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ゲーム会社の人事担当が退職代行サービスからの電話を取ってしまった時の話

サンダルはダメだって言ってるのに社内の偉い人が履いてきたので、
いい年なんだから…と諭しているいい年のねじおです。

ゲーム会社は基本的には私服OKですが、弊社ではこけたら危ないのでサンダルはやめよう方針を打ち出しております。

子供の遠足かよ。

さて、人事という立場ですと新しい人をお迎えする仕事もあれば、
去っていく人を見送る仕事もあります。

過去一度だけ退職代行サービスを食らった?受けた?対応した?事があるので、その時の話を書いてみます。

人事・総務のお立場で明日は我が身の方はもちろん、
現在の仕事にお悩みでご利用をお考えの方には何かの役に立つ記事かも知れません。

●デスストーリーは突然に

ちょうど、テレビなどで退職代行がニュースになり、流行りだした頃でした。

会社に電話がかかってきて、
「●●サービスです。御社社員の▲▲さんが×日で退職をさせて頂きます。」
こんな感じの電話でした。

(゚Д゚)ア、ハイ、カシコマリマシタ。

とは、思考回路はならず(笑)

いわゆる退職代行会社さんですか、という確認と、
ご本人からの依頼ですか、という確認、
社内の確認も取るので連絡先教えてと伝えていったん電話は終わり。

自分が取った電話で良かったと思います。

突然に、退職日も決めて話をされるので、
新人とか全然関係ない人が取ったらたぶんパニックですね。

なお、退職希望の社員は若手の開発職。
1か月ほど前から体調不良で休職中の方でした。

【いちおう…退職代行サービスとは】

▲簡単に言うと退職届を代わりに出してくれるサービス

本人に代わって、代行会社か弁護士さんが所属会社に退職の意向を伝えて、
備品の返却とか書類上の手続きとかを代行してくれるサービスです。
3万円~5万円程度で利用でき、成功率はほぼ100%。アルバイト契約の解除や退職にも利用できます。

会社との労働契約に関する交渉は、本来弁護士資格を持った方しかできないのですが、グレーなままサービスとしては成立しています。
以下参考図書

●ねじおの対応

もちろんびっくりしましたが、意外に冷静でした。
本人の体調がただただ心配。

詳細は割愛しますが、
ざっくりの流れは以下の通り。

①本人の所属部門と、自分の上長にまず連絡と相談。

②会社でお世話になってる社労士さんに連絡。

 結論として、要望通りの×日退職で行きましょうということで、

③連絡を受けた退職代行会社にこちらから連絡をして、
 今後の手続きと本人と連絡が取れているのかを確認。

④退職届などの手続き書類を退職代行会社あてで送付。
 特に機密保持の誓約書は絶対に必要だと念押し。
 (たぶんこれはゲーム業界はどこでも必要だと思います。)
 その他返却してもらわないといけないものを明記。

⑤退職代行会社から本人の退職意向の書類が届く。
 (別にいらんけど、ちゃんと表明したというエビデンスだと思われる)
 社労士さん、弁護士さんに相談して、回答書を返送してもらう。

⑥いちおう、本人とは話しできないですか?とは聞いてみる。
 ダメらしい。

●ねじおが考える会社側がやってはいけないこと

①引き留めても仕方ない

今回のケースだと、休職中の社員だったということもありますし、
入社して1年未満の方で大きな仕事をまだ任せていないという背景もありましたが、そうでなくても退職代行を使って連絡をしてきている以上、

思いとどまってくれることは期待できません。

むしろ、引き留める事で、本人が不満に感じ労働基準監督署やユニオンなどに訴えて問題がややこしくなる方が会社的にはリスクだと考えます。

②直接連絡

いちおう、直接連絡は出来ないかとは聞きましたが、
直接連絡しない方が良いと考えます。

おそらく本人は最終手段として退職代行を使用しているので、
直接連絡は取れないでしょう。
連絡が取れたとしても意思を覆せる見込みは0%に限りなく近いです。
また、直接連絡をしようとすることで、退職代行会社との連絡さえ本人が拒否してしまうと、手続きや貸与品の回収などもままなりません。

①同様にリスクの方が高いと判断します。

●原因

ちょっと時間が経過してから、
本人と仲の良かった社員が連絡をしてくれて詳細が分かりました。

どうも、親御さんが退職代行サービスに連絡をして依頼したそう。

▲あくまでイメージ画像です

ご本人は休職から復帰する意思はあった(本心かどうかは不明)ようですが、それが親御さんから見たら、体を壊して休んでいるのに復帰を急かさせていると映ったのかも知れません。

もともと、入社前の適性検査でも、
ストレス耐性の項目が極端に低かった方だったので、配慮はしていたのですが、至らなかったということでしょう。

親御さんの対応だったとしても、最終的に本人が申し込んだとしても、
結果として、直接のコミュニケーションが出来ないほど、会社と本人との信頼関係が悪化していたという事実は猛省しました。

●思ったこと

今回の場合は、退職にあたり大きな問題もなかったこともあり、
淡々と進んでいくので、ちょっと寂しかったです。

・退職代行サービスについて
実に日本らしいサービスだなぁ、真面目な方が多いからこそ成立するサービスなんだろうなぁ、と感じます。

特に悪い気はしませんが、業界特有の事情には配慮は無いと思うので、ゲーム業界の機密保持の重要性や、
万が一、機密情報を漏らされた場合、損害賠償請求の対象になることなんかをどこまでご理解頂いているかは不明です。

少なくとも今回のケースでは引き止めも無く辞めれたので、ご本人にとっては利用して良かったサービスでしょう。

・お使いになる際の注意点
会社によっては、所定の書類がそろって始めて退職の手続きが行える規則になっている会社も多いです。
この場合は退職日が希望通りにはいかないケースも出てきます。余裕を持ってご相談ください。
また、就業規則などで、引継ぎや備品の返却を行わないで退職する場合は退職金が出ないとかが定められているケースもあります。

ご本人にとって不都合がある場合も退職代行サービス会社はそこまで配慮をしないと思うので、あくまで「退職」だけが完了するサービスだとは認識して使用されると良いと思います。

ゲーム業界に限らず、多くの方が本来の「職業選択の自由」を実現できることを祈念しております。

ジュース奢ってくれるんですか!? え!?コーヒーでもいいんですか!? 今から超がんばります。