![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68327076/rectangle_large_type_2_d519b316f17db770564392ba548f50bc.png?width=1200)
Photo by
noouchi
10周年
「田丸先生、来られないって」
「そうか。残念だなぁ。まぁ、仕方ないか。急にお誘いしたし」
ここは都内一流ホテルのパーティ会場。
ショートショート作家、田丸雅智氏の作家業十周年を祝して、大勢のファンが集まっていた。
会場には祝辞や差し入れ、イメージカラーの青い洋酒壜なども届き、華やかだ。
しかし、主賓の田丸氏は多忙を極め、やむなく欠席するとの事であった。
「残念だが、とりあえずカンパイしよう」
「皆さん、グラスをお持ち下さい」
「カンパーイ!」
一口飲んだ次の瞬間。みな青い海の前に居た。
「一体これは……?」
「何とかマッピングとかいうやつ?」
「いや。本物だ」
郷に入っては郷に従え。
皆、子供のようにはしゃぎ、青い海を堪能し、これ以上ない程に笑い合う──そして気付けば元の会場に戻っていた。
「今のは何だったんだ?」
「あっ!」
「どうしたの?」
「お酒の壜にこんな手紙が」
"海酒の味はいかがでしたか? 田丸雅智"
(了)
※本作は以下の企画に参加しております。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?