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【映画レビュー】『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち前章TAKE OFF』の感想。いろんな視点で見る戦争群像劇!

10月の頭に上映をスタートしていながら、今更滑り込みで観てきました。

『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち前章TAKE OFF』のざっくりとした感想

大阪・なんばパークスシネマの最終の上映回にて『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 TAKE OFF』を観てきました。

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宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-
制作年:2021年 / 制作国:日本
サテライト制作 / 103分
監督:安田賢司

『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』に続く、宇宙戦艦ヤマトシリーズ最新作。1979年に放送されたTVSP版『宇宙戦艦ヤマト新たなる旅立ち』をモチーフにした全2章の前章にあたる映画です。ちなみには私は未見です。

『宇宙戦艦ヤマト』シリーズへの知見は少ないものの前作『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』でこれまでのおさらいは済んでいるのである意味万全の状態(極端)で臨みました。

そんな私が本作を観てきた感想をざっくり一言でいうと

秀作。

元のTVSP版が未見なこともあってか、ストーリー含めてしっかり楽しめました。ビジュアルは綺麗だし、話もコンパクトにまとまってる。成熟した思考の従来の面々と、初々しい新隊員達のコントラストがまた良く、密な体験となっていました。

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宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF- 別バージョンポスター

エンドロールで実は4話構成だったことを後から気づくほど、一本の長編としても十分様になっている映画でした。まあ前後編なので、今作で完結はしてませんが、話のキリも良くて満足。

『宇宙戦艦ヤマト』、面白い!!と思える映画になっていましたよ。

もう少し詳しい感想を書いていきます。

親切設計で今回もあったあらすじ解説

前作『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』がこれまでのシリーズの総集編となっていたわけですが、実は今作の冒頭にもしっかりこれまでのあらすじが設けられていました。

「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択

この総集編のまとまりがなかなか綺麗にまとまっていて、見事。
もはや、『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』とはなんだったんだよと言いたくなるぐらい簡潔で、正直、前作のやたら濃すぎる密度で辛かった総集編『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』よりも今作のあらすじを見た方が良いのではないかというぐらい。この2205をスタートに宇宙戦艦ヤマトデビューしてもいいのではないかというほどでした。

成熟したメインキャラクターたちの次世代の物語!

今回の前半のキーキャラクターとなるのがデスラー
かつての宿敵でありながらすでに改心を果たしている彼が、自国の星の民を守るべく、正義然とした行動に走る姿はやはりグッとくるものがあります。
デスラーさん、「すごいいいやつ!」となる瞬間が用意されているのですが、少年漫画でかつてのライバルが味方になるような熱さもありました。

デスラーさん。

そして、同じく対となるのが、古代進。こちらは人間たちの大事な資源と引き換えに命を救ってもらったことから生まれてしまった重責がのしかかっており、こちらもまた新たな局面に及んでいることが描かれます。

進おにいさん。

この二人だけでも、それなりのドラマになるのですが、それなりのドラマになるはずなのですが、そこに新たな次世代の乗組員の物語が絡んでくるところがまた濃密。

古代進に対して因縁が生まれてしまった準主人公の土門竜介や、その仲間たち。さらには人類側にやってきていて、疎外感を感じているガミラス星側の人間であったり…..ベテラン勢とは別の視点が加わっていることで群像劇として、バランスの良いストーリーとなっています。

何よりも若い世代の行動がフレッシュで良し。無骨な精神や態度、そして行動力と、胸の内が十分に明かされていない進の態度が、映画のここぞというタイミングで合致した時のカタルシス非常に気持ちよかったです。

『宇宙戦艦ヤマト』が描く戦争の日本っぽさ

そして今作なんと言っても面白いのが、今回の大きな事件がガミラス星と別の星の戦いである点

地球人にとっては他所の星同士の戦いであり、現状では関与する必要のない戦いなのですが、果たして応戦するのか・それとも事なかれで静観するのかというスケールの大きい選択を迫られる展開が用意されます。

この状況は、まさに戦争の放棄をした日本にも重なるシチュエーションにもなっており、手の届く範囲で起こっている戦争に対し、私たちが何をするべきか、というのを観ているこちらにも訴えかける内容となっています。

ながらく「その引きがねを引くのか、引かないのか」を描いてきたヤマトシリーズにおいて、リフレインになりつつ、新たな問題提起にもなっているうまいストーリーだと思いました。

後半以降、どういった物語になっていくのか非常に楽しみですし、『宇宙戦艦ヤマト』という作品が、日本と戦争を考える上で良い教材であったり、考えを深める良い題材なのでは、と思い知りました。今後どうなっていくのか、後半を観るまではリメイク前は観ないでおこうと思っているので、楽しみに待ってます。

物語は2022年へ持ち越し!

前後編ではありながら、その隣人が迫られる戦火を静観するか否かの答えをヤマトなりに出しつつ、後編に続くところがまた、単体でも気持ちの良い映画となっていて良かったですね。

後編となる『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』後章 ‐STASHA-』は2022年2月4日に劇場公開予定。楽しみになってきました。

『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』後章 ‐STASHA-

ただ、私が観た回は、後編の冒頭7分15秒を流してくれる特別上映バージョンだったのですが、めちゃくちゃぬるっとしたタイミングで切られてきまりが悪かったので、普通数十秒の予告編で良かった気がします
楽しみは来年までとっておきます。

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