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「これからもがんばるよ」と言った愛車

「Kiroro」と言えば
・長い間
・未来へ
・Best Friend
だと思うのだが、わたしはこの曲が大好き。

少し夏っぽい曲調だけど
タイトルに反して
アレンジもノリも良くって
とってもいい曲です。


夏っぽい暑さもそろそろ終わるであろう。
車の購入も決まったので
今、乗っている愛車と過ごすのは
残りわずか。

そんな愛車のおはなし。


今の愛車との出会いは6年前。
車を買い替えようと新聞広告を見ていた。

その時は、別なメーカーの車種が目に留まり、
街によくあるディーラー販売店へ行った。

対応してくれたのは私よりも少し年上の
昔ながらのゴリゴリの営業マン。
値引きをしてお客様のテンション上げて
その場で買わせちゃうタイプの人。
でも、キライじゃない。
値引きはわたしの大好物。
スピード感も営業なら必要だ。


ちなみに現在の彼は昇進して、
一等地で売上が高い
規模の大きい店舗へ異動し、
営業から離れることになる。

今回、車購入で悩んでいた時、
彼の店を訪ねた。
後輩が対応してくれたが、
後輩は彼より年上だった。

それでもサービス精神旺盛な彼は
後輩が席を少し離れている間、
場をつないでくれた。

「お客様と会話ができなくってさみしいんだよ。」
中間管理職の嘆きを私にささやいた。
身体もあちこち悪いところがあるようで
「健康が一番だからね。」
私のこの言葉が彼に届いてくれることを願った。


そんな彼に6年前、
新聞広告に出ていた車を見せてもらった。

だが、実際に見たところ
内装がベージュであまりきれいではなく、
グレードが下がる内装だった。

「コレじゃないなあ。」

そう思って帰ろうとした時、
「ちょっとお待ちください。いいのがあります。」


見せてくれたのが今の愛車であった。
色は残念ながら希望ではない色。
年式も少し古かった。

でも、外も中も傷が全くなく低走行距離であった。
どうやら、全オーナーは少し年老いた女性で
あまり、車に乗らない人だったようだ。
それでも恐らく、洗車をしていたし、
定期点検はしっかりおこなわれていた。

外見もブルーのライトやメッキが施されていて
とってもカッコよかった。

「この子がいい」

5分後、商談テーブルに座っていた。


11年落ち、8万キロ走行越えの下取り車に
値段を付けてくれた。
そして、購入価格も希望通り。

でも、装備が足りない。
欲しかったのはワンセグ付きナビとETC。
当時のナビはまだ20万円ほどした。
また、タイヤも溝があまりなかった。

「タイヤがもう履き替えないとだし、
 ナビとETC付けたら予算超えちゃうんで。」

「全部付けます。でも、今日限りです。」

「お値段が高くなりますよね。」

「お値段据え置きで付けます。」

「いいんですか?」

「なんとかしちゃいますんで。
 ただ、全部中古でもいいですか?」

「もちろん。」

入店して、30分も経たないうちに購入が決まった。

そして、納車されていた時に付いていたのは
新品のタイヤ、新品のフルセグナビ、新品のETCだった。
たぶん彼は相当、無理をした。


あれから6年が経った。
わたしの職場は2回かわった。
誰かを乗せることは少なくなった。

朝は大きな声で歌いながら
勤務地まで通った。
仕事でミスが続いた時には
泣きながら帰った。

もう少しでお別れだ。

なのに、愛車は
「これからもがんばるよ」と言ってきた。


エアコンを付けずに走っている
というプラス要因は大有りではあるものの
燃費がなんとカタログ値を超えてきた。

そんなことってあるの!


「ぼくはまだ、はしれる。
 エアコンこわれちゃったけど。
 でも、エンジンはげんきなんだ。
 だから、つぎのひとのところにつれてって」


そう言われているような気がした。


わたしが最後にできること。
それは
「この子を廃車にしないで
 次のオーナーにバトンを渡すこと」

販売店を12店舗まわったが
全て廃車前提の話であった。

恐らく、査定を受けているとき、
愛車はそれを聞いていた。

愛車が書いてくれたラブレター。
最後の願いを叶えようと
決心するのであった。


あなたは私といつでもどんなときも
ずっと一緒にいてくれた。
今度は私があなたを幸せにするよ。


ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。

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