「ドキドキ文芸部プラス!」プレイ日記 ~第1夜~
先日、誕生日だったので干し芋を貼ったところ、入れておいたswitch版「ドキドキ文芸部プラス!」を送って下さった方が現れました。
(同時に「所長ちゃんの漫画を再開して欲しい!」とのメッセージも頂きました。その節は本当にありがとうございました。考えておきます)
さて、タイトルにもあります通り、この度、私は「ドキドキ文芸部」を初プレイ致しました。
本作は無印版がsteam上では無料頒布されており、以前より興味のあったタイトルではあったのですが、プレイしたユーザーから「最高のサイコホラーゲームだ」と大好評であった本作を私はビビってプレイできずにいました。
その完全版を家庭用に移植したものがこの「~プラス!」なのです。
早速実物を見ていきましょう。
ちょっぴり嬉しい初回特典付き。
そして…
「もう逃げ場はないぞ」
そう言われているような、このパッケージの圧。
貰ったものをプレイしないのも大変失礼ですし、以前より興味のあったタイトルですので早速プレイすることにしました。
ADVは瞬発力とか頭とか使わないからネ!
読むだけでいいからいいよネ!(月姫Rを積みながら)
まあサイコホラーっても?
カオヘとかカオチャもクリアしたし?余裕っしょ?
まあホラー苦手っつっても?それ系のゲームもやっていなくもないし?文芸部?何するものぞって感じですよ。酸いも甘いも知った大人のハートの強さ見せつけてやんよ。童貞だけど。
大体あれだろ?ホラーってもジャンプスケア(ビックリ系)だろ?
バレてんだよ。ワンパターンなんだよ。
いいですかー?ジャンプスケアなんか全ッ然ホラーじゃねえの。
一瞬だけびっくりしてるだけだからね?
別に恐怖を感じているわけじゃないからね?
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⚠ 以下、ネタバレしかありません。
未プレイの方はプレイしてから閲覧することを強く推奨します。
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■まず軽く触ってみて
起動と共に謎のロード。
少し待って、ボタンを押すと進むことに気付く。
で、出てきたのが「このゲームはショッキングな内容が含まれています。」といった警告①。
そして「このゲームマ~ジでヤバいから。心臓悪かったり鬱病の人は絶対プレイせんといて。なんならネタバレありで具体的にどうやばいか教えようか?」という類を見ない警告②。
いや、ゲーム側から「このゲームやばいで」と二重で警告されるのは初めての経験なんですが、ネタバレ込みでどんだけやばいか教えようか?と言われるのなんて前代未聞です。
じゃあ、そこまで言うなら教えて貰っちゃおうかな…?と軽く悩ませてきましたが、ここは漢の見せ所だと思い敢えてノーネタバレで進行。
そして、先程の警告が嘘だったかのような気の抜けたチープなBGMが流れ始め、早速こちらの不安感を煽ってきます。
この不安感というのは「あれ?ひょっとしてこのゲーム、名作名作言われてるけど案外肩透かしなんじゃないか?」という類のものです。
いやいや、そうやって油断を誘うんですよ。
あのトビー・フォックスも「UNDERTALE」や「Halloween Hack」でそういう手段を使ってきた前科があります。
入り口でチープなゲームだと思わせて、気付けば感情の沼に沈められているあの感じ。もう早速怖いです。始まってないのにね。
■なんか仮想OSがある
本作はNintendo switchのゲームです。
基本的にswitch(をはじめとする最新ハードの家庭用ゲーム)では終了コマンドを設ける必要はなく、ゲームを終わらせたいと思ったユーザーはホームボタン等からメニューに戻ってXで終了したり、そのまま別のゲームを遊んだりするのが普通です。
ですが本作はタイトル画面にわざわざ「終了コマンド」がある…
そんな怪しいコマンド、並べられたら選んでみたくなるのが人の子というもの。
終了コマンドを選んでみると、なにやら怪しい仮想OSが立ち上がります。
というか、ゲームを初回起動するとき、一度だけボタン操作が必要になる場面があり、どうやらそのOSの画面のようです。
中身はいかにも~なゲームの構成ファイルと、謎のメール機能、通常のギャルゲではタイトル画面から見られるようなギャラリー機能に相当するモジュール等が並びます。
ゲームの使用ファイルが並んでいる時点でもう半分ぐらい察してしまっているのですが、これってひょっとしてゲーム上の……
ここまで思い至りながら、プレイと並行してファイルの変化を楽しんだりしていました。
でも、まさか、あんなことになるとは……
■1周目
ストーリーはまあ00年代によくあった、女の子ばっかりの部活「文芸部」に男主人公が入るおなじみのアレからスタートします。
攻略できると思しき4人の女の子は……
一緒に登校する可愛い幼馴染、サヨリ。
文芸部の一員で可愛いもの大好きで元気なピンク髪の女の子、ナツキ。
同じく文芸部の一員で、奥ゆかしい性格の文学少女、ユリ。
そして部長のモニカ。(こいつがパッケージの女だな…と警戒する)
本作は文芸部が舞台なので、独自のシステムとして詩を作って女の子にアプローチするという方式が採用されています。
これを使って前述の4人を攻略していくんですね。
(なんかこの画面、露骨にちびキャラが1人足りないな…)
「キャンディ」「可愛い」「ぴょんぴょん」といった可愛らしい単語、「雨」「星」といった綺麗な単語、「水着」「愛」といったややセクシー目な単語、そして「絶望」「虐殺」といった超不穏ワードまで色々揃えられた中から20個選びます。多くない?
基本的に、シナリオ→詩作成→シナリオの繰り返しでゲームは進行します。
どういった単語を用いた詩を作ったかで色々分岐する…と思います。
思います、と表現したのには複雑な理由があるのですが後述。
ここでシステム上の不満を申し上げると、文字が小さい。
これは海外のローカライズゲーにありがちな問題ですね。
ですが、全然読めないサイズではないです。大きい画面でやれば解消される問題だとは思います。
それとこのゲーム、なんだか進めていて冗長で退屈に感じる場面が多いと思ったら、ボイスがないのはそうなんですが、本編中にSEやエフェクトの類も読み進めていて一切使われていないことに気付かされます。
(詩作成の画面は例外的にSEが鳴ります)
これ嫌ですね。
絶対『はいここー!』っていう場面で解禁してビビらせてくるやつだからね。
ホラーゲームにおいて「音」というのは極めて重要な要素ですからね。
心理にはたらきかけるために敢えて音を用いないという手法は映像作品などでも古くから使われています。
前述のビックリさせるやつ「ジャンプスケア」で効率的なダメージを与えるためのコンボパーツでもあります。ジャンプスケアはホラーとして認めないけどね。
で、私のプレイですが、1周目はサヨリが気になりました。
(これはな、誰でもそうなるんや)
好意も好むワードの傾向もわかりやすかったためです。
まずサヨリいっとくか!という軽い気持ちで攻略を開始。
しかし、近付けば近付いただけ、サヨリはプレイヤーの前に姿を見せなくなります。
……なぜ?
その理由は終盤で「サヨリが鬱病だからである」という衝撃の設定と共に明らかになり、なんやかんや色々あって最後の選択肢へ。
①告白する、②親友でいるといった、両方選びたくない究極の二択。
ペルソナシリーズをプレイしていても告白の瞬間というのはドキドキするものです。
まあ、5では選べずに結局4股したんですけどね、初見さん。
告白!
サヨリの不安を俺が取り除いてやるぜ!と意気込む主人公。
正式にサヨリと付き合い、恋人同士になることが約束されました。
(大丈夫、これが失敗してもセーブファイルがあるんだから…)
しかし、シナリオはこれで終わりません。
少しずつ、少しずつ不穏さを増していきます。
文化祭当日。
デートをする約束をしたのに、迎えに行っても姿を現さないサヨリ。
家の前に言ってチャイムを押してもダンマリ。かといって家の中に行くのもなぁ…とそのまま登校してしまう主人公。
(いや駄目だって。サヨリは病人なんだから駄目だって!)
文芸部の部室に着く主人公。部長のモニカと2人きりでみんなを待ちます。
それでもサヨリは現れません。
(ナツキとユリも何故か来ない)
サヨリが現れないことを不安に思う主人公に対し、見かねたモニカが声をかけます。
「どうしてサヨリを連れてこないの?」(意訳)
「あなた達、付き合ってるのに冷たいわね」(意訳)
ん?
サヨリと俺ガ付き合っていることヲ、ナンデお前が知ってル…?
一応、補足すると、サヨリとモニカは文化祭準備のやり取りにおいて連絡を取り合っていることが描写されています。(他の部員も同様?)
しかし、その伝達スピードが不自然に速すぎるのです。
サヨリが主人公と恋人になったことをわざわざモニカに対して最速で報告するのは妙です。では何故それを知ることができたのでしょうか?
答えを探す間もなく、モニカの不自然な発言にますます不安に駆られた主人公。ひょっとしたら、サヨリが危ないかもしれない!
サヨリを連れてくるため、「無理しちゃだめだよ~」というモニカの能天気すぎる声を背に駆け出します。
サヨリの自室に駆け込む主人公────
そこで見たモノは
首を吊って死んでいるサヨリの姿でした。
END
(黒背景に白文字で)
前述の通り、サヨリは重度の鬱病であり、人と付き合うことに対して強い不安感を覚える日々を送っていました。
主人公の手前、健常者を装っていましたが(それをモニカは「最近は明るくなった」等と表現しており、伏線として機能しています)、内心では何も喜びを感じられない空虚な日々に彼女の心はボロボロでした。
サヨリ「毎朝、ベッドから起き上がる理由がないの」
彼女は幼馴染であり親友でもある主人公(=プレイヤー)に救いを求めます。
主人公との交流の中でなら、生きる喜びを見いだせるのではないか。
結果的に、それは間違いでした。
好意を抱いているはずの主人公から受けた愛の告白をもってしても、彼女の心の不安は全く除かれることはなかったのです。
そして、主人公自身においては自分が特別である、という油断がありました。自分だけはサヨリの頑なな心を開くことができるという慢心です。
それが「告白」という軽はずみな行動によって、かえってサヨリの心を深く傷つけ、彼女の病状を悪化させて、結果的に自殺に追い込んでしまった…という筋書きです。
いや~…
いや、いやいや絶対やってくると思ってたからね。
散々不穏な感じ出してきてやらないのは嘘だと思ってたからね。
むしろ安心感さえ覚えてるからね!
これでもかというぐらいの悪意に満ちた演出がプレイヤーに牙を剥きます。
地の文で自分を責める主人公=自分。
文芸部なんかどうでもいい。もう後戻りできないんだ。死んだサヨリは戻ってこないんだ。サヨリ、サヨリ、サヨリ……
全力で「お前が殺したんやぞ」感を演出してきます。
いや、そうなんだけれどもさぁ……
うーん、告らずに友達でいるべきだったんだなあ……うん……
■2周目(前半)
ぎゃ、ギャルゲーだからね?
何かあったって2周目で取り返せばいいんですよ。これ常識です。
だ、大丈夫だよ……こっちには10個近い選択肢セーブファイルがあ
え?
いやなんかタイトル画面がバグってんだけど?
嫌な予感がしたのも束の間。
サヨリ、消滅。
ゲームがリセットされ、セーブファイル全消しが入ります。
そして、最初からサヨリなんていなかったという体で再スタート。
あーほら。
この手のゲームってさ、平気でそういうことしてくんのよ。
仮想OSにあるゲームフォルダのテキストも更新。
新しい画像ファイルまで律儀に追加され、「やってやったぜ」感を出してきます。
あーそうかい。
いいぜ。
そっちがそうなら、こっちもやってやんよ。
とことんやるぜ。サヨリの仇取ってやんよ。覚悟しろ。
で、2周目。これがとにかくバグるのです。
いきなりBGMが変調するわブロックノイズが入るわモニカの立ち絵がウィンドウ貫通するわでやりたい放題です。なんでもないシーンなのに、いつバグるのかで心臓バックバクです。
モニカ「ナツキったらお腹空くといつもこうなっちゃうのよね」(意訳)
そうそう。
こいつ腹減るとバグって顔面崩壊するんだよ。
(そんなやつおらへんやろ…おったわ)
特定の選択肢を選ばない限り画面が無限にズームし、画面と音のノイズが濃くなっていく場面も。
これはね、ちょっと怖すぎるんですよ。
加えてこの執拗さ。絶対絶望少女の終盤を思い出します。そして
(例のドアップ)
(BGMも止まる)
いやさ…
ほんと夜やるゲームじゃないよこれ……
よくもこんなゲームプレゼントしてくれたな。
恨み言はさておき、この辺りからユリは口論の最中にナツキに対して普段は言わないような暴言を放ってしまった(らしい。プレイヤー視点では何を言ったのか不明)ことで「突然意識のコントロールを失う感覚」を覚え、『外部からの干渉』についての意識を持ち始めます。
この『外部からの干渉』というのはあながち彼女の妄想ではなく、プレイヤーだけが見ることができる特別な詩や、新たに追加されたテキストファイルからもその存在は明らかになっています。
また、仮想OSにおいてもファイルを削除できるルート権限はプレイヤーに付与されておらず、明確にゲームを改変している『第三者』が存在することを示唆しています。
その『第三者』は改変の際に律儀にテキストを残していきます。
(この口調、知っているぞ……)
私の疑いの目は、世界がバグってもなお「オレは平気だよ」とばかりに動くことができるモニカに対して自然と向いていきました。
思えば、1周目においてサヨリに対して何かを吹き込み、疑心を抱かせたのも彼女なのです。
また、教室から泣いて飛び出していったはずのナツキはこの事件のことを綺麗サッパリ忘れており、そのことに対して「大丈夫、明日になればすぐ忘れるから」などと楽観的な発言も残しており、もう怪しさ爆裂。
モニカさあ……
もはや怪しすぎて逆に怪しくないんじゃない?
逆にこっちのことを守ってくれてる咲畑梨深枠なんじゃない?
と、ここで何故か冷静であったはずのユリが急接近。
ユリはナツキとは違い、口論の記憶が残っています。
ナツキに対してしてしまった過激な発言を反省しながらも、なぜか以前より彼女を突き放したような態度を取ります。お前は誰ダ……
そして、元通りになったと思いきや広がり続ける二人の溝。
ゲーム自体も、どちらのルートを進んでいるんだかよくわからない蛇行運転を始めます。
ナツキとユリの間で揺れ動く主人公。
ユリが席を外しているのにも関わらず、何故か行われる詩の見せ合い。
ここで私は思わずナツキに詩を見せてしまいました。
しかし、このナツキの詩……いつものかわいい文体ではありません。
ただの英数字と記号の羅列で、明らかにバグっているのです。
あっなんだか不穏な雰囲気……(わかるようになってきた)
案の定、詩について話したのもつかの間。
先程ユリと2人でいい雰囲気になっていた話を突如持ち出し、嫉妬に狂い始めるナツキ。
「どうして私のところに来なかったの」
「待ってたのに」
徐々に世界が暗転し、やがて悪魔のような笑みを浮かべたナツキだったモノが血の涙(多分)を流しながら襲いかかってきます。そして……
ゴキリ
(首の骨が折れる音)
END
(首の骨が折れているので、逆さまに表示されている)
!?
このままタイトル画面に飛ばされるかと思いきや、先程の選択肢を選ぶ前の時間に戻されていました。なんだ夢か……
ナツキの姿をした化け物なんていなかったんだね…よかった…
さて、詩の見せ合いはまだ途中。
残ったモニカの詩をチェックします。
ここで見られる「私をセーブして」から始まる詩は、1周目から絶対に何かあると思っていた詩です。しかし、これもなんだか様子がおかしい。
なぜか文字が歯抜けになっている詩をスクロールすると……
「彼女を消せ」
怖い怖い怖い!
その後、普通に会話をしていたモニカが突然困惑しだし、「聞こえる?」「ねえ、聞こえるって言って」などと、誰に向けて話しているのかよくわからない言葉を発し始めます。
ピロン
(ポップアップのSE)
【お願いだから助けて】
OK
えっ…
誰!?誰なの!?
それはこっちの台詞なんですけど!!!
その後、文化祭で部員を増やすかどうかでモニカと口論を繰り広げるナツキ。(いやなんで普通にいるんだよお前)
素直な意見を言えず、どっちつかずでおろおろしているユリ。
ナツキは出ていってしまい、モニカはすっかり気落ちしてしまいます。
主人公は残されたユリの本当の気持ちを知るべく、質問します。
「お前、ナツキのことどう思っているんだ?」
ユリ「あんなクソガキどうでもいい」
(ドアップで)(トーンの狂ったBGM)
だーかーらー!急に来ないでったら!!もう!!!!!
(でもなんだかんだちょっと慣れてきている)
…で、何事もなかったかのように、自分は文芸部が好きだと語るユリ。
お前らさあ、そういう『切り替え』が怖いんだって。
でも、静かな部活=自分の居場所を取られちゃう…と思うのはわかるよ。
え?あなたさえいれば何もいらない?それってどうい
ユリ「あいつが自殺しても誰も悲しまない」
プツッ…
(眼球から血が吹き出す音)
(switch本体をいつもよりやや遠めに持ち直す)
いや絶対『3回目』もあるだろ?
気持ち『長めのやつ』ある流れだろ?
(本体が遠いので読みづらい)
(文字送りをする度に削られていくMP)
教室を出ていくユリ。
よ、よかった!『3回目』はないんだ!!
モニカ「最近は本当に色々目まぐるしいわね」
ええ、そうですね。仰るとおりです。
モニカ「ナツキとユリの二人は手を焼かせてくるし…」(意訳)
モニカ「時々、ここではあなたと私だけが実在の人物だと思うことがあるわ」「あなたにだけは理解してもらえることよ」
(徐々に画面にノイズがかかってくる)
何だよ……何始める気だよ!?
しかし、嫌な予感とは裏腹に、モニカはこちらに何かを必死に訴えようとします。しかしその思惑とは裏腹に、ゲームは強制的に次のシーン(詩作成画面)に進んでしまいます。
■ちょっとブレイク
さて、ここまでの情報と印象をまとめます。
1周目において、サヨリが死亡したのはプレイヤーでも攻略キャラでもない第三者=モニカの暗躍(ルート権限を用いたデータの改変=設定の変更)が原因と思われてきました。
なので、2周目ではバグる世界の中でひとりだけ何事もないモニカが怪しいと睨んでマークしていましたが、そのマークをすり抜けてゲームの進行を乱し、実際にこちらに悪意を向けてきたのはナツキとユリです。
(ナツキに至っては一度はゲームオーバーになりかけたほどです)
先程のダイアログボックスを通じて何者かが助けを求めてくるシーンでは、モニカは明らかにこちらに対して呼びかけていました。
そしてこのシーンの最後でも、やはりこちらに対して必死に何かを訴えようとする彼女の姿が見られます。
ダイアログボックスを通してメッセージを送り、ゲームファイル内に謎のテキストを残したのは消滅したはずのサヨリなのではないか?とも疑っていましたが、どうも事情が違うようです。
いかにも彼女に矢印が向くような伏線が散りばめられている中での意味深なシーンの連続で、「やはりモニカはシロなんじゃないか?」という思考に染まっていきます。
すると、怪しいのは詩作成の画面で飛び跳ねているナツキとユリの2人…?
「シュガーラッシュ」の主人公「ヴァネロペ」のように、モニカは本来は本作の攻略対象キャラであったが、何らかの事情でその枠から外されてしまった存在であり、主人公を手助けしているだけ?
つまり、ゲームを改変することでこちらに精神攻撃を仕掛けている、悪意を持った黒幕が別にいる?
はい。
なんだかわからなくなってきました。
ともかく、「やれ」と言わんばかりにお出しされたワードを使って詩を創りましょう。
なんかワードの数までバグってる……
なんか「1」が増えてってる……
不穏なものを感じながら詩を創ります。
それがこの狂ったゲームに対して出来る数少ない反撃ですからね。
…?
なんか左下に『3人目のキャラ』がいる!?
茶色い頭の子が見えたんですけど!!
サヨリ、お前なのか…?
確かに、この単語選びでは、選択肢によってバグった「1」が増える場合とそうでない場合がありました。
気になっていましたが、まさか…いやひょっとしたら……
ちょっとここでゲーム中断。
仮想OSに戻り、ゲームフォルダ内部にある「poemwords.txt」(それぞれのキャラが好むワードが書かれたテキストファイル)を確認します。
詩作成の単語選びにはそれぞれ「sPoint」「nPoint」「yPoint」という3種類のパラメータが設定されており、それぞれサヨリ、ナツキ、ユリの好感度に対応するものと考えられます。
また、詩作成においては選んだ単語がキャラクターの好みだった場合、画面左下にいる対応したちびキャラが飛び跳ねることで、そのキャラに多く好感度が入ったことが視覚的に表現されます。
これが2周目ではサヨリが消滅するので、ちびキャラは2体になります。
この状態では、単語ごとに設定された「nPoint」「yPoint」のいずれかが高かったキャラが飛び跳ねることでゲームが進行することがわかっています。
そして、2周目で追加されるテキストファイル。
これは自殺した『誰か』がこちらに向けて書いたと見られる文章であり、そこにはこんな一節があります。
「自殺した私にはもう何も出来ない。
(中略)
私が望むのはあなたがそれを嫌悪すること。それはそんなに難しいこと?」
これがゲームから消滅したサヨリからの曲折したヒントなのだとしたら、こうは考えられないでしょうか。
ナツキとユリが好まず、かつサヨリだけが好むようなワードを選んでいけば何かが起きるのではないか?
事実、私はちびキャラ2人のうち誰も飛び跳ねず、左下にいる『誰か』(髪が茶色い)が飛び跳ねた瞬間を目撃しました。
……やってみる価値はある。
セーブ&ロードの力を持ったこの俺を舐めるなよ……
<「第2夜」に続く>
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