【映画レビュー】ミッシェル・オスロ監督とエジプトネタの相性の良さを思い知る!『古の王子と3つの花』の感想
『古の王子と3つの花』のざっくりとした感想
『古の王子と3つの花』をオンライン試写で観ましたよ。
『キリクと魔女』や『ディリリとパリの時間旅行』のミッシェル・オスロ監督の最新作が順当に日本公開!ルーブル美術館とのコラボレーションで生まれた本作は、それぞれ異なるビジュアルスタイルで描く三人の王子の物語のオムニバス映画となっています。
本作を観た感想をざっくり一言で言うと……
とてもお上品。
これまでのミッシェル・オスロ監督の作品を思い出させるような映画となっており、ファン必見。そしてその鮮やかさやセンスはファンじゃなくても一見の価値あり映画でした。
やや映画のネタバレも含むもっと踏み込んだ感想を書いていきます。
『古の王子と3つの花』のもっと踏み込んだ感想
■ミッシェル・オスロ監督の隠しトラック?
今作、ミッシェル・オスロ監督の歴代作風を踏襲した映画となっているのが特徴。
第1話の「ファラオ」は『キリクと魔女』の初期作品。
第2話の「美しき野生児」は『夜のとばりの物語』の中期作品。
第3話の「バラの王女と揚げ菓子の王子」は『ディリリとパリの時間旅行』の近年の作品。
…….と監督のそれぞれの作風を踏襲したものになっていました。
まるで当時の未発表のアニメーションが発掘されたかのような体験です。
本作が短編のオムニバス形式の作品ということもあり、一本一本の起承転結のスケールは小さめではあるものの、いろんなミッシェル・オスロ監督を楽しめるという意味でお楽しみパックのような感覚で「お得」な気分に観れたのはラッキーでした。
「お得」は監督の作品を観てきたからこその感覚かもしれないとは思いますが、ミッシェル・オスロ監督が初めてという人にも入門的な意味では最適な映画かもしれません。
■実はエジプトネタ適正高め!「ファラオ」での発見!
三本のエピソードの中でも発見が大きかったのは、1本目の「ファラオ」です。
クシュ王国の王子が、結婚を認めてもらうためにエジプトの遠征の旅に出るという物語なのですが、登場人物を横から捉えた映像が特徴的なエピソードです。
この特徴的なレイアウトはミッシェル・オスロ監督の代名詞的なものではあるのですが、これが意外にも古代エジプトを舞台にして描くと、エジプト壁画が動き出したかのようで今まで以上に意味が乗る……というのは発見でした。
「当時のエジプトでの物語の捉え方ってこのアニメーションで描かれていたような空間の捉え方だったのかなぁ……?」とか、あまり馴染みのないエジプトに対して臨場感を持って楽しめたのは驚き。
もちろん特徴的なエジプト神様たちの鮮やかなビジュアルなどわかりやすい見所もあって、良い中編でした。
まとめ
というわけで、『古の王子と3つの花』はミッシェル・オスロ監督ってどんな人なの?って疑問に「これを観ればOK」という感じのちょうど良いプログラムになっていました。
お上品でありながら、ちゃんとエンターテイメント。
こうしてコンスタントにミッシェル・オスロ監督の新作が公開してくれる配給のチャイルド・フィルムさんにマジで感謝です。
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