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「パニックアタック(パニック障害)が悪化している、どうすればいい?」(Nickwignallのニュースレターの読者質問コーナーの翻訳)

https://www.thefriendlymind.com/my-panic-attacks-are-getting-worse-what-should-i-do/

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この記事の著者であるNick Wignallは臨床心理士、ライター、講師、ポッドキャスター。ダラスにあるテキサス南西メディカルセンター大学で臨床心理の博士課程、シカゴ大の社会科学で修士号取得、ダラス大の英文学で学士号を取得。American Board of Professional Psychology(ABPP、アメリカ専門心理士認定機関)の認定を受けている。the Academy of Cognitive Therapy(認知療法・行動認知療法家国際認定組織)の認定取得。Association for Behavioral and Cognitive Therapies(アメリカ行動療法認知療法学会)とニューメキシコ心理学会の会員。

北カリフォルニア出身、現在は妻と3人の娘とジャーマンシェパードと一緒にアルバカーキで暮らしている。
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読者からの質問:

「私は、3ヶ月ほど前からパニックアタックを持つようになった。突然、私は恐怖を感じ始め、鼓動が早くなり、手のひらに汗が滲む。

失神しかけたり、目眩がしたり、胃に違和感を感じたり、指先がチクチクする、などの症状がでる時もある。

この件で、医師の診察も受けたが、医師は、私の心臓に異常はないし、その他の異常も見受けられないと断言した。

私は、何人かのセラピストにも診てもらったが、ただ話をするだけであり、何かが変わることはないように思われた。

何かアドバイスはありますか?」

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私がセラピストをしていた時、私の専門はパニックだった。二つの相反するように見える事実のお陰で、それはとても得るものの多い専門分野だった:

・パニックとは、エモーショナル・サファリング(感情の苦しみ)の中で最も急性で辛い形の一つである。パニックは放置しておくと、人生を完全に崩壊させてしまうこともある。

・パニックは、取り除くのが最もシンプルな問題の一つでもある。必ずしも簡単というわけではなく、寛解への道が、特段に、分かりやすい、ということ(そう、パニックは寛解可能である)。

その数年間で、私はたくさんの人々がパニックアタックを根絶するための助力をした(何十年もパニックアタックに苦しんでいる人たちが多かった)。

そのコツとは、

「巷に存在するパニック障害の対処に関するアドバイスの99%は間違いであり、長期的には、パニック障害を悪化させるものである」と理解し、「受け入れる」ことである。

もう少し細かく言うと、ほとんどのパニック障害の対処法はコーピング・マインドセット(※対処法的な思考)に基づいている。

コーピング・マインドセットが言うには、

「パニックを感じたら、あなたは何かをして自分を落ち着かせなければならない……、深呼吸、マインドフルネス瞑想、ポジティブ・セルフトーク、薬、など」

(この誤りが専門家の間でもしつこく残っている理由の一つは、多くのセラピストやカウンセラー自身が患者がパニックになることを恐れていることにある)

これらの方法は、瞬間的に、パニックを緩和させることにおいては多少なりとも効果的かもしれない、だが例外なく、長期的には、パニックを悪化させる。

なぜなら、パニックを避けることによって、これらの方法はあなたの脳に「パニックを恐れよ」と刷り込む、これによりあなたは、未来において、パニックに対してより脆弱になる。

このコーピング・マインドセットの代わりとなるもの、それがコンフィデンス・マインドセット(※自信思考?)である。

コンフィデンス・マインドセットは言う、

「パニックを取り去る鍵は、一切のパニックを消し去ろうという試みを捨て、パニックになることを100%望むことだ。なぜなら、あなたは、自分がパニックになっても何も悪いことは起こらない、という自信を持つ」


パニックは酷く不快に感じられるよね、でもその一方で、パニックは危険なものではないんだ。

パニックの最高潮にあっても、あなたの体には何もおかしなところはない、(次にパニックになったら、自分の脈拍を測っほしい、そして、その数値と激しい運動をした時の自分の脈拍とを比べてほしい、ほぼ同じである)

パニックとは、あなたの体が、単に、「闘争・逃走反応(fight or flight response、ファイト・オア・フライト・レスポンス)」(※危機に直面した時の、戦うか逃げるかという反応)のモード(極度の交感神経の興奮)に移行しているだけである、その必要性が無い時に。

酷く感じられるそれらの症状(鼓動が高まり、呼吸が速くなり、胃が痛み、指先がチクチクするなど)の全ては、何らかの目前の危機に対して、単に多量のアドレナリンが全身を駆け巡り、戦うか逃げるかという反応の準備をしていることの顕れである。


人々がパニックになって問題となるのは、自分のパニックに関して不安を持つ所である。

そして、これがパニックを取り除いたり避けたりしようとすることにつながるが、それはここまで話してきたように、後々のさらなるパニックアタックへとつながる。

これを続けると、あなたの脳は不安を感じることに対しパニックになるように学習する、これがあなたが時間を経る毎にさらにパニックが頻発しがちな理由である。

あなたがパニックを避けようとするたび、あなたは、未来で、パニックが起こる確率を上げている。


この悲痛なサイクルを断ち切る唯一の方法は、あなたが自分の脳に、自分はパニックを恐れていないと示すこと。

そのための最も強力な方法は、パニックになることを100%望むこと。一切、パニックを弱めようとしたり避けようとはせずに。

言うなれば、あなたはパニックになることを望んでいるのだから、あなたは自分の脳に自信を誇示している、これにより、長期的には、あなたの脳のパニックに対する感受性は弱まる。


私がこのような背景となる情報を説明しているのは、あなたがパニック止めたいなら、あなたはパニックを除去する試みをやめる必要があるからだ。

だが、あなたはパニックで何が起こっているのか、その仕組みを真に理解して初めて、パニックを除去しようとすることを止める。


パニックについて、もう少しだけ詳しい説明を求めるなら、私の別の記事「How to Stop a Panic Attack」を読むのもいいかもしれない。


もちろん、あなたは、いつでも、パニックを専門とするプロのセラピストに、このプロセスの手引をしてもらうこともできる(そのセラピストが本当に高い専門性を有しているか、特別にパニックを治療する訓練を受けているか要確認である、ほとんどのセラピストはそうではない)。よいセラピストを見つけるコツはこの記事を参照してほしい。


とはいえ、誰でも、少しのシンプルなステップを踏むことで、より健康的なコンフィデンス・マインドセットを育成し始めることが可能である:

1.その時、生じた感情を認知すること

不安を感じていることに気づいたら、すぐに、自分の不安を認知し、直接ラベルを貼る。

例:私は今恐れを感じている、そして私は自分がパニックアタックを起こすのではないかと心配している。

パニックの発見が早ければ早いほど、パニックとともに歩むことはより簡単になる。


2.危機を融解させる

「パニックが気分を悪くさせるからといって、パニックは悪である、とはならない」と自分に思い出させる

パニックとは、単に、自分の「闘争・逃走反応(fight or flight response)」が誤動作しているだけである。


3.不快感を受け入れる

自分のパニックな感情を避けたり減らしたりしようとせず、パニックになることを100%望む。

あなたが抵抗するものは「しつこく残る」、あなたが認めるものは「存在する」。

あなたはパニックになっても、生活を続けることができる。


4.注意を戻す

パニックに囚われないこと、パニックに伴う思考にも、感情にも、身体的感覚にも囚われないこと。

ここまでのステップを踏んだなら、より意味のある、もしくは生産的な何かに、再度、注意を向ける許可を自分に与えよう(だが、パニックになることは望んだまま)。


よし、役に立ってくれるといいな

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