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グローバルマクロ戦略の考え方

グローバルマクロ戦略とは、マクロ経済情勢の変化に乗じて、為替、株式、債券、商品などに、買い・売りの両面から仕掛ける投資法である。

ヘッジ・ファンドが用いる戦略は、市場全体の騰落に極力依存せず、様々なリスクをヘッジしてリターンを上げられることで知られている。

いま世界ではインフレ率の上昇が問題となっており、中央銀行はインフレをを回避するため金融引き締めに踏み出した。基本的にインフレの状況下では株式も債券も下落する。

このような状況下では、株式を空売りすることが有効な投資方法の一つであるが、これを定式化すると次のようになる。

■インフレ率上昇→金融引き締め→株式下落

しかしながら、この投資には考慮されていないリスクが存在する。金融引き締めが効かず、インフレが収まらないことである。特に株式はインフレが収まらない場合、一定期間は上昇していく為、ある程度正確に天井を予測しなければ空売りコストが増大していくことになる。

金利が上がるのであれば金利が上がった国債を買えば良いのではないか? 債券価格は下がっているかもしれないが、満期まで持ち続ければその間の価格の上下動は関係がない。

しかし債券投資は金利が得られるが、債券には期間がありその間に市場の金利やインフレ率が変わってしまうことが問題点である。

■インフレ率上昇→金融引き締め→債券下落

株式下落のリスクヘッジをする場合において債権を買うのもタイミングが重要になってしまう。この問題を解決できるのは、期間のない(もっとも短い)金利収入を得ることである。

中央銀行がインフレを打倒するならば、中央銀行はインフレ率に合わせて利上げするしかないので、短期的な差はあれ長期的にはこのようにならざるを得ない。

政策金利は政府の提供する一番短期の金利であり、これに連動した金利収入を得るためには、投資家は同じように一番短期の融資、つまりいつでも預けられていつでも引き出せる融資を行う必要がある。

そのような融資を何と呼ぶか? そのような融資を預金と呼ぶのである。

通常、預金口座の金利は政策金利に連動するが、ほとんどの銀行では政策金利よりもかなり低い金利が設定される。(その差が銀行の取り分である)

そこで預金は預金でも、出来る限り政策金利に近い金利を提供する預金方法が必要となる。それを実現してくれるのがMMF(マネー・マーケット・ファンド)である。

例えば証券口座に付く金利が銀行口座の金利よりも高いのは、証券口座では余った資金が自動的にMMFに投資されるからである。MMFは流れ込んだ資金を短期で貸し出し、政策金利に近い金利を返してくれる。

そうした機能がない場合でも世の中にはMMFのETFというものが存在する。例えばJPMorgan Ultra-Short Income ETF (JPST)である。

こうしたETFを購入しておけば、インフレ率が高くなれば高い金利が得られ、そうでない時には相応の金利水準になる。

但し、これはあくまで相対的な比較であって、インフレ相場では株式投資や債券投資よりも預金が良いということを示したに過ぎない。

預金では例えば自国通貨安などの状況には対応できない。

通貨安にまで対応できるインフレ対策を行ないたければ、タイミングを見計らって貴金属や農作物などの現物資産を買うしかないのである。





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