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狂おしいほどのクズに沼って這い上がって

どうしようもないクズに沼っていた。

毎晩泣きわめいて寝られないぐらい辛かった。
この人からくるLINEを見てスマホを何度もぶん投げた。
大阪湾に沈めてやりたかった。
周りにいる女の子たち全員燃やしたかった。
そんな奴にとらわれている自分を周りは何度も目を覚まさせようとした。


それでも、それでも、もうどうしようもないくらい好きだった。


自分でも心のどこかで分かってた。こんなに好きなのに、好きだから、幸せと対極にいること。
でも、気づきたくなかった。



好きの根底にあるのは「尊敬」だった。
あまりにも厄介。
ほんっっとうに、もうどうしたって一緒にいたら苦しくなるはずなのに、私の理想を持ってる人だった。仕事への向き合い方も、自分の時間の使い方も、ちょっとしたものの見方も。悔しかった。だから離れたくなかった。



でもあるとき、不意に糸が切れた。

「あ、今の私、ちょっとかわいそう。」
唐突にそう思った。そうして今までのとんでもない執着がうそのように溶けた。一瞬で。

嘘。不意に、じゃない。
「僕のこと本気では好きにならないもんね」って笑って、でもはっきりと、ずっとくぎを刺されていた。そんなくぎを打ちなおされた何度目かの瞬間、私の執着の壁にひびが入った。

あっけなく崩れた。




でもね、冷静になって本当に苦しくて、都合よく扱われていたと客観視できるんだけど、嫌いに離れないし恨みも苛立ちもない。

感情の形は変えてもやっぱり、好き。こんなにつらい思い浴びせられてきたのに。我ながらそろそろ聖母にでもなれる寛大さだと思う。
どこまでもこんな相手の幸せを願っていられる自分自身に気づいて、
これだから都合のいい女の子になり果てるんだとばかばかしく思うけれど、そんなところも嫌いじゃない。と思う。


なんだかんだで都合のいい女の子特性が高すぎるとは思うのだけれど、そんな私が人生最大の沼から這い上がってきて人生で初めて「私が誰かに大切にしてほしいな」なんて思ってしまった。


苦しくて仕方ない時間、その先に待っていたのはまさかの自己肯定感の恒常でした。狂おしいほどのクズに出会ったこと、意外とよかったのかもしれない。なんてね。

今でも大好き。でも今度はちゃんと素敵な人をみつけてくるね。



嬉しすぎて空飛べそうです。焼きプリンを食べます。