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映画「ハリエット」

この映画の主演、シンシアの・エリヴォの存在を知ったのは三年前。好きなミュージカル俳優のコンサートを観に行った時、演者の中の一人として来日していたのが彼女でした。

小柄な体からは想像もできないパワー溢れた歌唱力と、声変わり前の少年のような中性的で魅力的な声色。
彼女が歌い終わった後、会場はスタンディングオベーションの嵐で、日本とは思えない光景が広がっていました。
実際私も彼女の歌声に度肝を抜かれ、今ではそのコンサートの思い出は、目的の俳優さんよりもシンシアの方が鮮烈に記憶に残っています。

そしてコンサート後、SNS上で知った話なのですが、スタンディングオベーションが起こった後、シンシアが泣いていたという。(二階席だったから見えてなかった)
それを聞いてまた彼女の人柄を感じ、すごく好感を持ったなぁ。

前置きが長くなりましたが簡潔に申しますと…

とてもとても素晴らしかったです!

恥ずかしながら私「ハリエット」と言う人物を、この作品で初めて知りました。
労働を強制される数多の奴隷達を、全員生かしたまま安全地へ逃がしたと言う…、しかも若い女性一人が。

また今作の魅力は、ハリエット演じるシンシアのリアルさ。
最初は周りの奴隷達と何も変わらない、一人の黒人奴隷に過ぎなかった彼女が、最後は白人奴隷主に恐れられる存在になる。その過程がすごく生々しいと言いますか…、リアリティに溢れていた。
すごく美人で絵的に美しいヒロイン的な女優さんを使うんじゃなくて、シンシアがハリエット役を演じた事に、この映画の意義を感じました。

パンフレットを読んでびっくり。
仲間を救う合図としてハリエットは作中、故郷の歌を使うんだけど(それがまたカッコイイ…!)、てっきり私、シンシアを起用したから映画側がつけた演出だと思っていて。
しかしどうやら違うらしい。
逃亡途中でボートに乗る際、奴隷達が一斉に乗り込もうとして混乱状態になった時、実際にハリエットは船の上から、アフリカの歌とダンスで彼等を安心させていたんだとか。
(痺れるね…!)

最後に。
話はそれますがこの映画、今上映中の「ストーリーオブマイライフ」と被る時代があるんです。
可能ならどちらの作品も観て、比較してほしいなと思いました。この二作、同じ年のOscarで主演女優賞候補に、ハリエットの主役とストーリーオブマイライフの主役が選ばれているんです。
私達日本人って島国の人間だから、人種間の差別問題にどうしても疎いし、今丁度世界が動いている時だから、是非見比べてほしいなぁ。
それに6月19日から30日まで、TOHOシネマズは1200円だしね!(宣伝しとく)

そして私は一生悔やむ。

コンサート会場でシンシアの握手会の列を並び間違え、彼女と握手できなかったことを……。





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