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【読書日和】「鮫嶋くんの甘い水槽」(蜂賀三月著)を読んで~人を好きになることとは~



 「初恋」。甘酸っぱいイメージだけど、それだけではなく、色々な感情が溢れ出て、それが不思議と嫌な感じがしない。登場人物の様々な感情全てがスパイスとなって、この物語になっているような気がした。
 作品の題名にもなっている「鮫嶋くん」。そして、「愛奈」という女の子との関係。もう、ドキドキして、キュンキュンした! 読んでいる私が恥ずかしくなってしまい、それなのに、にやにやとしながら読んでいた。
 この作品に出てくる人達は、皆個性的で、「嫌」と思った人も、読み進めていくうちに、「好き」になっていく、面白い感情を味わうことが出来た。
 「鮫嶋くん」と「愛奈」二人の物語であるが、その周囲の人達も、それぞれ主人公になる物語がある。その片鱗を感じて、他の人達の「物語」を読みたくなった。個人的には、愛奈の親友である、「飛鳥ちゃん」。ぜひ、飛鳥ちゃんの物語を読んでみたいと思う。
 そして、「登場人物」である「生きもの」たち。その「生きもの」たちも個性的で、読んでいて楽しかった。「ブラックゴースト」という熱帯魚が登場するので調べてみたら、黒く、ひらひらと泳いでいて、愛奈が「美しい」と言った意味がわかるような気がした。でも、ネットで検索したら、楽◯市場で売っていて、楽◯市場って魚も売ってるんだ! と、そこに驚いた。
 「サメに睨まれた小魚」という言葉が出てくるが、この作品には「水」に関係するモノが沢山登場している。それで、題名に「水槽」という言葉が使われているのかな、と思った。人は「水」がなければ生きていけない。そんな私達は、「水槽」という世界で生きているようだと感じた。そう思うことがしっくりとしたのも不思議ではなく、心地よかった。
 最後に「絵」。挿し絵も可愛らしかったけど、表紙! とても素敵で、この作品を表していると思った。「水槽」という世界の二人と、生きものたち。作品を読み終わって、表紙を見ると、気持ちがほっこりとした。

 

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