七進法で考えよう
暗号遊び
ねごとです。
小学生の頃、授業中の手紙回しが大好きでした。詳しい内容は覚えていないですが、黒板の文字を写す振りをしながら一生懸命手紙を書いていたのを覚えています。悪いことをしているという背徳感がたまらなく好きだった。
手紙回しにも飽きてくると、次はその手紙の暗号化が流行りだした。
五十音表の行と列に数字を当てはめて、「あ」であれば「11」、「つ」であれば「43」といった具合に、十の位を列に、一の位を行に変換し文書を書くという極めて単純な暗号でした。文章の読み書きにとにかく時間がかかる大変不便な暗号でしたが、ただの庶民であった自分がスパイ映画の主人公になれた気がして、たまらなく好きでした。好きな女の子の名前を書いただけの手紙を、あたかも総理大臣の暗殺命令を出しているかのような気持ちで隣の人に回していたのを覚えています。
それでは、本編!
十進法とは
現代の数字の表記は基本的に十進法が使われている。十進法とは、0から9までの10個の数字を使い、10倍ごとに上の位に繰り上げていく数字に表記法である。人間の指が10本であったことから、十進法が広く使われるようになったと言われており、紀元前3000年頃にはエジプトで使われていた記録がある。
余りにも当たり前に利用している表記法であるので、改めて説明する方が難しいくらいだ。万国どこに行っても「リンゴが10個ある」と言えば、リンゴが何個あるのか誰でも想像することができる。(小泉進次郎構文ではない。)
余談ではあるが、パソコンは二進法で出来ている。「0」と「1」という二種類の記号を使うことで何億、何兆、何京という信号を出しパソコンを操作しているのである。
七進法で表すと
十進法は一つの数字の表記方法に過ぎず、他にも七進法等も存在する。というか理論上、何進法でも表現することができる。アラビア数字には0~9の10個の数字しかない為、十進法が限界のように感じるが、例えば「>」を十進法でいう「10」を表す記号であると仮定すると十一進法も表記が可能だ。
十進法と同じ方法で七進法を説明すると、「七進法とは0~6までの7個の数字を使い、7の倍数ごとに上の位に繰り上げていく数字の表記法である。」となる。七進法の世界で「111」は十進法において「49+7+1=57」を表すことになる。
十進法を使うあなたが、七進法を使う国を訪れて「リンゴが10個あるから二人で半分ずつ食べよう」と言うと、相手はおもむろにナイフを取り出し、リンゴを半分に切り始めることだろう。七進法で「10」とは、十進法でいう「7」に該当するからだ。
『世界の果てまでイッテQ』でイモトが訪れたサン族というアフリカの民族は実際に五進法を使って生活していた。確かに指の数が10本という理由で十進法が普及したのであれば、片手で表現できる五進法が一般的に使われていてもおかしくない。
仕事で学んだ重要なこと
金融関係の仕事をしていると100ページ近い契約書を読み込まなければいけない場面に度々遭遇する。分厚い契約書では、最初に定義という項目を設置することが多い。
と言った感じだ。長いものであれば、定義の部分だけで10ページくらい使っているかもしれない。
「何も改めて定義しなくても株の意味くらい全員知ってるだろ!」と思わずツッコみたくなる。ただ、業務を進めていくとその重要性に気が付く。複雑なスキームの話、抽象的な理論の話をしていると、自然と各々が同じ言葉を違ったニュアンスで使い、知らぬ間にコミュニケーションエラーが起きるのだ。
「あ、今って企業価値の話してる?てっきり事業価値の話だと思ってた!」と言った具体だ。今までの時間は何だったんだと無力感に襲われる。
反直感的であるが優秀な人ほど話が長い。結論ファーストではなく、前提ファーストで話す。間違った合意形成を取ってしまうリスク、ゼロからコミュニケーションを取り直さなければならないリスクをヘッジしているのだろう。
アインシュタインの問題解決
「もし、巨大な惑星が一時間以内に地球に衝突し地球上のすべてを破壊すると言われたら、あなたならどうしますか?」その質問に対して、アインシュタインはこう答えた。
「55分は問題を定義することについて考えることに費やす。そして、残りの5分でそれを解決しようと試みるだろう。」
人と人とのコミュニケーションでも同じではないだろうか。
生まれた国、育った環境、性差、人生で経験したこと。今この瞬間同じ満月を眺めていたとしても、それに挑む前提条件があまりにも違い過ぎるのだ。好きな女の子に恥ずかし気に「月が綺麗ですね。」と言ってみると、横で女の子はオオカミに変身し始めているかもしれない。
相手は何進法で話しているだろうか
厄介なことに、ほとんどの人は「自分の常識が世の中の常識である」と思い生きている。人生の知恵として「自分の常識が世の中の常識ではない」と習得している人もいるが、それも自分の常識を軸に他の人の常識を相対的に評価しているに過ぎない。
相手は何を前提としているのだろうか。相手は何を伝えたいのだろうか。どの抽象度で会話したいのだろうか。相手が何進法で話しているのかを理解しないことには、コミュニケーションは中々成立しないものである。
「100%の力でお前を倒す!!!」と言ってきた敵は本当は半分の力も出していないかもしれない。
(七進法で「100」は十進法で表現すると「49」)
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