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「なるほど、よくわからない」8ミリフィルムSF映画「時に願いを」に対する片山クンの饒舌なコメンタリーのようなもの

酒場SF映画「REUNION」共同脚本の片山クンとは学生時代からの付き合いである。彼も当時映画を撮っていた。その片山クンが、数十年ぶりに僕の学生時代のSF映画「時に願いを」を観て、現代の視点で鋭いコメンタリーを送ってくれたので、紹介したい。(※ネタバレ含む)

(以下文・片山祥文)
「時に願いを」は懐かしいねぇ。Vimeoにもアップされていたので、そっちで観ました。Reunionより、こっちの方が、君の監督としての力量がよく出ているかもしれない。もちろん、良い方向で。

内容というかストーリーは他愛もないが、ー見ポップな演出の中に、野放図さと力強さを感じる。例えば、ヒロインの笑い顔は、演技ではなく素で笑ってるカットを挿入してないか?

本業の役者はああいうのを嫌がるが、俺は大いに評価したい。結局、芝居より素の方が女性の魅力がよく出るのは当然のことだし、それを、多少の違和感を恐れず、強引にモンタージュしたのは正しい判断だ。あの強引さが心地いい。昭和のプロレスが、ルールを守って闘うより反則攻撃が入った方が盛り上がったように、こういう反則はどんどんやるべきなのだ。終始、お行儀のいい"想定内の芝居"が流れるReunionの監督は、この作品の監督から学ぶべきかもしれないぜ(笑)。

その一方で、作った芝居も素晴らしい。というか、君の演技だ。ブランコの周りを自転車でグルグル回ってみたり…、あのキャラクターのバカッぽくて無意味な所作が、作品を救っている。

そう、人間は無意味で理屈に合わないことをするものだ。人間の行為そのものが不合理と言ってもいい。この主人公の行為も、客席やTVでこの映画を見るという行為も。だから、タイムトラベルがいかに無茶な展開でも、そんなことを気にするのはヤボなんだぜという空気をうまく作っている。そこまで読み解くと、若き北御門は観客にケンカを売っているとも取れなくない。つまりはとても勇敢で勢いがある。

「なるほど、よくわからない」

むしろそれを楽しめと言わんばかりだ。

(了)


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