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政治・哲学・思想

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政治・哲学・思想系の記事をまとめてます。
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記事一覧

日本の年金問題の本質

集団自決と社会保障 昨今、日本では老後2000万円や年金受給などの話題が盛んである。 経済学者の成田祐輔氏はネット番組での過激発言が話題になったことも記憶に新しいと思う。大多数の反射神経が優れた人々には彼の発言の意味は理解できないが、反射神経の悪い少数の人々には解る話である。 世代間の資産移転 これは2013年のインタビューなのだが、今の日本の状況に相応しいと思ったので紹介したい。ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを運用していたことで有名なファンドマネージャーのス

ヨーロッパの移民問題の本質

移民問題の裏にあるドイツのヨーロッパ統一願望と、それが欧州経済に及ぼす影響について書いていこうと思う。 国境なき欧州 そもそも移民問題が各国それぞれというよりはEU全体の問題となっているのは、ヨーロッパ内に国境が存在せず、原則として人の行き来が自由となっているからである。EUの内、ほとんどの国はシェンゲン協定に加盟しており(イギリスなどを除く)、それぞれの国境において入国審査を行わない決まりとなっている。したがってヨーロッパの一国にさえ入国してしまえば、あとはヨーロッパ内

政府主導の経済が自由市場の経済に勝てない経済学的証拠

2024年1月の世界経済フォーラム(通称ダボス会議)から、アルゼンチンの大統領でありオーストリア学派の経済学者でもあるハビエル・ミレイ氏の演説を紹介したい。 ミレイ氏はオーストリア学派の経済学者だが、オーストリア学派では財政支出は無駄な公共事業を積み上げるだけで国民の幸福には繋がらず、生産性向上のためには民間セクターにおけるイノベーションと努力が必要だと考えている。 ミレイ氏の経済学的論証 ミレイ氏はそれを論証するために経済統計を持ち出す。 彼は次のように述べている。

現代のリベラリズムは衆愚政治である

新自由主義の経済学者ミルトン・フリードマン氏が、経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の著書『隷属への道』の序文において現代のリベラリズムを痛烈に批判している。 共産主義としてのリベラリズム 1912年にアメリカに生まれたフリードマン氏は自由主義(リベラリズム)の経済学者として知られる。しかしフリードマン氏の「リベラリズム」は現代におけるいわゆる政治的なリベラリズムとは全く別ものである。彼は次のように言う。 『隷属への道』は基本的には共産主義・全体主義を批判する本であ