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「神殺し」と「産み直し」「真・女神転生Ⅳ FINAL」

ついに発売まで一週間切りました「真・女神転生Ⅴ」もうドキドキが止まりません。今から寝だめして発売日を迎えた当日から「東京ダアト」に住み続けるつもりのコケです。帰ってこれるんかなぁ~現世に…。

ナンバリングとしては一番新しい「真・女神転生Ⅳ FINAL」4週目終わりました。物語としては一神教(神は一人」)vs多神教(神様が沢山いる)というのを軸に展開されていき、それに主人公達や東京の人がどう関わるのか、が面白い所でもあります。

人が神をどう捉え、神々の争いから自分達を守るのか。

「真・女神転生Ⅳ FINALのテーマ」は「神殺し」と「産み直し」です。

「真・女神転生Ⅳ FINAL」にはエンディングが4種類あり、そのうちの2種類は"おまけ"のようなバッドエンドなので、基本的には2通りのエンディングが用意されています。片方を「絆ルート」もう片方は「皆殺しルート」と別れます。

主人公ナナシは東京で人外ハンター見習いとして活動した矢先、悪魔に命を奪われます。「生き返してやる代わりに俺のマリオネット(糸繰り人形)として働け」と魔人ダグザに蘇らせてもらいます。

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「皆殺しルート」の方は、難しい解釈ではありますが、"本当の自由"とは"宇宙に一人だけ"、誰も、何も自分を観測するものがない状態、神が神を観測することもない静寂の世界、つまり「神殺し」を物理的に成し得た世界の事。

旧宇宙の輪廻を終わらせ、新たな宇宙、時のサイクルを産み直した。

己以外神も人も"存在しない"ので、自分が"どう在ろうとするか"は己自身だけが決めることになります。人が"そう在ろう"とすると現実では様々な要因、自分の思う自分と、社会的な立場としての自分が入り混じり「本来の自分」とは自覚しにくいものです。

それは神も同じで、「○○の神様」という様に"役目"が存在し、"役目"によって神様は「存在」することになります。何の神様だかわからないと、神様としての立場が薄い気がします。

ダグザは役割としての神を懸念し"○○の神様としてしか存在しない、存在が許されない"、「元来神とは本来もっと自由であり、人が認知せずとも存在しているものだ」という理由からこの世界を終わらせるため「神殺し」としてナナシを利用します。

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役目のない神様は人によって認知されない、いてもいなくてもいい、つまりそれは"存在しない"と同じことなので人の手によって、言い伝えや伝説などが"忘れ去られ"、「神殺し」が行われたことになります。

「皆殺しルート」では物理的な「神殺し」ではあったのですが、先日クリアした「絆ルート」でも実はエンディングはこの"忘れる事"での「神殺し」でした。

主人公ナナシ達人間の活躍により神様のために人があるのではなく、人間が人間のために生きる道を手にする事が出来ました。崩壊した東京を復興させるべくナナシもそこにいるのですが、そこには「ダグザ」はいません。

悲しいかな人の世が良くなると「神は忘れられてしまう」もの、なのかもしれません。

また、物語で自身の妻であるダヌーに「産み直し」され(それもスゴイ話だけど)初めにナナシに「マリオネットになれ」と命じたダグザとは違う、"平和な"ダグザになります。

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「人と共に生きる事を選んだ(インプットされた?)ダグザ」にされたことにより、神が神を殺す「神殺し」が行われた事になります。

基本的に神話では「神殺し」は「神により」行われるものです。日本神話のスサノオがヤマタノオロチを退治したようにそこには人は介入しません。

神どうし争ってお互いがお互いを消していく過程には、恐らく人間の歴史が"侵攻の歴史"だからだと思います。

それに加え「ヒーロー性」があった方が信仰されやすい、というのもある気がします。強いヒーローって憧れますもん。

日本人にとってお馴染みの「鬼」もそうですが、古い鬼は人にとって恐怖そのものでした。力が強く、一目見かけたら食べられてしまう存在でしたが、一役有名な"桃太郎"の出現により"鬼は退治出来るもの"になりました。

この頃になると、"人の手"により「神殺し」が行われるようになります。

そうして人が物理的にも精神的にも成長し、社会が発展して人が移動していく内に「神」も移動していき、古い土着信仰の神は新しく表れたヒーローにとって変わられていくものだと考えます。

しかしその土地その土地に根付いた神様は、地元の人にとっては愛着のあるものですし、よそから来た新参者をおいそれと信じるものではないので、馴染みのある神様はひっそりと「神殺し」にあいました。

インパクトのある新しい神様には力があるので、人が移ろい世代が変わるにつれ"古い神様"は歴史から忘れられていく。長い長い時間をかけてゆっくりと「神殺し」は行われている。

土着信仰の神様は時の彼方へと追いやられ、人の手による「神殺し」が成立した現在、新たに「風の時代」とも言われ、スピリチュアル的なものやサイキック的なものに人々が関心を寄せ、忘れ去られた「神様」たちもSNS等でよく名前を目にすることが増えました。

元々八百万(やおよろず)の精神が根強い日本においては何年か前から「神社巡り」や「パワースポット」と呼ばれる場所に赴くのが流行ったのも、風の時代の影響だったのかも知れません。

かつて人は社会が科学が発展していく中で当然の様に「神殺し」を行っていました。幽霊の正体が柳の木だと決めつけ、幽霊も"存在しない"ものとして追いやった。

これからの時代、神様の出番というのは増えそうですが、"ご利益にあやかる"だけでは「神殺し」をまた繰り返すだけであり、それはダグザが言っていた「役目ある神のみ存在が許される」神様を生むのも同然です。

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人間にとって役目のない神様も存在しているんだと言う事を、なんとなく意識してみるのもいいかもしれません。

時代は変わり"物質的なもの"だけに関心が寄せられるものではなくなりました。忘れられた古い神様たちがSNSを中心に取り上げられ、人々の認知により「産み直し」がおこっている、とも言えます。

「神殺し」だとか「皆殺し」とか物騒な言葉が続きました。出来ればそう言った言葉とは無縁でいたいのですが、メガテンは悪魔を使役して悪魔を倒す、「神殺し」そのもののゲーム。

なんて根が深いテーマなのでしょうか。それが面白い所でもあるんですけど。

今回は大分長くなりました。最後まで読んで下さった方々、ありがとうございました。

コンゴトモ  ヨロシク。

コケでした〜。














サポートいただけるなんて奇跡が起きるのかは存じ上げていませんでしたが、その奇跡がまさかまさかに起きました!これからありがたくゲームのオトモ代(コーヒーとかお茶)いただけると大変喜びます。サポート設定ってあなどれないぜ…。