〔ショートショート〕寒い学校
私の学校は寒い。古い校舎は底冷えがして、時には手が震えてノートがとれない生徒もいる。流石にこれはマズいと、やっと各教室にエアコンがついた。が、それぞれの体感温度は違うため、リモコンは休み時間に限り、各生徒が一日に一回のみ操作できると決まった。
今日の最初の操作は、一番に登校したアズキ。設定温度を確認し、スイッチを入れた。その後、授業が始まる前に、根津や須永、根来に木綿と、少し温度を上げたり下げたりして調節する。
少しモワッとした空気で1時限目が終わると、まだリモコンを操作していない生徒たちがリモコンに殺到した。
「こら、揉めないで!順番だからね!」
先生の声に、リモコンを前に一列に並ぶ。「まだ寒い」だの「暑いよ」だの、口々に言いながら操作していく。そしてとうとう最後の生徒、私の番だ。
「ああっ!最後はユキか…!」
誰かの声に、何故かみんな悲しい顔になる。私は聞こえないふりで、ピッと電源を消した。
私は雪女。寒い方が好きだ。
こんにちは。こちらに参加させていただきます!
今回は、自分でも楽しんで書きました。最初は何も浮かばなくて、笑ってしまうぐらいでしたが、何とかアイデアが出てホッとしました。
たらはさん、よろしくお願いします。
読んでくださった方、有難うございました。