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猫さがし

ひとり街の隅で過ごす夜

外で猫が鳴いてる

ここにいるよ

ここにいるよ

仲間を探すように

ここにいるよ

ここにいるよ

まるで仲間になったようだ

たまに襲う空虚

不満なんてないのに

なにかを探してる

その正体はわかってる

考えないようにしてるだけ

わかりすぎてるから

もう見つけてあるし

大事にとっといてるだけ

本当は外に出すのがこわいだけ

障子紙に穴を開けた

不良になった気がした

そこから見た世界は小さかった

けれど出ていく気にはなれない

プラスチックの空気が合わなくて

探さないでよ

たぶん夕暮れには間に合うから

献立が決まらないんだ

どこへ行けばいいかもわからない

最悪の結果は求めていないんだ

だからもう少し待ってて

ご褒美もお預けでいいです

とびきりの笑顔は百点満点で

届けたいんです

だからお願いもう少しだけ

野良猫でいさせて

番犬のつもりが

番犬をさせていたこと

情けなくて顔を背ける

どうしたって墓まで持っていけないか

考えすぎてなにも考えられなくなる

先祖代々忘れてしまいたい

未来の作り方わかんなすぎて

その日暮らし

季節が変わっても

変われなくて少し失望する

それでも笑顔もらったら反応しちゃう

こわいのにそばにいたくなる

あまのじゃくよりクジャクになりたい

昔は簡単になれたのに

トーテムポールに落書きした

ひとりくらい情けなくてもいいだろう

そこから歴史が変わってくなら

けれど似た顔に変わりはなくて

比べることに意味をなくした

探さないでよ

こじ開けた窓の外には蛇がいるんだ

噛みつかれたら死んでしまう

約束を果たせなくなったら困るだろう

最悪の結末は防ぎたいんだ

だけどいつまでも笑っていて

ご褒美でいて欲しいんです

ありつけたときは隅から隅まで

味わい尽くしたいんです

だけどお願いもう危ないから

番犬にはならないで

みかん畑から

雨に混じって甘い匂い

汁が飛ぶイメージがめぐる

今晩の献立はなんだろう

いつか一緒に食べたいな

雨の日はひとり静かに

二人の夢を見たい

(途中)

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