バンコクへ(その3)
今日はアユタヤにショートトリップ。朝早く宿を出る。地下鉄で国鉄の駅へ。冷房は相変わらず寒い。通勤する人たち。乗り換え駅では、エスカレーターを大勢の人が急ぐ。バンコクの日常と私たちの非日常が重なる。
列車は遅くもなく特別速くもないスピードでバンコクの街を抜け、郊外へ。遠くに、公営団地のような古い高層建築が見える。線路の周りには、湿地帯と草原の中間のような地形が広がる。アユタヤまでの道のりで、人家がなくなるようなルーラルな地域は見当たらなかった。平野だし、人は住みやすそうだもんな。
アユタヤの駅はどこにでもある海外の田舎駅で、インドのカジュラホに似ていた。駅舎の出口付近におじさんが地図を持って待っているのは、これはもうトゥクトゥクの勧誘に違いない。アユタヤ駅は遺跡群からは離れているので、まずは乗り物を使うしかない。自転車で回るというのもあり、そうしている人たちも少ないけれどいた。さすがに暑いので交渉の末100バーツまでまけさせた。最初200で吹っ掛けてきて、100まで下がったから、もう少しは下がるのだろうな。一人の時ならどこまでも頑張るけれど、それを見ている人がいると、けち臭いと思われるのもアレだな。。各遺跡の周遊を持ち掛けてきたがそれも断った。
オートはスピードを上げて、舟がとおる川の上を渡り、整備され、独得な形の街灯の並ぶ街道を走る。開放感のある後部座席で風を感じ、旅を感じる。旅の空気が肺を満たす瞬間だ。遺跡に近づけば、緑も多くなり、家の隣の空きスペースに青い屋台を立てて野菜を売ったり、スナックをつくっていたり、売店に大量に水を積んだトラックから積み下ろしを若者たちがしていたり。庭にバナナの木が何本も植えられて、屋台をサイドカーにしたバイクと、砂だらけのヒュンダイの車がすれ違う。最初の目的地、
Wat Lokayasuthaという場所へ。
歩くこと15分ほど、お待ちかねのエレファント・ライド体験へ。アユタヤ・エレファント・キャンプというところで体験した。他にもいくつかゾウ乗りスポットはあったものの、ぼったくられるなどの情報も散見されたため、一番評判の良いところへ行くことに。こういう体験自体致し方ないところもあるのだけどね。全くの寡占状態だし。並んでいる人も少なかったので、すいすい始まった。やっぱり象の背中は高いな。インドのラクダより全然乗り心地がいい。ゾウ使いが裸足で曲がってほしいゾウの耳を蹴ると、その通りに歩いてゆく。だいたい、ウィハーン・プラモンコンボピットあたりまで行って折り返しだ。向こうから別のゾウがやってきて歩道からはみ出る。車もゾウに合わせて速度を緩める。チップはチップはゾウが鼻で掴んでもらってくれる。やはり利口だ。ハンニバルの時代や、昔の東南アジア諸国でゾウが戦闘に駆り出されていたというのはかなりうなずけるな。終わった後には、写真を有料で現像してくれる。これはいい写真だ。
エレファントキャンプからほどない、Wat Phra Ramという遺跡へ。受付のお姉さんは自分たちが行く予定の遺跡を聞いて、それなら周遊チケットでモトは取れないねとアドバイスをしてくれた。中はほとんどお客も来ず、悠々と見学できる。
遺跡に行く前に、トゥクトゥクの兄ちゃんが今まで寝ていたのに自分たちが通ると執拗に、乗ってくれ、安くするからヨォと言ってきて楽しく受け答えをしつつ断ったが、気に入られてたのか遺跡から出てきたときにもまたついてきたよ。暇なんだろうね。どこかの三輪オートから、ラジオが流れてきて、それはタイの演歌のような響き。
お次は、ウィハーン・プラモンコンボーピットとワット・プラシーサンペットへ。遺跡には、たくさんの子供たち(小学生高学年~中学生)が校外学習か何かで来て、セイロン風だというChediのスケッチなどをしていた。日本と変わらない、音の出るお土産で遊ぶやんちゃなやんちゃな子どもたち。
レストランまでも暑いので、トゥクトゥクを使うことに、ドライバーが100THBから中々下げてくれなかったが、「駅から向こうの遺跡まで100THBだったぞ」と80THBで妥結。これでも高いだろうな。おまけにレストランの場所を間違えて通り過ぎたので、車体を叩いて、降ろしてもらう。
レストランは、白を基調とした、昔ながらの洋風なインテリア。忘れられているのかというくらい料理が出てこなかった。値段はバンコクと比較してリーズナブル。
回る最後の遺跡Wat Phra Si Rattana Mahathatへ。入り口では周遊券の価格について困っている人たちがいたので、さっき教えてもらったそのままのことを伝えた。
トゥクトゥクも飽きたので、グラブを呼んでみるとアユタヤでもやっている人がいたので乗せてもらった。帰りの列車までまだ時間がある。少しアユタヤの町中を散歩することにする。Chao Phrom Market という市場では、パラソルの下、生簀代わりの赤いたらいに、カエルやカニだったり、ウナギだかナマズだかの稚魚がいっぱい入っていて活きよくはねていた。「サワディ」と挨拶をすれば、可愛い声でおばさんが返してくれる。カエルの生肉がまるで鶏むね肉のように売られている。魚介類のほかにも、商店や八百屋のパラソルがあるけれど、人気は少ない。見たこともない調味料、何か唐辛子につけたような、小さいビニールにパンパンの汁。ブロッコリーやタケノコや知らないウリ類。ドラゴンフルーツ。しまむらのような、衣服類。これは何?といちいち聞きたくなるような楽しさがある。近くにPier船着場があるので、渡し船で駅側に渡ることができた。時間があるので、駅近くの最近のカフェでひと休憩。いろんなところに今風のカフェはあるものだ。
バンコクに戻ってきた。マンゴーを食べるために、Mango Tangoという有名なマンゴー店に連れていかれる。マンゴーパフェを食べた。チェーン店だけど、こんなに新鮮なマンゴーは見たことがないかも。
そのあと、時間があったので、プロムポン駅のThe EmQuartierというショッピングモールに行った。GENTLE MONSTERというアイウェアブランドやユニクロに行った。ユニクロで興味深かったことは、日本では見られないジブリアイテムが売られていたことと、ウルトラライトダウンとかの冬用アウターも普通に売られていたこと。地下鉄の冷房以外で着ることないだろ。需要があるってことかな。
バンコクの都会ぶりに驚いている。確かにまだ、胡散臭い部分や、貧しい働き方をしている人の数や、街のカオスぶり、郊外の未発展ぶりなどはあるけれども、バンコクだけでいえば、東京を抜かすのも遠くないのでは?と思ってしまった。ハード面だけではなく、中国、日本、インド、マレーシアなど様々な人種や宗教・信条を持った人々が暮らしていて、「自分とは違う人」(というのが適切なのか)とすれ違う頻度は東京の比ではなく、この多様性の内包力はこの先ソフト化の進む都市経済において強みになるはずだ。歩いているとそれを感じる。あとは政治と軍の力関係の問題などがあるだろう。
タイ古式マッサージを受けにいく。日本で事前に予約していたところで、怪しいところではないらしい。お店は、日本語の看板も多い在住の人たちの飲み屋街のような場所にある。この辺りはもはや東京の夜のよう。まず入ると、ハーブティーをくれた。日本人のスーツのおじさんがあとからやってきた。スタッフはタイ人のお母さんといった年代の方たちだ。着替えて、足を洗い、上の階の暗がりへ。ひさしで分けられたスペースに寝転がる。タイ古式マッサージが何かよく調べていかなかったけれど、受けたイメージは、ストレッチのハード版という感じか。足から脇腹からいろんなところを伸ばされて、最後は、馬乗りになってさながらプロレスのよう。ももなどの、そこ押さないでという個所の指圧は痛すぎたが、なんとか叫びをあげずに済んだ。マッサージというと何か特別なものと思いがちだが、これは例えばスポーツなど人々の日常と地続きな感じで、施術スタッフの地元のお母さんという雰囲気も頷ける。
体もすっきりしたところで、夜ごはんへ。大通りは行きかうバイクの音。っ宝くじをホワイトボードに貼り付けた自転車が通り過ぎる。大通りから裏路地に一本入ったところにあるレストランは、これぞタイの大衆食堂といった雰囲気。だがお客は皆欧米人ばかりというミスマッチが面白い。ローカル価格はもう少し安いのだろうか。多国籍な言語がとびかい、ファンや備え付けの扇風機がひっきりなしに回っていて、それと同じくらい忙しそうに、女性の店員が注文を受けては戻っていく。注文をしても聞いてくれているのか心配になるくらい素っ気ない。隣のドイツかどこかの集団は酔っぱらって大盛り上がり、奥で女将のようなおばあちゃんが、店員にお金だけはしっかり計算するように言っている。身なりの貧しい、子供たちが、猫と遊び、欧米人に何かせがんでいる。最初は面白がっていた彼らも次第に煙たがっていく。店員が追い払おうとする。そんなことも気にせず下品に笑う子供たち。古びた自転車をゆっくりと漕ぎながら男が通り過ぎる。誰かとバンコクで待ち合わせをするときはこの店で落ち合いたいそんなお店だ。
https://www.tripadvisor.com/Restaurant_Review-g293916-d797986-Reviews-Suda_Restaurant-Bangkok.html
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