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読書メモ:F『20代で得た知見』
個人的に刺さった断片たち。適宜途中に感想を挟む。
死にたさの類は消えない。だから、諦めて飼い慣らした方がいい。
最も痛々しい思い出が、それでも一番美しいのです。
なにやら自信満々な人間に憧れなくてよい。いま光っているもの、眩しいものには憧れなくてよい。嫉妬しなくてよい。本日の流行なんて、来月は誰も覚えていません。 同じ理由で、一位を目指す必要もありません。面白い二位が結構長生きしたりする。 死ぬ間際、あぁ楽しかったと思えるのが理想の死に際です。これは自信も同じです。死ぬ間際まで、自信なんてなくていい。だからこそ暴れられる。悪足掻きできる。
というのも、最初から子供同士として話せばよかった、と思う相手が多い
大人なんていなくて、意外と子どもばかりで、という一節。無駄に大きく相手を見過ぎないようにしたい。
恋愛の目的とは、お相手に最高のトラウマを与えることだと思う。
別れても一緒来た場所、一緒に見たドラマ、私の好きだった食べ物を見るたびに私を思い出して苦しむくらい、濃密な時間を過ごせたら、という話。つい先日サブスク解禁された大森靖子氏の新曲と重なるので、かなり刺さった。自分自身もトラウマになるくらい、という裏を見過ごしてはいけないね。
絶頂で別れたら トラウマなれるかな
選ばれなかった女ランキングNo.1
一瞬でいい お願い 真っ黒けっけ愛してよ
全てベットして 全て失えよ
「精神が不安定になるのは仕方ないし、それは俺も同じだから、今から一緒に花火でも振り回しながら海にでも突っ込もうぜ」と言える破滅上等派は滅多に見ない。
追い詰められたら、ニャーン、とでも言っておきなさい。
多分一番大切な真理。にゃーん。
一つの音楽が好きなことは、一人の人間をこんなにも孤独にさせてしまう。 だからこそ公開する価値がある。秘密を与えることで、秘密は返ってくる。 恋人とプレイリストを交換するほどの贅沢を私はあまり知りません。
あまりに淫美な贅沢で吃驚した。曲の好みはその人をかなり反映するし、曲を聴くときの孤独も頷けるから。
「本を読まないということは、そのひとは孤独ではないという証拠である」とは太宰治の金言です。そこには羨望が混じっている。それと同等以上に、嫌味が滲んでいる。 本は読んだ方がいいのです。 なるだけたくさん読んだ方がいい。読んだ本の数だけ、言葉が、孤独が通じる人の数が増えるからです。そして面白い本に出会ったら、なるべくたくさんの人に薦めた方がいい。あるいは大切な一人に贈った方がいい。 それが急速に分断していく世界への、最善の抵抗手段だから。
本を読まない人は、自分の相対化をどのようにしているのだろう。
そして審美眼とは違和感のことである。違和感への試行錯誤である。
嫌われたくない、が一番嫌われるのは、面白い。
辛すぎる。
叱ると怒るの区別がつく人だけ、叱っていい、怒っていい。 批評と否定の区別がつく人だけ、批評していい、否定していい。
前者と後者は少し質が違うもののように思う。前者の宛先は人間で、後者の宛先はおそらく作品だから。
批評が苦手である。Xを作る側をXを作らないけれど、X学を修めた人が批評すること。それ自体は間違っていないはずなんだけれど、Xを作る苦労は正直、絵を齧ったり駄文を書いたりしている身からすると、そう簡単にぺけをつけられない。マイナスの批評を見たときに、どうしても反発してしまう。でも、自分がくだらないとおもっているもののマイナスの批評は「やっぱそうだよね」とおもってしまうから、なおさらタチが悪い。
恋人にはなれなかったけど、最高の悪友になることはできるんじゃない
敬意がベースにある関係は、長続きする。
すべてを話すことが正義ではない
すべてを知られたら即刻飽きられると思え
だからこそ未知であれ、意味不明であれ、勉強せよ、ゆるく変化し続けろ
好き」とか「愛」とかより「ふとした愛おしさ」を信じた方が気楽
誘う人より、誘われたい人の方が多い
だからこそ必ず前者に回れ
岡崎裕美子さんの素晴らしい短歌を最後にして、この身勝手な随筆を終わります。
「体などくれてやるから君の持つ愛と名の付く全てをよこせ」
愛と名のつくものを全てよこせ、自己愛も含むんですかね。
人生が激変する瞬間とは「絶対この人には勝てない」と心底確信した瞬間だと私は思います。
似たようなことを書いたことがある。勝てない、という気づきがトラウマになることもあるし、そこからが勝負のこともあり、やはり人生に重要な瞬間なんだろう。
「あなたが好きで選んだはずのものに愚痴を言うのはおかしい。嫌なら辞めろ。幸せになるために不幸になる必要は一切ないだろ。死に急いでるつもりなら、もっと格好良く死ね」
人生の真理だと思いますね。
まぁしかし、「最後まで泥臭く生きろ」と「格好良く死ね(葬式でなんて言われたいか考えろ)」的なクリシェ、併存するためには「泥臭いは格好いい」という価値観がみんなに広まっている必要があるよなーなど。
インスタでよく見るので、自己啓発本かとおもっていたら、そうではない、不思議な本だった。エッセイと散文詩の間みたいな。正直、なんでバズったか分からないけど笑、なんとない断片を愛するものとしては、合間合間に挟まれる名もない人の発言に楽しまされました。
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