バイトのババアになる前に
高校生の頃、クリープハイプの「踊り場から愛を込めて」というアルバムが好きだった。
そんなことを26歳と6ヶ月の私はふ、と思い出した。
このアルバムを聴き始めた頃、私はまだ何者でもない無垢な高校生だった。
世の中のことなんて何も知らなかった(知ったつもりにはなっていたと思うが)。
ただ音楽が好きで不自由な田舎の、何かになりたいと嘆きながら努力が苦手な無知な子供だ。
でもきっと、あの頃は頭の片隅にまだほんの少し「何者かに慣れるかも」と希望を持っていたんだと思う。
当時、このアルバムの中で1番好きな曲は「リグレット」だったが歳をとると好みはほんの少し変わるようで、今の私は「色んな意味で優しく包んでくれますか」という曲に惹かれた。
そのなかでも一際、心揺さぶるフレーズがある。
26歳も半分すぎた私は、一般的には“幸せ”だろうと思える日常を手に入れて生活している。
が、悩みは尽きないまま、性格も実力もセンスもあの頃から大して変われていない感覚に陥ることがある。
しかし未だにあの日見た夢を捨てられずにいるのだ。
無論、所謂「社会人」(ここでは正規雇用での働き方を指す)は向いておらず半年で辞めたフリーターだ。
あの時、遠くに感じていた「バイトのババア」に少しずつ近づいている。
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