見出し画像

自作キャラをプロデュースする動画をこしらえる②(MikuMikuMoving)

以降の説明は、あくまで我流であるとお断りしておきます。私はhobbyistでプロではありません(一応、映画学科を卒業しておりますが)。

台詞の作り方:

ヒロインなり二次嫁なりになったつもりで考え、台本にまとめます。最終調整は、自分で声に出して喋ってみる。これに限ります。声に出すと、感情の乗せ具合を自分で考えることになりますので、発注された声優さんと同じ立場で見直すことができます。

・無駄な言い回しや繰り返しを避ける。
 説明的な台詞を入れすぎると、聞いていてクドい場合があります。
・全体のリズムを考える。流れを作る。オチの台詞でまとめる、などなど。 聞いていて飽きない工夫を仕込むのがいいと思います。
・短さや長さを要領よく入れる。平板にならない工夫をする。メリハリを付ける。
 例えば、ポン・ポン・ポンと言わせてから、少し長めに喋らせる、など。
 例えば、Aであり、Bである。~という風に対義語っぽく、対にさせる、など。

自分の好きなキャラクターのテンプレがある場合には、そんなに悩まないで済みそうですね。例えば、ツンデレなら、言い回しが確立されてますので、それに倣ってアレンジしていけばよいでしょう。

WAVファイルの加工:

台詞のWAVファイルを受け取ったら、まず確認するべきは、クリップノイズ(音割れ)が無いかどうか。台詞以外のバックグラウンドノイズが聞こえないかどうか。宅録で活動されている方は、防音室とコンデンサーマイク、それにDAWソフトを揃えていらっしゃるはずですから、あまり心配する必要はないでしょう。

収録された音量が小さいな、と感じたら、とりあえずノーマライズしてもいいと思います。ただし、大声で怒鳴るような音量が同時に収録されている場合、ノーマライズしても、大して音量が稼げません。コンプレッサーをかけることになるでしょう。

DAWソフトウェアがあると便利です。オーディオ・インターフェースを購入するとプロ仕様のDAWソフトの「無料で使える版」が付属することも多いですので、それらがオススメです。ちなみに私の場合はPreSonusのStudio Oneを使っています。

MikuMikuMovingの場合、リップシンクを作るためにLip Synchloidというプラグインがあります。これは音声から口パクを作ってくれる優れものです。※今回は台詞劇であり、唄ではないことに留意してください。

ところが、Lip Synchloidの仕様には制限があって、オーディオソースが16bit 48kHzでないと動作してくれません。そのため、とにもかくにも、一旦、この16bit 48kHzのソースが必要となります。また、音量が小さいと、口パクがモゴモゴした口調で大きく開かない仕上がりになります。なので、音量の適正なオーディオにする必要があります。

というわけで、仮でいいから、ノーマライズやコンプレッサーをかけて音圧のある16bit 48kHzのソースを作らないといけないのです。

振り付け(コレオグラフィー):

ようやく、MikuMikuMovingで振り付けを行います。いわゆる手付けとなります(モーションキャプチャーではなく)。

台詞を喋らせながら、動作させたい一連の動きを考えます。本来は、動作も考えて台詞を考案して発注すべきですが、プレスコでの発注ならば、演者による表現の違いが許容されるべきでしょう。つまり台詞を書いた本人よりも、経験豊富な声優さんの方が理に適った演技をしてくれる場合があります。お任せで演じてもらうと、その辺がかなり明確に出たりすることがあり、参考になること請け合いです。

先にMikuMikuMovingでモーションをつけてしまってから(動画にしてから)、アフレコを発注する方法も考えられます。

最終的に、声を入れてもらって手付けした演技が、意図したノリに見えなかったり、滑ったり、という問題も起こりえます。台本の通りにやってみたら、よくならなかった失敗例です。それは仕方がありません。

四コマ漫画を読者視点で味わっている際、がっつりと笑いを狙ってくるよりも、少し力の抜けてる方が結果的に印象に残った、面白かった、なんてことは、あるある、でしょう。

実地経験の不足から来る、皮膚感覚を見当できなかったパターンなので、失敗して覚えるしかありません。逆に演技をされていて経験の豊富な声優さんは、その辺を先回りして分かっていらっしゃる場合があります。声優さんのオススメ演技を別パターンで頂いておく、というのも手です。

また、端からそこまで完成度を求めず、hobbyistらしい素人っぽさの味が悪くない、という雰囲気に持って行くのもアリかもしれません。

プレスコの例で続けます。
考案した一連の動きを分解して、ポーズの単位にバラします。このポーズ毎にキーフレームを打つわけです。

ある動作に割り当てたフレームの数で、かなり印象が変わってくるはずです。つまり、大して動かない緩慢なフレームが続けば、印象はのんびりとした、退屈なものに近づきます。逆に、短いフレームで矢継ぎ早に動作が起きれば、テキパキとした俊敏な印象を与えることでしょう。

視聴者に、動かないな、と思われてしまうのは不味いです。少なくともひとつは目立つ大ぶりなモーションをつけておくべきだと思います。

視聴者の目線がカメラである、という演出で今回は作っています。主観視点です。紙芝居方式のアドベンチャーゲームに近いとも言えます。しかし、パースのある空間で、小柄なメイドが背の高いご主人様相手に喋っている、という設定ですので、VRっぽい雰囲気を醸し出したいところです。

レンズを魚眼っぽくするとメイドの顔が歪みますから、そうはせずに、広角どまりにしておきます。

また、始終、正面顔ばかりというのも飽きが来ますので、最初は正面、次は正面から斜めへ、といった具合に変化をつけてみます。

カット割りについて。主観視点で進行するとはいえ、カメラを切り替えてはいけないわけではありません。映画的な文法に照らしてみれば、一人の被写体を中心にカメラが切り替わるのは不自然ではないからです。実際にはご主人様と被写体のメイドが密接しているというイマジナリーラインになりますが、ご主人様は映らないか、映っても黒塗りの人影である、といった風です。二人の距離が近いため、切り返しを使わない方向でいけます。

例えば、モンタージュとして、メイドが背伸びをしたら靴のUP、ご主人様に腕を伸ばしてネクタイを直したので横から全身、といったカメラ切り替えはごく自然に映るはずです。変化としてもメリハリがついて良さそうです。舞台も完成しているのであれば、引きのショットを(手前に物体を置いて、その物体越しに、例えばヤカン越しで)入れてみるのも良さそうです。

実写なら、ネクタイを直す手の仕草UPもアリですが、これをMikuMikuDanceに限らず、ポリゴンモデルで細かく手付けすることを想定してしまうと、とても大変になることが予想されますので、止めた方がよいでしょう。手が動いているんだろうな、という雰囲気でごまかすのが現実的です。あるいは、懐かしのSupermarionation、サンダーバードのように現実の人間の手を実写として使ってしまうのも味が合って面白いかもしれません。

メイドがあまりにくっつくほど近づいたので、胸がご主人様に触れてしまう、なんてカットは感覚的で甘酸っぱく、演出意図に合致しています。こういった雰囲気をどれだけ仕込めるか、が鍵となるでしょう。

そんな感じで今、制作中です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?