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バスに乗っていた。

昨日の夜、やっと読み終わった小説に煽られて、論文を夜通し読んでいた。
元々、夜型の生活をしているので、夜に寝て朝起きる日は苦手なのだけど、それでも、いつもは数時間、しっかりとベッドで目を瞑っている。

それでも昨日は、ベッドでジッとしていることすら、出来ない気がした。

バスに乗り、外の景色を見ていると、胸の中のモヤモヤとしたものが、また一段と固くなったような心地がする。

一ヶ月前を思い出す。

一ヶ月前、私はふと、何かに納得したような、何かが腑に落ちたような感覚を味わっていた。
同じバスの、同じ道の上で。

「あぁ、私はこれからこれをやるんだ」という諦めのような納得。将来を迷っていた心が、何処か一線を超えたような、突出した気配を感じていた。
高校をやめると決めた時も、アメリカに飛んだ時も、感じなかった感覚だった。

その当時は、それでもまだ、優柔不断な私のことだから変わるかもしれないと思っていたのだけど、この一ヶ月、毎日を過ごしていくうちに、少しずつ固まっていく意思に、私は驚きと安堵を同時に味わっていた。

今日、バスに乗りながら、眠気まなこの脳裏で、また一つ、意思が固くなったのを感じた。
ゆっくりと固く、冷たくなっていくそれは、小さい頃、海岸で拾った石のように、ずっと私の何処かに眠っている。

まだ、わからない。そう呟いてみる。
何年かけても決められなかったものが、こんなにすんなり決まってもいいのかと、逡巡する私がいる。
狼狽している。
私の意識を置いたまま、固まっていく意思に。

それでも矢張り、一ヶ月前、確かに意思は一線を越えていて、何度も何度も別の候補が湧き上がってくることはあれど、それは一度も、今の決定を超えなかった。

そろそろ、諦めないといけないのかもしれない。
心決める時期なのかもしれない。
そう思う。

あと、少しだけ、時間を置いたら、春先くらいに決断をしよう。
それまでは、後悔のないように、好きなことをやり続けよう。


#エッセイ #コラム #日記

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