青春音楽映画の金字塔「WE ARE LITTLE ZOMBIES」の凄さを思い知らせたい
先日「WE ARE LITTLE ZOMBIES」という映画を観てきた。
青春音楽映画と聞いていたし、予告も気になる感じに作られていて「まあサクッと観るか〜」と軽い気持ちで劇場へと向かった。
座席に座って今か今かと待ちわびながら本編がスタート。
主人公・ヒカリ(演:二宮慶多)のナレーションから冒険が始まる。この日葬式に来ていたのだが、なぜ自分が葬式に来ているのか、事の顛末から話し始める。結論から言うと、自分は両親から愛されておらず、悲しくなることもなかったし、自分の人生において無駄な時間を過ごしてきたという告白だった。
「・・・で、今はこうして同じ葬式会場で会った3人と集まっている」
ヒカリの両親の火葬が行われた日、ヒカリと同い年の3人の両親の火葬が行われていた。イシ(演:水野哲史)、タケムラ(演:奥村門土)、イクコ(演:中島セナ)の3人だ。
「いやー死んじゃったよね」
「ママもパパも死んじゃった」
「え?ママって呼んでたの?」
「ママって呼ぶのダサくない?」
「いやダサくないでしょ」
「ふーんそうなんだ」
と、この4人は本当に中学1年生なのか?と思うくらい会話に若さがない。どこか達観していて、大人にまるで興味がない感じ。
「これからどうする?」
「どうするってなにを?」
「どうせやることないでしょ」
「じゃあさ、冒険に出ようよ」
「冒険?なにそれ」
「行こうぜ、冒険」
こうして、行く宛もない4人の“こころを取り戻そうとする冒険”が始まった。
https://www.youtube.com/watch?v=6Ct1ook-sjM
率直な感想としては、めちゃくちゃ面白かったです。
青春らしい青春じゃない、でも最後は青春映画だったと気づかせてくれる。そんな作品。
あと、残された遺族の方が観ると、非常に心にくる作品だなと思いました。中盤までは心苦しくなるシーンが。というか、個人的な感じ方ではあるのですが、日本人に対しての風刺が強烈だったのが印象的でした。死に対しての冒涜や、残された人たちの気持ちを考えるとおすすめできない作品ではありますが、それくらいメッセージ性の強い作品だなと思いました。
この作品の特徴として、冒頭と最後のセリフやとあるシーンがメタっぽいといいますか、「わざわざ説明しなくてもそんなことわかるよ」ということを敢えてしている作品で。
「うわっ、それそこでやっちゃうの寒いな」と思ってしまったのですが、全てを観終えてから「これも監督の狙いだったのかな」と腑に落ちました。
「大人は嫌い」「大人になんてなりたくない」「ゾンビにはなりたくない」
そんなことをつぶやくけど『この映画を作ったのが大人達である』ということが、この作品の最大の風刺なのかなとも思いました。
もう一つ、個人的な感想で言うと、中島セナさんの演技が素晴らしかったですね。ミステリアスな女の子というキャラクターを見事に演じており、観ているほうも、その魅力に取り付かれてました。。。
立ち振る舞いですでに魅了していたのですが、節々に出てくるセリフも印象的でした。
ゴミ捨て場で途方の暮れていた時、突然「おいメガネ、バンドやるぞ」
「エモい?なにそれ古いわ、おじさん、ふっる」
最後のコンテニュー場面での「絶望ダッサ」などなど。
ヒカリ、イシ、タケムラにとってのある意味、母親的存在だったイクコを見事に演じきってくれました。
ざっくりではありますが、この作品の感想を書いてみました。
これで気になる方がいるかどうかあまり自信はありませんが、とにかく最後まで楽しめる青春映画でした。
最後に、主題歌でもあるこの曲を載せてお別れしたいと思います。
ではでは。
文責 一期・ねこなべ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?