多重人格商店街 「あなたを愛さない男」
気に入った手触りの
紙になんと書こうかな
呪詛を書こうか
ありきたりの言葉で埋め尽くされた
あらん限りの恨みつらみを
認めようか
そうすればきっといつか
わたしがこれまで
どれほど綺麗な人間として振る舞い
生きていたかをわかってもらえるだろうか
悲劇を書こうか
結ばれるはずだった恋人のなりかけを
ぐちゃぐちゃに引き裂いて
ミンチのように叩いてやろうかな
そうすればきっといつか
わたしが独りで生きていくしかないと
さびしく思う心を
わかってもらえるだろうか
劣情を書こうか