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第11話:いいじゃん似てる子がブスじゃないんだから。

でもって金曜日の昼ごろ、アイアイから連絡があって

「今日ちょっと遅くなるから、迎えに来なくていいからね」

で、夜9時頃になってようやくアイアイがマンションにやって来た。

「パパさん来ったよ〜」

って言ったアイアイを見て僕は固まった。
綺麗で長かった髪をばっさり切ってショートになってたからだ。

「え?髪、切ったの?」

「うん、イメチェンしちゃった」

「なんか、悲しいことでもあったの?」

「なに、言ってんの・・・」
「ショートにしたかったからしただけだよ」

「うそ〜長い髪のほうが好きだったのに・・・」
「何で、僕に相談もなく勝手に切ったの」

「だって・・・」

「勝手に切っちゃダメでしょう〜」
「切るなら切るって言ってくれなきゃ、何やってんの・・・」
「前もって言っててくらたら切るなって言ったのに」

「だって、短いのも気に入ってくれると思ったから・・・ 」
「ショートも好きって言ってたじゃん」

「言ったけど、でも長いほうがもっと好きなの!!」
「僕に何も言わないで切って・・ぶつぶつ・・・」
「勝手にそんなことして・・・」
「切っちゃったら、しばらく伸びないんだからね」

「そんなにムキにならなくていいじゃん」

そう言うとアイアイは泣きべそをかき始めた。

え?まじで?・・・そんくらいで泣くなんて思わないじゃないかよ・・・。
僕はびっくりだよ。
そんなにキツく言ったっけ?

「え?、うそ・・・泣く〜?・・・」
「いやいやいや、あ〜ごめん、ごめん」
「パパさんちょっと言い過ぎたよね」

「ほんとにごめん・・・違うから・・・」
「ね、ほらこっち来て」
「はい、ここに座って・・・」

僕はアイアイの手をひっぱってソファに座らせて、なだめたりスカしたり、
ひたすら、焦る焦る。

「いや、ちょっとびっくりしただけだから」
「いいよ、似合ってるよショートも・・・」
「アイアイはどんな髪型にしても似合うからね」

「さっき、怒ってたじゃん」

「怒ってないよ・・・ぜんぜん怒ってない」
「よく見たらショートもいいな」
「エッチの時、他の女の子としてるみたいでいいかも・・・」

「スケベ」
「浮気者・・・そんなことしか頭にないんか・・・」

「ないない、あはは」
「まあ、髪はさ・・・また伸びるしな」

「切っちゃったら、しばらく伸びないって言ったじゃん」

「あれ?そうだっけ?」
「髪切ったら誰かに似てるな・・・短くなって余計そう思うな」

脳裏に浮かんだことを適当に言ってごまかそうとする僕。

「ほんと? 誰に似てる?」

「え?・・・誰って?」
「え〜と・・・誰って言われても?・・・あ、ほら・・・トリ◯ドル?」
「ちょっと違うな〜・・・でもそんな名前の子だよ」

「誰だっけ?・・・トリ◯ドルはすっと出るのにな・・・」
「ト・・・トト・・・トラ?」

「もしかして、それってトラ◯デン?」

「そうそうトラ◯デン・・・正解っ・・・つうかなんでその名前が出て
こないんだ」
「でさ、鼻が似てるのかな?」

「え?そこ?」
「普通、雰囲気が似てるとかって言わない?」
「そんなんじゃ似てるって言われてもちっとも嬉しくないよ」
「って言うか、似てないし・・・向こうは髪だって長いし・・・私より
綺麗だよ」

「あはは・・・ごめん、違ったかもしれない」

「なにそれ・・・もういい加減」

「ん〜じゃあさ・・・あの子・・・アン◯ェラ芽衣ちゃん」

「誰それ?」

「仮面ライダーセイバーのサウザンベースの人」

「仮面ライダー見てないから分かんないよ」

「ん〜じゃ〜さ・・・エ◯イザちゃん?とか?」

「エ◯イザ?・・・・どこの?」

「・・・だから池田エ◯イザちゃんだよ」
「ハーフだし・・・髪だってショートだし」

「もういい加減なことばっか言わない・・・似てないよ」

「トラ◯デンちゃんとかエ◯イザちゃんって、私とぜんぜんタイプ違うし・・・」
「私がハーフぽいからってだけでハーフの子選んでない?」
「パパさんの好きなタイプの子を言ってるだけでしょ?」

「いいじゃん、似てる子がブスだって言ってるわけじゃないんだから」
「みんなべっぴん選んであげてるだろ?」

「あはは」

「笑った、笑った・・・要するにアイアイはショートも似合うよって
僕は言いたかったんだよ」

「ん?・・・なんか誤魔化そうとしてるぅ・・・」

「違うよ、本気でそう思ってるの」

アイアイは目を細めて横目で僕をじと〜っと見た。
ショートボブって言うのかな、ボーイッシュなセフレちゃんも新鮮で
まじいいかも・・・。

急に髪切ったもんだから、僕はちょっとムキになっちゃったんだわ。
でもまじで、別の子とエッチしてるって錯覚しそう、ゾクゾクする。

つづく。

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