【映画レビュー】事件自体に驚かされる珍アニメーション『ソマリア94 イラリア アルピの出来事』の感想
東京アニメアワードファスティバル(以下、TAAF)2018での鑑賞作品の感想です。
『ソマリア94 イラリア アルピの出来事』のざっくりとした感想
『ソマリア94 イラリア アルピの出来事』を観てきました。
TAAF2018で無料上映プログラムとして上映が実施された30分ちょいの中編アニメーション作品。イタリア人記者のIIaria AlpiとカメラマンのMiran Hrovatinが内戦中のソマリアで殺されてしまった事件に対して追悼と真実を次世代に伝えるため、外部資金を使わず制作された手書きアニメーション……とのことです。
制作会社のロゴがこんな感じなんですけど、クオリティどうにかできんのか。
本作を観てきた感想をざっくり一言でいうと
そんなに面白くはない・・・けど
というちょっと一言では片づけられない作品でした。
ざっくりではなく詳しい感想を書いていきます。
アニメーションとしては古くて稚拙!?
書かれている出来事をひとまず置いておいて、アニメーションの出来栄えという視点で観ると、本作はやや面白みに欠ける気がするのは確か。
94年の出来事を描いているからなのか、分からないですが、アニメーションとしては90年代を思わせるような粗い映像のアニメーションとなっていまして、これが2017年の作品と聞いてちょっとびっくりしています。その粗さにノンフィクションっぽさが出ていて、BGMも相まって魅力には思えたりするのですが、いかんせん物語として面白みが薄いのもあって、単に洗練されていないだけに見えてしまいました。
ノンフィクションだし、不用意に付け足して面白みを足すなもんじゃないないのはわかっているのですが、面白みというか、映像作品として見せる魅力が弱く、描いている事情などを追う引っ掛かりとなるほどのアニメーションに成りえてないように思いました。
この作品って興行作品以上に見てもらわないといけない作品だと思うので、画としても物語としても見やすいアニメーションではないのは致命的なように思いました。
描かれている事情を調べてみて驚いた!
で、アニメーションの出来とは別に、作品で描かれている内容をしっかり調べてみるとなかなか衝撃的。
ソマリアと言われてどこかもわからなかったのですが、アフリカの左上のとんがったあたりがソマリアという国なんですね。
ここは90年代に内戦に突入し、まもなく国連PKOが介入していくことになるのですが、まさにその時期を描いた作品がこの『ソマリア94-イラリアアルピの出来事』なわけです。
そして、この作品ではIIaria AlpiとMiran Hrovatinが、先進国がこのソマリアを核廃棄場所として陰で利用していたという証拠をつかんで告発しようとしたところを殺された…….という話なんですけど、これに関してちょっと調べてみるだけで、まさにその核廃棄物が発見された写真などが出てくる出てくる。アメリカをはじめとした先進国の怪しい話が多数存在するんですね。
先進国がこっそりソマリアを核廃棄物のごみ廃棄場所扱いしてた可能性が高く、これが本当なら鬼畜の所業。 2018年の今でも、決着がついてないどころか今後問題として大きく取り上げられてもおかしくなく、沸々と燃え上がり始めている、いわくつきの戦争だったようです。
改めて、自身のそういった情勢への疎さを反省するとともに、今回調べるきっかけとなったからこそ、私にとっては非常に意味のある作品であり、上映となりました。
まとめ
魅力的な作品としての紹介はできませんが、意味の大きな作品としてはぜひ推しておきたい一作でした。
もちろん一方的な視点・主張の作品であるのには代わりないのですが、耳を傾ける…….もとい目を向ける価値ある作品には感じられました
こういう意外な視点の作品を上映してくれるからTAAFは侮れないです。引き続き、ちょっとこういった代わった視点のアニメーションを上映してくれると嬉しいです。
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