見出し画像

〔ショートストーリー〕旅先にて

これじゃない。カフェで私に運ばれてきたのはデミタスコーヒー。頼んだのはカフェラテ。何をどう聞き間違えたらこうなるのか。店員に文句を言おうとすると、既にカウンター前に戻ってマスターとベラベラ喋っている。声は大きいし態度もでかいし、何だか怖い。どうしよう。諦めて飲めば良いけど、濃いコーヒーは苦手なんだなあ…。
カフェでグダグダ悩むこと4分33秒、きっかりクラシック一曲分待ってから、私はとうとう声を上げた。
「なあ、これ、頼んだのとちゃうねんけど!ミルク入ってないやん!」
怪訝な顔をして近付いてくる店員に、身振り手振りでワーワー言った結果、奇跡的に言いたいことが伝わった。無事にデミタスコーヒーは下げられ、代わりにカフェラテが届く。店員は軽く謝っているようにも見えるが、定かではない。
それにしても、ブラジルでも関西弁は通じるのか。無理してポルトガル語で頼んで、損したかも。熱いカフェラテを飲みながら、私は少しだけ反省していた。


(410字)
こちらのお題に初めて参加してみました。これで良いのか分かりませんが、参加することに意義がある、と言うことで。
最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。
たらはかにさん、楽しいお題をありがとうございました。どうかお大事に!


この記事が参加している募集

私の作品紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?