っていた。
この時は、まだ恋愛感情は持ってなかった。
年齢の離れた友達みたいな感覚だったと思う。

パフェを食べた後は、雑貨、洋服のお店を見て回ったりして
傘とティーポットを買ってあげた。
夕飯は焼き肉を食べた。
初デートに焼き肉ってどうなの?って思われるだろうが
彼女からのリクエストだった。
駅までの帰り道にゲームセンターがあり
ちょっと寄り道して、一緒にクレーンゲームで盛り上がった。
楽しい時間を過ごして、駅で別れた。
お互い別々の電車に乗り、家に着くまでも間は
LINEでメッセージのやりとりをしていた。
「今日は楽しかった。すごく気が合うから、また会いたい」
そんなメッセージが彼女から来ていた。

いつものなら
最寄り駅から誰もいない自宅まで歩く時間が苦痛だったが
この日は、そんな事を忘れてしまうぐらい
充実した日だった。
あんなに笑ったのは何年ぶりなんだろう
そして、あんなにおしゃべりしたのは
いつぶりだろう?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?