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か弱い声

「立場が弱い人に優しくしなさい」
母親にそう育てられた。

同じクラスの不登校気味でいつも独りでいる子がいたから声をかけてみた。
最初は「そう」「そうじゃない」を首で示すだけだったが日に日に心を開いてくれて話してくれるようになって一緒にいる時間が増えていった。

楽しかった。

その楽しさが少しずつ周りに伝わっていき、他の人たちも僕たちを中心に寄ってくるようになった。

気づけばその子は毎日登校するようになっていた。

その子はクラスでもみんなの中心になっていき毎日楽しそうにしていた。

僕はだんだんとそれを蚊帳の外から見守るようになっていった。

別に仲間外れにされたり、イジメられたりした訳じゃない。
けど、多分その子を取り巻く環境を気に食わなかったのかもしれない。
僕から距離を取ったのかもしれない。

劣等感と嫉妬。

他人に優しくし過ぎるのはよくないかもしれないね。

何かを訴えたい僕の心の声は風が簡単にさらって消える。

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