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【映画レビュー】「Cinem@rt韓国アニメセレクション」全5作品一挙レビュー!

韓国のレアアニメ映画が日本上陸ですよ!

Cinem@rt韓国アニメセレクションと題して、ここ10年ちょいに韓国で制作されたアニメーション映画5本が、2023年1月27日(金)に上映されることが発表されました。

そして、上映に先駆けて、シネマートさんがサービス提供をしている映像配信サービス“おうちでCinem@rt”にて12月23日(金)から先行独占配信がスタートしました。

こちらではひと作品48時間レンタル1,200円(税込)で観ることができます。

どういう作品なんだろう……と中身が気になったり、心配だったりする人のために、それぞれの作品をこの記事では一挙にレビューして参ります。


耳穴

耳穴
(原題:제불찰씨 이야기)
制作年:2009年 / 制作国:韓国
監督:クァク・イングン、キム・イルヒョン、リュウ・ジナ、イ・ウンミ、イ・ヘヨン

ギャグ漫画みたいなビジュアルに騙されるなかれ。
耳かき屋の落ちこぼれブルチェルが、思わぬ形で成功を収めるのですが、思わぬ人間の仕組みの秘密を知っていく、しっかりダークファンタジー

「えっそんな方向に進んでいくの!?」
という展開から
「これ、そのまま連作のドラマ化できそうだな……」
となっていき、最終的に
「あっ、これヤベーやつですね。好物です。」
と着地していく、なかなか侮れない佳作

実は今作、2009年のアヌシー国際アニメーション映画祭にもノミネートを果たしていた一作。

STORY

大人気のテレビ裁判番組「生きるか死ぬか」。被告の無罪/死刑を一般投票で決めるスリリングな構成で、視聴者を熱狂させている。今回の容疑者は、謎の精神錯乱事件の原因を作ったという、1匹のクモだった。 その数カ月前。生き別れた最愛の姉を探しながら、ペットのクモだけが友達のみじめな生活を送る青年チェ・ブルチャルは、耳かきサービス会社で働き始めた。顧客ともろくに話せない内気な彼は、社長から激励として“体力のつく薬”を飲ませてもらう。だがそれは、人体を耳の穴よりも小さくしてしまう特別な薬だった。 ブルチャルが直接耳の中に入って行う耳かきは顧客から大好評で、彼の存在も大衆から注目を集めるように。忙しく働き続けるうち、彼は耳の穴の一番奥から、人の心の深層がのぞけることに気付くが……。
https://www.cinemart.co.jp/vod/lineup/detail/000899.html

密事 閉ざされた村

密事 閉ざされた村
(原題:은실이)
制作年:2011年 / 制作国:韓国
71分 / PG12
監督:キム・ソナ、パク・セヒ

こちらはポスターから滲み出るような暗いイメージと一致した暗めのミステリー作品にして子供は鑑賞時注意なPG12のハードな凶悪作。

出産したばかりの赤ちゃんを残し、死体で発見された知的障害者のウンシル。彼女に何が起こったのか?同級生たちの目線で明かされていく“嫌な村映画”。責任の矢印は簡単に定めさせない、重厚なヤツです。

韓国でも、題材的に『トガニ幼き瞳の告発』が類似作として名前が挙がるようですが、私は未見なのですよね......。なので、むしろ思い出したのは『我は神なり』(2017)の方。話のあらすじは違えど、あの映画が描いた地方の村の閉塞感を思い出しましたよ。良い意味の“嫌な感ジ”が詰まってます。

STORY

父親の還暦祝いに参加するため、ソウルから故郷の村に帰ってきた女性イネ。父親を慕って多くの村人が集まっているその宴席に、衝撃的な知らせが飛び込んできた。村で暮らす知的障がい者のウンシルが、一人で女の子を出産した後、手当てされないまま死んでいたのだ。地元の警察は慌てたように事件を処理するが、ウンシルと小学校の同級生だったイネはその経緯に疑問を感じ、自ら子どもを預かって、ウンシルを暴行した人間を突き止めようと試みる。だが同じく同級生だったソンミとジヨンはイネに冷たい視線を向け、子どもを施設に託すよう忠告する。村人たちもことごとく子どもを忌み嫌い、ついに誘拐して殺そうとする者まで現れた。ウンシルとその子には、一体どんな秘密が隠されていたのか……。
https://www.cinemart.co.jp/vod/lineup/detail/000900.html

アンニョン、私のユーレイ様

アンニョン、僕のユーレイ様
(原題:솔로탈출귀)
制作年:2011年 / 制作国:韓国
84分 / PG12
監督:チョン・ヨンソク

同級生に片思い中の男ウンジと、幽霊学校の落ちこぼれ霊ジソンが、協力関係を結ぶうちに良い感じになっていくラブコメディ。先が読める話ではありつつ、そのベタっぷりがだぁい好き。ジソンちゃんがまんまと可愛く見えてくるんですわ。

おばけ学校的な設定は、日本作品でもよくありますが、これを韓国で作るとどうなるのか、というのがまた面白い。随所の「韓国版だ!」という幽霊学校描写がジャブのように効いてくる。

作中に登場するこっくりさん的な“分身様”が主人公二人の仲を深めるという展開も、呪文が日本語でびっくり。分身様は日本人なのか!?

STORY

ウブな大学生ジョンフンは片想いの同級生ウンジに近づくため、幽霊なんて信じてもいないのに、彼女が所属するオカルト研究サークルに入部。ところが、サークル合宿で不思議な酒を飲んだことから、思いがけず幽霊が見える体質になってしまった! 彼の前に現れた女幽霊ジソンは、幽霊学校の劣等生。人間を驚かす霊能力を身につけて“スター幽霊”に昇格し、人間へと転生したいのだが、成績はいつもビリだ。彼女はウンジの気を引きたいジョンフンに、自分の霊力を貸す代わりに試験の手伝いをしてほしいと持ちかける。互いのもくろみは成功し、ウンジはジョンフンの霊感(実はジソンの働き)に興味を示し、ジソンの成績も急上昇。だが、幽霊学校の優等生ミミはジソンの変化を疑い、二人の秘密を探り当ててしまう。
https://www.cinemart.co.jp/vod/lineup/detail/000901.html

ジンジンとアキタ

ジンジンとアキタ
(原題:우리집 멍멍이 진진과 아키다)
制作年:2016年 / 制作国:韓国
監督:チョ・ジョンドク

港町に住む少年ジェヨンの日常を描くハートフルストーリー......かと思いきや、母親は宗教に傾倒して、 父親は飲んだくれというハードモード。この話、どこに着地するのかと思いきや、父の大事な飼い犬のチェーンを外す事件から一気に加速します。犬の失踪がどんな着地へ導くのかに注目。

よいこのみんなは飼い犬のチェーンを外さないように気をつけよう。ちゃんと犬映画でもあるんだけど、食用の犬肉屋も登場します(!)。ただ、犬の安否が心配な愛犬家の皆様へ一応お伝えしておくと。犬は無事です。

それにしても、秋田犬にアキタと名付けるの良いね。

STORY

1983年夏。韓国南部の小さな港町に、ちょっと内気な小学生ジェヨンが暮らしていた。彼の家族は、両親と姉と妹、それに父親がかわいがっている2匹の犬、珍島犬の“ジンジン”と秋田犬の“アキタ”。魚市場で働く父は、毎日酔っ払って帰宅してはジェヨンたちをしかり飛ばし、母親ともしょっちゅう衝突している。家族を困らせて犬たちだけに愛情を注ぐ父親の姿に、寂しい気持ちを募らせていくジェヨン。ある日ついにその不満が爆発し、ジェヨンはジンジンの鎖を外して、家から追い出してしまう。ところが、放たれたジンジンは興奮して子どもたちを追いかけ回し、なぜかそこにアキタも加わって、町中が大騒ぎに。だが警察に大目玉を食らった父親は、思いもよらぬ行動に出る。ジェヨンはその真意を測りかねるが……。
https://www.cinemart.co.jp/vod/lineup/detail/000898.html

ホテル・ローズ 欲望の館

ホテル・ローズ 欲望の館
制作年:2018年 / 制作国:韓国
77分 / PG12分
監督:ヨ・ウナ

売春宿にアルバイトにやってきたアイドル志望のハンナと、病気の妹の治療費を稼ぐべく、メイドとしてやってきたミナの友情物語......なわけがない暗黒映画。

主人公も、店の人も、客の人も、どいつもこいつもなんだかヤバそうなんだけど、案の定、やばい方向へと物語はねじれ進んでいく。ピンクのバラが次第に赤く染まっていく凶悪ぶりは、5作品の中でも随一。

韓国アニメセレクションのビジュアルに使われてるのが、ハンナとミナが憧れるスターのローズちゃんな点で、韓国“凶悪”アニメセレクションという裏メッセージだったのかもしれない(『アンニョン、僕のユーレイ様』はちゃんとポップだよ)。『パーフェクトブルー』なんかも思い出した映画でした。

内容が内容なだけにPG12作品なので子どもの市長は注意が必要なのですが、売春宿が舞台な時点でそりゃそうか。

STORY

少女たちから熱烈な人気を集める最高のアイドルスター、ローズ。誰もがそのスタイルをまね、彼女が宣伝するアクセサリーや化粧品を欲しがった。中でも女子高生のハンナは、身につけるアイテムだけでなく、美しい容姿までローズとそっくりで、友人たちから一目置かれる存在だ。ある日彼女は、歓楽街の外れにひっそりと建つ「ホテル・ローズ」を訪ねる。夏休みの間に金持ちの得意客たちのコネを得て、ローズと同じくスターになろうともくろんでいたのだ。一方、病気の妹の治療費を稼ぐため、メイドとしてホテルにやってきた内気な少女ミナ。彼女もまたローズに憧れており、ハンナと打ち解けていく。だが「ローズ」の通り名でホテルNo.1の座を得たハンナに、ミナは羨望と劣等感の入り混じる、複雑な思いを抱き始めていた。
https://www.cinemart.co.jp/vod/lineup/detail/000902.html

以上5作品を全部紹介しました。

いずれも作品内容で興味を持っていくような作品となっており、アニメーションではありながらコレ、絶対子どもに見せようとは思っていないだろうなぁ……という映画ばかりなのが、大人のアニメーション好きとしては嬉しいところ。

しかもどの作品も韓国の土地であったり、文化であったり、題材であったりといった韓国の“色”が見えるのも面白いです。

どの作品もこの企画がなければ日本上陸がなかったであろう作品なので、映画館やVOD、お好みの場所で体験してみてくださいませ。


公式サイト

おうちでシネマート


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『耳穴』の受賞したシン・ドンホン賞の解説記事(↓)


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