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元社畜のおじさんが中高生だった頃の話

今日はUberEats配達員の仕事は休んで奥さんと息子と出かけてきました、休むのに勇気がいる事をフリーランスになって初めて知りました。
写真は雨の日の配達ご苦労さまとお客さんから貰ったリポDです、ぶっちゃけ別に好きではないので30年ぶりくらいに飲みました。
こんな味だったなあと、高校の時の部活のOBのおじさん達からの差し入れを思い出しました。

さて今回はおじさんが中高生の頃の、今から30年以上前の話です。
おじさんが育った東北の寒村は長閑でのんびりした風に見える、北の国からのフィクション上の富良野のようなおめでたい所に何も知らなければ見えなくもない場所でした。
でもそれは見た目だけの話で狭い社会に住む人間の怖さは骨身に染みているおじさんの事ですから、ちょっと今日は本当は怖い長閑な田舎のエピソード等を少々。

おじさんが出た中学校は今は既に少子化で廃校になっているのですが、当時は辛うじてクラス30人で1学年2クラスを維持していました。
同級生は別になんの問題もなかったのですが、困り者は上級生達でした。
年の割には体格が大きく顔が老けていたおじさんは、ナポレオンコンプレックスに囚われた小柄なイキリ上級生達の目の敵になったのです。

おじさんは小学校の頃から本が好きで本さえあれば活字漫画問わず熱中してて何も要らない子だったんたけど、中1で170センチ75キロで老けた顔のそんな様子がナポレオンチビのサディズムに火をつけたのかなと今では思います。
まあ酷かった、何で俺がいきなり便所に呼び出されて腹パンとかされなきゃならないのか本気でわからなかった。
集めてた漫画はカツアゲされおまけにおもしろくないと殴られる、何だよまじで。

中心になってたのは反社会的勢力の家族と噂されるイキリチビと、その取り巻きの有象無象。
同級生達は同情してくれたけどそれだけ、おじさんが頭が悪くて心が弱い子なら悲惨な結末を自ら選んだかも知れない。
助けになったのは家に帰って夕食後に自室にこもって読み耽ったグイン・サーガや魔界水滸伝の、グインや安西雄介の男っぷり。
いつかこんな男になってあいつらにナメられない様になる、でもその為にどうしたらいいかわからず悶々とする日々でした。

それとは別でそのイキリ集団は下の学年全員に「カンパ」と称してひとり100円から数百円を恐喝していました、塵も積もれば山となる訳で中学生には結構な額になるわけです。
でもそのカツアゲの売り上げはほぼそのまままそのイキリの更に上の手に負えない暴走族などに上納され、その暴走族は更に上の反社会的勢力に上納していると噂されていました。
真偽はわからないし知りたくもない、そのイキリ達が上部組織を匂わせて営業しやすくしてただけかも知れないし。
とにかく嫌な荒れた田舎でした、牧歌的社会なんてどこにあるんでしょうね。

でも不思議と耐えれたし今ではべつに恨んでさえいない。
おじさんは寒村の郡部から県庁所在地の、イキリ達の学力では入れない工業高校としては県で1番の高校に入学しました。
そこで出会ったのがとある力技系の部活で、ごみ捨て当番で練習場の前を通った時にこれだと思いました。
強さとは何かと思っていた自分に、強さを可視化し数値化する術が突然現れたのです。
そこからはとんとん拍子で、元々でかい身体に分厚い胸板やら太い腕やら脚やら背中やら。
自然と覇王のオーラをまとっていくおじさん少年に、最寄り駅で会うかつてのぱいせんたちは卑屈でした。
1時間に一本しか電車が停まらない5時から無人駅になる小さな駅に、彼らは良くたむろっていました。
何をしたわけではないですし彼らも何もしてきませんでした、ああ俺は克服したんだなと思いました。
力技部は楽しかったです、この世界で一生生きていきたいと思いました。

その力技部に限らずスポーツの世界で食っていくためには、大学の体育会のコネが必要不可欠です。
どこかの学校の監督になるとかコーチになるとか、大学で実績残してる事が重要となります。
だからおじさんはもちろん大学進学を希望していましたが、先述した高2の時のおじさん父の実印丸裸貸与事件で学費が工面できなくなりその夢は儚く消えました。

でも、今ではこれで良かったのだと思っています。
よくは知らないけど伝え聞く厳しい大学の体育会で自分が上手くやっていけたとも思えないし、全ては禍福の縄の話なのかな。
ホリ○モンじゃないけど、過去に拘らず、未来を恐れず、今を生きるしかないのかなと。

ちなみにその俺を熱心にいじめてたぱいせんは、若くしてろくな死に方しなかったそうです。

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