見出し画像

よりみち~その2~

こんにちわー 今日は8月21日です。

これから夜勤ですが、その前に執筆します。
それでは前回の記事 ”よりみち”の続きです。

~ちょこっと前回のおさらい~

小学生だった私が住む近所に新しい喫茶店が出来て、そこでの店長さん(綺麗なお姉さん)との出会いまでを書きました。

それでは本題です。

小さな常連

喫茶店は一般住宅の一階部分が店舗で、カウンター・テーブル席が4つ程のこじんまりとしたお店。
開店当初は昼前から夕方位までの営業。その後、営業時間が伸びてお酒も提供するお店に変わったのかと記憶しています。

お姉さん(店長さん)の経歴などは覚えていませんが、20歳代後半くらいから自宅の一角で喫茶店を始めたと思います。

当時私の住んでいる住宅地には喫茶店が2店(このお店を含め)でした。

住宅地の規模を考えると、この程度でも十分集客出来たのかな?
マーケティング的な事はさておき、きっと喫茶店を開店することがお姉さんの夢だったのかと想像します。

メニューはコーヒー、紅茶、ソーダーなどドリンク系。軽食(トースト、ピラフ、スパゲティなど)を提供していました。

お客はサラリーマン風な人から、近所の主婦層。お姉さんの人柄や綺麗さからか、開店より徐々にお客が増えてきたのかと記憶しています。

そんな中、小学生がいつの間にか出入りするようになり、当時を思い返してみて、他のお客から見ると
「何だあの子供は!?ここに来ちゃいけないんじゃないの?」
「いつもあの子いるけど、学校とか行っているの?」
など眉間にしわを寄せるような表情で、否定的なものばかりが聞こえてきます。

実際別のお客さんから、呼び止められ注意を受けたことは数回在りましたが、お姉さんは何故か出入りを禁止しませんでした。

ある時、お店で遊んでいると、
お姉さん:「新作が出来たから味見してみて?」
軽食で出すメニューの試食。
子供時分の私としては、おいしいものが食べられる一点で喜んで食べていました。

ある時は、新しいゲーム機(テーブル)が入り、ゲーム大会が始まります。
ああでもない、こうでもないなど他の常連客ともわいわい楽しんでゲームをやっており、気が付けば、私の友達も引き連れいつも学校帰りに通っていました。

それは突然に

私が通っていたのは小学3年生位から、約2年間位でしたでしょうか。

いつもと同じく喫茶店に行くと、何だかいつもとお店の雰囲気が違っていました。
お姉さん:「あのね○○くん話があるの」

と、唐突に話がありました。”えーっ”と私。

お姉さん:「私ねお店を辞めるの」
私:「どうして?」と聞き返すと
お姉さん:「私ね結婚することになったの」

当時の少年だった私には、結婚に対する意味合いは、さほど分からなく、
”へーそうなんだ”程度にしか思っていなかったのでした。

一通り話を聞いて、いつも通りゲームをして、その後ぼーっとした中帰りました。

お姉さん:「またねー」と手を振って見送られ、私も手を振り返し帰っていきました。

お姉さんは色々話してくれたと思いますが、余りにも唐突すぎた話のせいで、その後の話は全然思い出されなかったです。

何故その喫茶店に通っていたのか、今思い返してみるとただゲームをやりたいだけではなく
”学校で起こった話”
”友達間で起きたこと”
”家で起きたこと”
など…
きっと”お姉さんに会いに行きたい”それが理由だったのかと思います。


今思えば他愛のないことをお姉さんに聞いてもらいたかったのかと思います。

寂しさ…

数日後、喫茶店は休んでいました。

お店の前に張り紙が。

”しばらく休みます”との旨が書かれているものでした。

”ああーお姉さん本当にお店辞めちゃったのか”
と心中でつぶやき店を後にしました。
その喫茶店の名は
”よりみち”

いつしか、お姉さんに店名の由来を聞いたときに
「ふらっと気軽に寄り道してもらいたい」との思いで付けた名前です。

風の噂

そんな日々が数か月続き、喫茶店は再開しましたが、窓越しから覗いてみると、違う人が切り盛りしています。

何だか入ることは出来なく、そのまま店を後にしました。

後日、結婚後お姉さんは地方都市に引っ越し、幸せに暮らしているとの話が聞こえてきました。
”ああーお姉さん元気そうで良かったなー”と思いました。
けれども、お礼もさよならも伝えることは出来なく....。
(今でも心の中では後悔が残っています)

私も間もなく6年生。気が付けば塾に通い始めて、徐々に忙しくなってきました。喫茶店の前はいつも通っていましたが、もうお店には入ることも通うことはなかったです。

現在は道路拡張のため、お店自体も無くなり、かつてそこにお店があったことすら分からなくなっています。

当時を振り返り、ただゲームが好きで通っているうちに、他のお客さんとの世間話が楽しく、また、喫茶店そのものの雰囲気が気に入っていました。

そしてお姉さんと色々話をすることで、私の知らない世界がここには沢山有り、お姉さんに対しての憧れや淡い恋心が有ったのかと思います。

今となってちょっと心に寂しさや後悔が残る、思い出話です。

おしまい

今回はここまでです。

読んでいただきありがとうございました。

また次の記事でお会いしましょう。

サポートしていただける方へ、大変ありがたく思います。今後の創作、記事への執筆活動の励みと勇気を頂けると思いますので、よろしくお願いします🎵