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#金利

景気後退寸前で利上げに直面する日本経済、不動産市場の暴落は不可避か

7月31日、日本銀行は金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げることを決定した。また、現在行われている国債の買い入れについて、徐々に減額すると発表した。 だから今回論じるのは金融政策よりもむしろ日本の実体経済である。 引き締めを継続するつもりの植田総裁 会合後の記事で報じた通り、日銀の植田総裁は今後も利上げを継続するつもりである。彼は同時に量的緩和の停止にも言及していた。 だが一方で、日本経済は沈みつつある。実質GDP成長率は前期比年率(以下同じ)で次のように

日銀の緩和政策は持続不可能

莫大な政府債務は問題ないのか? 日本と他国のGDP比政府純債務の水準を比べてみると先進国の数値は、2023年から2024年のもので次のようになっている。 日本: 156% 米国: 96% ユーロ圏: 89% イギリス: 92% しかし政府債務は何故問題なのか? 東京の中心に打ち立てられた巨大な便器は、単に1569億円も要したというだけでなく、誰も使い手がいないこの和式便器は今でも莫大な維持費という赤字(年14億円前後)を垂れ流し続けている。 何度も言うがこの便器

円安は止められない

日銀の国債買い入れ 日本では日銀が大量の国債を買い入れた。だが国債を買い入れたすべての中央銀行は今、大きな損失を抱えている。 コロナ後の現金給付が物価を高騰させて以来、世界各国で金利が上がっている。債券にとって金利上昇は価格下落を意味するので、それは債券の価格が下がっているということである。 その影響を受けた経済主体はたくさんある。まず一番の問題は、金利が上がったことでこれまで利払いがほとんどなかった莫大な政府債務に多額の利払いが発生していることである。 金利がゼロな

グローバルマクロ戦略の考え方

グローバルマクロ戦略とは、マクロ経済情勢の変化に乗じて、為替、株式、債券、商品などに、買い・売りの両面から仕掛ける投資法である。 ヘッジ・ファンドが用いる戦略は、市場全体の騰落に極力依存せず、様々なリスクをヘッジしてリターンを上げられることで知られている。 いま世界ではインフレ率の上昇が問題となっており、中央銀行はインフレをを回避するため金融引き締めに踏み出した。基本的にインフレの状況下では株式も債券も下落する。 このような状況下では、株式を空売りすることが有効な投資方

円は安全通貨ではない!

ある程度、投資を行っていれば一度は「安全通貨の円買い」や「逃避先の円買い」などのフレーズを聞いたことがあるかもしれない。 しかし安全通貨だとか、避難先だとか、一切根拠のない出鱈目が何故か毎度のように紙面を賑わす。 リスクオフの場面で生じることは「株などのリスク資産の売却」である。そしてその結果生じることは主に以下の2つである。 リスク資産を売った資金が国債などに流れ込むことによる金利低下 投資家の信用取引(マージン)の解消 リスクオフにおける金利と通貨の関係 先ず

日銀が円安を止められない理由

コロナ以後、円安が止まらない。日本でもインフレ率が上がっているが、金利の方はインフレ率ほどの上昇を見せていないからである。 円安と日銀緩和 円安は明らかに日本の家計を蝕んでいる。エネルギーや食料品、プラスチック製品など日本国民が消費するものの多くは輸入依存であり、ドル円の上昇分はそのまま輸入物価の上昇に直結している。 コロナ後にドル円が40%以上も上がったということは、基本的に輸入物価がそれだけ上がったということである。ドル円はそのまま元に戻っていないので、輸入物価もそ

債券とは何か?金利決定要因の計算式とは?

世界の金融市場には株式市場、為替市場、商品市場など様々な市場がある。投資をするうえで避けては通れない分野がある。それは個人投資家に一番馴染みのない債券市場にである。 債券市場は個人投資家に馴染みの薄い市場であるにもかかわらず、グローバルマクロのヘッジファンドが最も重要視する市場である。債券市場とはいわゆる金利を決定するものであり、金利は株価や為替レートなどに影響を与える、金融市場のなかで最も重要な指標だからである。 逆に言えば、多くの個人投資家はプロの投資家が重要視する情