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休みの過ごし方を突き詰めたらいけない

たまに活字に目覚めて狂ったように本を読む時がある。
4年前、まだ東京に住んでいた頃は家から5分歩いた場所に図書館があった。
そのため仕事帰りに本を借りては、2日ほどで読んで通勤時に返却するような生活をしていた。

独身のため仕事以外の時間は全て自分に使えたのでひたすら読書をして1日1冊の早さで読み1カ月で30冊ほど読んだ時もあった。

こんな話をすると「読書が趣味なんですね!」と言われたりするが、そんなこともなく。
ハマってる時はひたすらに読書をするが、ハマらない時は2年くらい本を読まずに暮らしたりする。

『趣味』ではなく、たまにくる『ブーム』なのかも知れない。

先日本が読みたくなった。
本は読みたいけど、今は実家暮らしで猫もいるので24時間を自分だけの時間には使えない。
続きが気になるサスペンスより、空いた時間にさらっと読めるエッセイがいいな。と思った。

何か癒されるような、ほんわかするような、そんな本ってないのかな?と検索してみたら『群ようこ』さんの本が良さそうな感じだった。

『瀬尾まいこ』さん、『小川いと』さんの本が好きなのだけれど、確かに今までも何となく『群ようこ』さんにかすりそうでかすらないまま来てしまっている。

表紙が気になったり、読み終わった本の他の人の感想が見たくて検索してみたら、感想を書いた人が群ようこさんの本をおすすめしていたり。
すれ違った時に肩がふれ合いそうなチャンスは何度もあったのに、触れることなく今日を迎えているのだ。

「よし、群ようこさんを読んでみようじゃないか!」と意気込み早速地元の図書館へ。
たくさんある本の中から『れんげ荘』と『しない。』を借りた。
『れんげ荘』は小説で『しない。』はエッセイ。

『れんげ荘』はネタバレになってしまう可能性もあるので、読みたくない人は以下を読まずに通りすぎてほしいのだけど。

有名広告代理店に勤めていたキョウコが職場や家庭の人間関係に疲れて、45歳で早期退職し、安いアパートで貯金を崩しながら生活をする。と言う内容の本である。(めちゃくちゃザックリ。検索してみたら私より文章力のある方がめちゃくちゃわかりやすいあらすじを書いているので、ぜひご参考にして頂きたい。)

「早く定年退職したい。」が口癖の私からしたらめちゃくちゃ羨ましい生活なのだけど、キョウコは一生懸命貯金して月々10万円で生きていけば80歳までは働かずに暮らせるくらい貯金しているので絶対に真似は出来ない。(このくだりを読んだ瞬間、埃が被った電卓で計算し、4200万円貯金したとわかった瞬間自分には到底無理だと悟った。なんせ貯金ないもんで。)

れんげ荘を読んでいて「わかるな~。」って思ったことは、何も予定がないって事が落ち着かないし後ろめたくなるってこと。

80歳まで働かずに生きていける貯金があって、別に誰にも迷惑はかけていないのに、今日1日何も予定がない。
特に体の調子が悪くないのに、働かないことに罪悪感を感じる。

何となくわかる。
土日に特に用事がないと、そわそわする。
別に1日中寝ていたって構わないのに「掃除しようかな?」「手芸しようかな?」「買い物行こうかな?」と何か達成感を得られそうな事を探してしまうのだ。

「いいや。今日は1日寝よう。」と思っても、その時には「休み明けから頑張って働けるように体を休めたんだ。」と妙に前向きな理由をつけたくなる。
別に理由なんかなくたって、結果いいことがなくたって寝て過ごしてもいいのに。

買い物に行けば何かを買わなきゃ無駄な気もするし、買いすぎれば無駄遣いしてしまったと後悔する。
手芸をすれば頑張りすぎて肩がこるけど、何かを作り出した達成感にほっとする。

この何でもかんでもプラスに。「めでたし。めでたし。」にしたくなる気持ちって何なんでしょう?

別に今日と言う日が無駄ばかりで、後悔ばかりで、何の生産性もなくても良いのに。

なぜか意味がある1日、出来事にしたくなるのは何なんだろうか?
起承転結の呪いか?日本昔話の洗脳か? 

無駄な失敗はない。
全ての事には意味がある。
明けない夜はない。
止まない雨はない。

とにかく、マイナスな事が起きてもプラスに。
嫌な出来事は必要な経験に。
マイナスをマイナスのままにはせず七転び八起きで前向きに。

なーんて考えていたら最終的に「何のために生まれて来たのか?生きる意味とはなんだ?」まで行き着きそうでゾッとした。

特に意味なんかなくていいし。
無駄な時間があってもよい。
マイナスの感情はマイナスのままでもよい。
バカみたいに苦労して頑張った出来事がなんの意味もなく、なんの役にも立たないこともある。

黄色い熊が言っている「なにもしないをしている」でも全然構わないのだ、世の中は。
そんなことをつらつらと書きながら、私は今日と言う休日を「図書館に行ったし、noteも書いたし、めでたし。めでたし。」と締めくくるのである。(笑)

皆様、よい日曜日をお過ごしください。
※悪い日曜日でも可。

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