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超個人的スベらない映画3選

一時期、毎日のように映画を観ていた時期があった。

若くて時間がある人間にはありがちなことかもしれないが、その時の私は映画を観れば観るだけ特別な人間になれたような気がしていた。

「この映画をわかる俺って、やっぱり才能あるな」などという謎の自信により、カメラの撮り方も知らないのに映画監督気取りだった。

評論家の淀川長治さんや双葉十三郎さんの本を読み、そこに書いてある映画をTSUTAYAで借りては観て、自分だけしか読まないノートに書き溜める。だから、なんなのだという話だが、やってることは、それがネットになったというだけで、今もそんなに変わっていない気がする。

今日は、そんな日々を思い出し、特に好きだった思い出に残る映画を3作あげたい。

1. GO 

原作は金城一紀の直木賞受賞作「GO」。当時、「池袋ウエストゲートパーク」により、一躍有名になった宮藤官九郎が脚本で、そのドラマのキング役で若者のカリスマとなった窪塚洋介が主演。在日朝鮮(韓国)人の若者が自分のアイデンティティに悩みながらも、喧嘩や恋をして成長していく。こう書くと普通のドラマなのだが、そこにクドカンのセリフがつくと、とてつもなくスピード感のある新時代の青春ドラマとなる。脇を固める役者陣も山崎努、大竹しのぶ、柴咲コウと完璧だ。出演者の顔にセリフが書いてあるポスターも好きだ。この作品が日本アカデミー賞を総なめにした時、時代が変わった気がした。

2. 8 1/2 

イタリアの巨匠フェデリコ•フェリーニの自伝的作品。タイトルの意味は、自分の8 1/2作目ということ。自身の分身である監督が主人公であり、過去、夢、現実がごちゃまぜになった世界で、主人公は、一向に進まない映画撮影に鬱々としながら、妻や愛人、主演女優などの女性たちに翻弄される。フェデリコ•フェリーニの幼少期の記憶には、必ず大女とサーカスがある。これらの幻想と映画撮影の饗宴が目まぐるしく展開される映像に息をつく暇もなく時間は過ぎていく。ラストに「人生は祭りだ」と言う主人公の言葉にいつも泣いてしまう。

3. ホットファズ

タランティーノが認めたイギリスの天才エドガー•ライトの傑作。とにかくスピーディーに物語が進むのが最高だ。基本的にコメディなので、終始、笑える。敏腕凄腕刑事ニコラスがなんの事件も起こらない田舎に飛ばされて「田舎もいいよねー」で終わる映画ではないことは、30分もしたらわかる。明らかにおかしい事故で死んでいく人々。最後の怒涛のアクションは何度観ても見飽きることはない。映画に詳しい人なら、数々のシーンで、名作のオマージュに気がつくだろう。友だちに「何か面白い映画ない?」と聞かれて、この作品を観せると、必ず「面白いね!」と言われる私的に絶対にスベらない映画。

とりあえず、パッと思い出した映画を書いてみた。まだまだ、いろいろあった気がするが、なにせ記憶力が乏しいので、かなり忘れている。思い出したらまた書いてみたい。

あの時の誰にも見せるあてのない映画ノートがあればいいのだが、一体どこに、消えてしまったのだろうか、、、。