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ドラえもんを本気でつくるを読んで。

日本人なら誰もが知っているドラえもん。大抵の人は、実現不可能だと判断する。そのため、実際に作ろうと本気で向き合っている人はいない。

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一方、著者は、「ドラえもんを作りたい」この思いと本当に向き合って取り組んできた人である。幼少期からドラえもんを作りたいと言う思いを胸に秘めているが、それを周囲に発信すると馬鹿にされたこともあり、あまり人に言いたくない夢になっていた。しかし、今ではそれを実現するための実力や共に歩んでくれる仲間、信頼してくれる多くの人に支えられ、本気で取り組んでいる。

本書(ドラえもんを本気でつくる)では、ディープラーニング技術に対する限界と、その限界に対して、ヒューマンエージェントインタラクションと言われる領域から、いかにしてドラえもんを作り上げるか?を記述している。そして、ミニドラによる非言語コミュニケーションの実験をはじめとし、人と関わりを通じて、失敗がゆるされながらも学習していくロボットを作るとのことを目指している。

非言語コミュニケーションが成立する理由の一つとして、人の脳は、次に起きることを予測しているという情報処理の理論が例にあげられていた。例えば帰宅後、犬がワンワンとなくと、あたかも「おかえり」と言ってくれているように感じる。このように、その環境に応じて都合のいい解釈をしてくれる。そのため、意外と非言語でもコミュニケーションは成立する、といったことを踏まえ、「ドラドラ」といっても、やりとりが成立するとのこと。詳細は本書を読んで欲しい。

心に残った話はいくつかあるが、一つだけ紹介する。「やりたいことがみつからない後輩」の話だ。居酒屋でやりたいことみつからないと相談されたとき、「メニュー表を目を瞑って指差したものの専門家に1週間でなってこい」といったことがあったようだ。そのとき、後輩は“480円“を指差したので、480円の専門家になることになり、1週間後には、

「480円で買える。ありとあらゆるものを調べてきました。どんな人のどんな悩み事でも480円で解決策が出せます。」

と言われたようだ。このように、1週間つづけて何か調べ続けるだけで、何かの専門家になれるという話は、とても面白い。何かやりたいことが見つからないときは、何か一つテーマを決めきってみて、1週間、徹底的に調べてみるのはいいかもしれない。

なお、ドラえもんが実現できるまでにはまだ数十年かかるとようだ。そのため、作った結果その後の人が幸せになると言うよりかは、一緒につくる過程でも人々が幸せになってほしいとのこと。何より、ドラえもんを作るには、様々な専門家の意見が必要なので、一緒につくるひとを常々募集している。活動は「全能アーキテクチャ若手の会」でも行われているので、興味がある人は、参加してみるのもいいだろう。

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