叶わなかった夢はもう一人が叶えてる。逆も然り。
「芸能界はつまらないらしいよ」
夢の中で母が言ってた。
芸能界がつまらないってどゆこと?
あんなに華やかな世界なのにつまらないって…
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勤めていた職場に、プロを目指していた元バンドマンのお兄さんがいた。
そのお兄さんはレミオロメンの藤巻亮太とどこか似ていた。
人気はあるのにデビューできなかったが、職場でたくさんの仲間やファンと気楽に楽しくやっていたのを憶えてる。
…お兄さんは、プロとして活躍する藤巻亮太には経験できないことを代わりに経験してるようにわたしには見えた。
わたしは中学のときプロの漫画家目指して掲載デビューまでした。
けどそこから先は心身壊して挫折した。
ときどき『あのときがんばっていれば…』なんて思うけど、いまはプロにならなくてよかったくらいに思っている。
なぜならプロになって漫画一筋になっていたら、化学物質過敏症が悪化していたかもしれない。
今ではだいぶマシになったコミュ障がちっとも直らないままだったかもしれない。
スピッツのライブに行けなかったかもしれない。
ソウルファミリーに出逢えなかったかもしれない。
ツインのしろくんとも逢えなかったかもしれない。
あんな経験やこんな経験をできなかったかもしれない。
案外不自由な暮らしになっていたかもしれない。
だからこれでよかったとおもうのである。
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この世界には、自分と同じ顔の人が3人いるという。
なんとなくだけど、その同じ顔の人は自分と人生を共有していて、それぞれ体験できないことを実現してるんじゃないかと考えている。
人生には誰にでも、どんなに努力しても叶わない夢がひとつやふたつはある。
もしその叶わなかった夢は別の自分が叶えていて、その別の自分が叶えられない夢を自分が叶えてるんだとしたら…。
もしそうなら、いまの人生が納得いかないものだとしてもそれはそれで幸せなことなんじゃないかなあと思ったりする。
なんだか諦めのような気もするけど、いつまでも叶わないと固執してた夢の呪縛から解けて、新しいベクトルへ向かうことだって可能になる。
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ツインのしろくんは、俳優の中村倫也とそっくり。
背丈や体型や話し方や雰囲気までそっくり。
大きく違うのは声の高さと髪質くらい?
さすがに誕生日や血液型までは同じじゃないけど。
しろくんが芸能界に入ったら中村倫也みたいになるんだろうなとおもう。
歌手デビュー、執筆活動、女性にモテる…
しろくんが叶えようとしたものを中村倫也はすべて叶えているから(しろくんもほどよくモテてはいるけど納得いってないぽい)。
ちなみに中村倫也の"倫"は、しろくんとわたしの名前と関係している。
それをふまえると、中村倫也はわたしがしろくんと叶えてみたいと考えていたことも叶えている。
中村倫也はしろくんの"もう1人"なのかもしれない。
するとしろくんは中村倫也の叶えられないことを叶えていくことになるのかな。
そう考えるとなんだかワクワクしてこない?
「芸能界はつまらないらしいよ」
まったく想像つかんけど、人気が出れば常にプライベートが晒されてるも同然の世界。
暮らしはわたしたちと比べてかなり窮屈なんじゃないかとおもう。
表面上で評価されて、心は置いてけぼりかもしれない。
そんな彼らからしたら好きなところへ顔バレも気にせず自由に出かけたりできることは、なんとも経験しがたいうらやましいことなんじゃないかな。
華やかな世界でなくとも目の前の現実をちゃんと堪能したほうがよほど幸福な気がしてくる。
3匹のしらたま
(にんじん大食い)(歌手)(にんじん農家)
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実は幼いころ、妹に真似されるのが嫌だった。
自分と違う人間が自分と同じことをするのがなんだかこわかった。
いまも、みんなが着てるようなユニクロとかは苦手。
誰もが着てるような流行りの服も苦手。
もしかしたら無意識に別の自分と被らないようにしてるのかもしれない。
そういえば漫画掲載が決まったとき、トラウマになるくらい編集者に言われてショックだった言葉がある。
「同じものは2つもいらない」。
当時好きだった漫画の影響を受けすぎてのことだった。
言ってることはよくわかってはいた。
けどわざわざ漫画家本人までわたしのホームページの掲示板へ言いにきて、中学生だったわたしにはプロを諦めざるを得ないほどの心身を壊すきっかけのひとつになってしまった。
するとその漫画家はしばらくして心身を壊し、当時人気作を連発していたにもかかわらずみるみるうちに表舞台から消えていった。
もしやその漫画家がもう一人のわたし?
あんま嬉しくないなあ…。
なんか、同じにならなくてよかったな。
「同じものは2つもいらない」って言われてよかったな。
いまは"個性"が大事な風の時代だしね。
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