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アメリカ大統領選を考える

大統領選挙が近づいている。今は6月だからあと半年を切っていることになる。 事前調査ではトランプ氏がリードしており、トランプ氏の勝利を予想する著名投資家も多い。 投資家が考えなければならないのはトランプ氏の経済政策である。トランプ氏が再び大統領になればアメリカ経済はどうなるのか。 トランプ氏のインフレ政策 トランプ氏は、1期目に導入し2025年に失効する所得税減税の恒久化を計画している。この減税は、主に富裕層や中小企業経営者、不動産業界関係者に恩恵がある。また、トランプ

6月FOMC会合結果と今年の利下げ予想はどうなる?

アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)は米国時間6月12日に政策決定会合であるFOMC会合の結果を発表し、政策金利を5.25%に維持した。 金利の維持は予定通りだが、最近のインフレ動向にパウエル議長がどう反応するかが投資家に注目されていた。 インフレとFOMC会合 パウエル議長は去年の終盤から利下げをテーブル上に持ち出していた。以来米国株が上がっているのもそれが理由である。 ただ、インフレ率はそれ以来横ばいを続けており、パウエル氏の予想ほどには下落していなかっ

紙幣とゴールドの違い

富の貯蔵手段 誰もが収入を得ており、その一部を貯蓄している。 普段ほとんどの人がそんなことを考えないが、富の貯蔵とはなかなか難しい経済学的テーマである。 良い貨幣とは世界中で受け入れられる富の交換方法であり、同時に良い富の貯蔵方法にもなるもののことである。 世界でもっとも認められた貨幣はドルであり、その次はユーロであり、その次は円であり、その次は人民元である。 こうした貨幣は負債性資産という。つまり、負債に裏書きされている資産である。通貨とは負債なのである。 ほとん

グローバルマクロ戦略の考え方

グローバルマクロ戦略とは、マクロ経済情勢の変化に乗じて、為替、株式、債券、商品などに、買い・売りの両面から仕掛ける投資法である。 ヘッジ・ファンドが用いる戦略は、市場全体の騰落に極力依存せず、様々なリスクをヘッジしてリターンを上げられることで知られている。 いま世界ではインフレ率の上昇が問題となっており、中央銀行はインフレをを回避するため金融引き締めに踏み出した。基本的にインフレの状況下では株式も債券も下落する。 このような状況下では、株式を空売りすることが有効な投資方

円は安全通貨ではない!

ある程度、投資を行っていれば一度は「安全通貨の円買い」や「逃避先の円買い」などのフレーズを聞いたことがあるかもしれない。 しかし安全通貨だとか、避難先だとか、一切根拠のない出鱈目が何故か毎度のように紙面を賑わす。 リスクオフの場面で生じることは「株などのリスク資産の売却」である。そしてその結果生じることは主に以下の2つである。 リスク資産を売った資金が国債などに流れ込むことによる金利低下 投資家の信用取引(マージン)の解消 リスクオフにおける金利と通貨の関係 先ず

日銀が円安を止められない理由

コロナ以後、円安が止まらない。日本でもインフレ率が上がっているが、金利の方はインフレ率ほどの上昇を見せていないからである。 円安と日銀緩和 円安は明らかに日本の家計を蝕んでいる。エネルギーや食料品、プラスチック製品など日本国民が消費するものの多くは輸入依存であり、ドル円の上昇分はそのまま輸入物価の上昇に直結している。 コロナ後にドル円が40%以上も上がったということは、基本的に輸入物価がそれだけ上がったということである。ドル円はそのまま元に戻っていないので、輸入物価もそ

為替介入でドル円が急落したらドル円は買い場

ドル円は長らく上昇している。それは円に対してだけでなく、ドルは様々な通貨に対して広範囲に上昇している. しかしドルは特に円に対して上昇している。その理由は1つにはアメリカがインフレ抑制のために金融引き締めを行なっている一方で、日本が物価上昇にもかかわらず未だに紙幣印刷を行なっているからだろう。 奔放な金融緩和と現金給付の結果、アメリカ経済と米国株は窮地に陥っているのに、嬉々として同じ道のりを後から進もうというのだから日本人の先見性は流石である。 さて、背景はともかくとし

テクニカル分析で相場は予測できない

テクニカル分析かファンダメンタルズ分析かという論議は、非常に古典的な議論であるが、少なくともテクニカル分析は市場の未来を予測できないという点は比較的容易に証明可能であるにもかかわらず、非常に多くの人々がいまだ正しく理解をしていないという点で珍しい論題である。 しかも、個人投資家のみならず、金融のプロフェッショナルでもテクニカル分析で市場の未来を予測できると思っている人が沢山いる。あるいは、直接そう主張せずとも、そういう考えを自分の投資方針に持ち込んでいる人は著名投資家でもか

債券とは何か?金利決定要因の計算式とは?

世界の金融市場には株式市場、為替市場、商品市場など様々な市場がある。投資をするうえで避けては通れない分野がある。それは個人投資家に一番馴染みのない債券市場にである。 債券市場は個人投資家に馴染みの薄い市場であるにもかかわらず、グローバルマクロのヘッジファンドが最も重要視する市場である。債券市場とはいわゆる金利を決定するものであり、金利は株価や為替レートなどに影響を与える、金融市場のなかで最も重要な指標だからである。 逆に言えば、多くの個人投資家はプロの投資家が重要視する情