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全部笑って楽しんじゃおう

今日の英会話レッスンはテキストを一切使わなかった。
新型コロナ対策でお互いの街がどうなっているかについてひたすら話した。あっという間に時間が過ぎたし、なんならオーバーした。

私が利用しているオンライン英会話の講師はみんなフィリピン人で、今までもたまに状況は聞いていた。
それでもテキストを放棄してまで話したのは、きっと講師の先生の思いやりだったような気がしている。
「東京も緊急事態宣言が出たの。ちょっとナーバスな気分かもしれない」とぽろっと伝えたから、それに応えてくれたのだ。

フィリピンの現状を明るく教えてくれる。
「東京は、お願いします、家にいてくださいって感じでしょ?こっちは、家にいなさい!!って感じだよ」
「インドの動画見た?あれめちゃくちゃ笑っちゃった」
「外にポリスがいるよ!殴られないけど連行されて隔離、そのあと罰金1万円」

「県の配給の内容がびっくりなんだ。ひと家族につき、米2キロ、缶詰5個、袋麺2セット。これで全部」
多分、いや確実に足りない。配給されたのは2週間前らしい。スーパーも買えるのは1人あたり商品5個まで。
家から出ないから仕事ができない人も多い。
どう考えても事態は深刻だ。

なのに彼は笑い飛ばす。
「政府主導のダイエットだよ!」

どうせ家の中にいるなら、悲しんだり落ち込んだりするより笑ったほうがいいでしょ、と言う。

「全部笑って楽しんじゃおう。それしか出来ることがないし、なにより家の中でも僕はハッピーだよ!」

明るい笑い声に釣られて、気づいたら私も爆笑していた。
すごいなあ、笑いの効果は国境なんか平気で超えちゃうんだ。

彼の家族は制限いっぱいまで卵を買い込んだらしい。
ありとあらゆる卵の食べ方を試して楽しんでいるそうだ。
そろそろネタ切れ〜と笑う彼に、最後に精一杯の英語力で伝える。
すごく楽しかった。
あなたとの時間が私をハッピーにしてくれたよ。
僕もだよー!と言う声を聞きながら笑顔で通話を切った。

しみじみ思う。
英語をもっともっと話せるようになりたい。
こんなに拙い英語でもこんなに世界が変わって見えるんだもの。
なんとか聞き取った彼の思いやりは、多分ずっと忘れない。



読んでくれてありがとうございます。 我が家のお猫様4人のちゅーるに早変わりします。