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【映画レビュー】原作未読TVアニメ版未見で挑む『劇場版ツルネはじまりの一射』の感想

レビューが溜まりに溜まってますので、頑張って消化していきます。

『劇場版ツルネはじまりの一射』のざっくりとした感想

『劇場版ツルネはじまりの一射』を観てきました。
公開開始から1ヶ月ぐらい経ってましたが、20人近くという割と多くのお客さんが入ってるのがさすがでした。

劇場版ツルネはじまりの一射
製作年:2022年 / 製作国:日本
102分 / 京都アニメーション製作
監督:山村卓也

https://eiga.com/movie/94006/

小説『ツルネ風舞高校弓道部』を2018年に京都アニメーション制作でTVアニメ化。テレビ版の監督を務めた山村卓也さんが監督・脚本を手がけます。
総集編映画とは一切明言されていないようですが、総集編+新規カット映画。

TVシリーズをまだ追っていない身としては、全然総集編映画でも良いんだけどね、という軽い気持ちで臨みました。

観てきた感想をざっくり一言で言うと……

秀作!

スタートダッシュこそ総集編映画らしい駆け足感はあったものの、それを忘れるぐらい後半に向けてしっかり見入る作りでした。

最初は自身が未経験なこともあり“弓道”についてピンと来てなかったのですが、締めにはしっかりその美しさに目頭が熱くなりました
ロマンチックだよネ。

ざっくりではなく、ネタバレを若干含みつつもっと詳しい感想を書いていきます


「弓道」ってなんだ?にちゃんと応えてくれた

本作は、主人公の鳴宮くんが弓道部で、弓道の大会に挑んでいくという、いわゆる部活動モノの作品。部活動モノの作品はジャンルで考えると山のようにあるわけですが、それらとどう差別化していくかといえば、やはり題材。

『ツルネ』は「弓道」というあまり前例のないジャンルに臨んだ作品です。

漫画では意外と弓道モノは探せば出てくるのですが、ことアニメーションに関しては少ないので、それだけでも映像化は有意味です。

ただ、私は弓道のことを全く知らないもので、“矢を射る競技”ぐらいのぼんやりしたイメージで臨んだので、
「弓道ってなんだよ」
「とっくに銃の時代が来てるのに弓って……」

と、かなり“武器”としての弓のイメージで、弓道を想像し、ある意味舐めてました。

そんな私ですが、この映画を観て、学びました。
そうじゃないと。

(C)綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

この映画の冒頭でも、鳴宮くんとその師であるマサさんが、弓道の音に魅せられるシーンで始まります。最初こそこのシーンにピンと来なかったのですが、鳴宮くんと一緒に部活動を体験していくうちに、弓を構えて、矢を放ち、スパーンッと的に当たるーーその気持ちよさがどんどん感じられるようになってきます。

というか、クライマックスが気持ちよく感じられるようにしてくれてるんですよね。

ダーツやアーチェリーのような競技とも違って、的に矢が当たりさえすれば良いということからも、弓道の弓は“武器”ではないんだろうな、とこの映画を観てわかりました。

そして、それがわかった上で、鳴宮くんのこの映画で最後の言葉をかみしめると、すごく染みまして、とても良い弓道体験となりました。

鳴宮くんの感じた弓道の気持ちよさを知れる、素敵な部活動体験映画


クライマックスの決勝トーナメントが静かに熱い!

初めて体験するといえば、弓道の大会の様子も知らなかったことが多かった!クライマックスでも描かれる団体戦では、5人が横に並んで、順に弓を射っていくという形式ということも知らなかったです。

黙々と順に弓を射っていく様子には、最初はなんだか地味じゃないか?と不安に思っていたのですが、ここの見せ方がまた上手い。

殿(しんがり)を務める鳴宮くんの目線で、一度めは苦戦を強いられる試合を見せておきながら、クライマックスではしっかり各部員の真骨頂を見せていきながら、そのラストをまとめるかのように、主人公がこれ以上ないぐらいにスパンッと決めてくれる。

地味どころか、むしろ盛り上がらないはずのない手に汗握る展開からのカタルシスを披露する手堅い見せ場が用意されていました。
うまい!

最後に綺麗に全体をまとめる気持ちのイイ決勝戦が用意してある!


駆け足を先にしてしまうという英断!

TVアニメシリーズを追えていないので追加カットがどれだったのかは、把握できていないのですが、そもそも既存カットと追加カットの差が分からないぐらい全体的に絵が綺麗なのは、さすが京都アニメーションさんです。

(C)綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

総集編映画という観点でも、見事。

どうしても、TVアニメの総集編となると内容を凝縮して駆け足になってしまうところが出てくるのですが、本作はその駆け足を冒頭で早々に済ませてしまうというのが英断

鳴宮くんの周囲な人物がどんな人たちなのかといったところや、入部までの流れなどはバッサリ割愛し、後の会話や演出などから補填できるようにする仕組みを取っていました。

さすがに何も事前情報を仕入れずに観にいったので、最初は戸惑いを感じたのですが、鳴宮くんが早気(ハヤケ)という課題を持っていることと、マサさんは師匠との因縁があることなど、今回の映画の根幹に関わる内容を軸にすぐに話を進めてくれるので、存外すぐに気にならなくなりました。

ある意味、強引な力技みたいなところはありますが、総集編映画という課題に対しての一つの正解な気がします。

総集編映画ではありながら、それを気にさせない作りになっている。


まとめ

●弓道がどんなもので、どんな気持ち良さがあるのか体験させてくれた。
●クライマックスがしっかり盛り上がりと綺麗なまとまりを担っている。
●総集編映画にはよくある駆け足感を、うまく誤魔化せている。

といった感じで、思った以上に満足の得られる体験となっていました。
弓道ってかっこいい。
弓道って気持ちいい。
そんな感覚が私の中にも芽生える素敵映画でしたよ。

そしてこの流れから2023年1月からはTVシリーズ2期『ツルネ-つながりの一射』の放送が始まるそうで、流れとしては完璧ですよね。

正直、「これ以上面白い試合作れるの!?」というぐらい弓道の試合形式で面白く見せる見せ場を、今回の映画のクライマックスで使ってしまったと思っているので、果たして越えられるようなものが出てくるのか。
ある意味、楽しみです。


公式サイト


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予習記事。夏休み映画と言いつつ、モロ9月後半に観に行きましたが(↓)


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