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銀河鉄道の歩道橋

ここ最近、家の裏側から歌声が聞こえます。

夜な夜な。20時~22時くらいに男の人(男の子?)の声で、なんらかの曲を唄う声が。うるさいなぁ、迷惑だなぁ、なんて思う一方で、昔を思い出して懐かしい気持ちにもなるわけです。

私がまだ実家暮らしだった頃。当時は「青春パンク」ブームまっさかり。いや、演っている方も聴いている方もそんな呼び方はしたことないし、そんな呼び方は嫌いだったと思うのですが、そんな時代があったのですよ。

私は「青春」時代を過ぎ、ちょっと大人にありつつあるときでした。バイトを終えて深夜1時すぎ、お風呂に入っていました。まだ新しいお風呂にする前で、プロパンで沸かして入る、狭い湯舟。
髪を洗い、体を洗い、ふはーと全身お湯に浸かったそのとき。聞こえてきたのです。うちの裏を通る環八から。おそらくその上に架かる歩道橋の上から。少年の声が。

ぎんがてつどうのーよーるー
きみはーもうーそらのむこうー

その声はどこまでも澄み、でも、どこまでも湿り気を帯びていました。そう、その日はGOING STEADYが解散を発表した日でした。きっとその少年は、ゴイステに何度も救われたのでしょう。私がブルーハーツに救われたように。涙を流して叫んでいたのでしょう。深夜1時に響くその歌声、とてもきれいなんかではなかったけれど、美しかったなぁ。

銀河鉄道の夜 僕はもう空の向こう
飛び立ってしまいたい あなたを思いながら
(GOING STEADY「銀河鉄道の夜」)

音瑚ひらり

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