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同居猫の“シャー”は、黒缶の香り

同居猫は、大変臆病だ。

縁に手をかけたままよそ見をしたせいでひっくり返ってきたベッドから逃げ、そのまま一週間くらい部屋の角に引きこもった。

出てきているのに気付かない人間が、うっかり声をかけずに部屋に入ってしまった時もシャーと言って、一週間くらい引きこもった。

理由がわからないけど引きこもってた時もある。夜中に急にキョロキョロしだして慌てて隠れた姿がカメラに残っていたので、物音か何か、寝ている人間が気付かない事があったのだろうとは思うが…。

朝ごはんを持って行く時だけ私の目を見て声をかけてくれるが、たまにシャーと言ってる時もある。なにかお気に召しませんでした?

その猫を連れての引っ越しが決まった。

私たちの家だ。隣近所に挨拶を済ませたが、両隣が穏やかでおおらかな人たちだったから安心した。マンション暮らしは隣人との関係が重要だから…。
隣の人は犬を飼っているらしいし、マンション自体結構ペットを飼っている人が多いそう。
ペット可物件本当に少ないもんね…飼うよね。

今は角部屋に住んでいるけど、新居は中部屋。

ずっと角部屋を探していたけど、マンションの立地と設備に目がくらんで、決めてしまった。
だって今の部屋から自転車で10分もかからないんだもん…。

同居猫には窓の多い明るい部屋でのんびり過ごしてもらいたかったけど、キャットタワーを複数設置するので許してほしいな…。

引っ越し業者さんが出入りしている時、猫は検査がてら病院で預かってもらえる事になった。
ずっとどうしようか悩んでいたから、思い切って相談してみて良かった。

あとは、猫がキャンプ地にしてる押入れの中の物を選別したり、箱に詰めたりしたいのだが、これはひと晩でやるしか無いんだろうな…。

先日猫が、そのキャンプ地の入口(両側に紙袋が置いてある場所)あたりで吐いた。音を聞きつけた人間が部屋に入ると、猫は隠れられなくて困った顔でバリバリボウルタワーの中でじっとしていた。
掃除道具を持って再び部屋に入ると、今度はキャンプ地の反対側の角に縮こまっていた。

猫は、掃除の間中人間が一メートルの距離にいても逃げなかった。以前は近付きすぎると窓の方まで逃げていたのに、この距離は許されるようになったと少し嬉しかったけど、以前みたいなイカ耳で黒目がちな、怯えた表情だった。
やっぱりまだまだ人間怖いねえ、外ではどんな暮らしをしてきたんだろう…。

とにかく、そんな猫の頭上でガサガサ布団や衣装ケースを出したり、大きな物音をたてるのは得策ではない。
ひと晩で長年暮らした部屋の押入れと決着をつけなければならないのだ。

20年ぶりの引っ越し、ひとりで、触れない猫を連れて。
あとやる事は鍵の交換、エアコン取り付け、新居の掃除、家具購入、残った家具の処分、旧居の掃除、そもそも引っ越し業者への予約…ほぼ何も終わっていないのである!
猫との楽しい暮らしが待ってると思って、がんばるぞ!


写真は、細長い爪研ぎの上からあふれ出た謎の毛玉と化した猫

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