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AURORA写真塾 ダイジェスト 2024.08 RAW現像

こちらの記事でお知らせした通り、2023年4月からNHK文化センター AURORA写真塾は東京・青山教室でオフラインの写真教室を開催しています。今回は8月の内容の一部を紹介したいと思います。8月のテーマはRAW現像についてです。受講者の皆さんにノートパソコンをご持参いただき、Adobe Lightroom Classicを使ってRAW現像の実践を行いました。


RAW現像のステップ

この写真を例に、Lightroom Classicを使ったRAW現像のステップを簡単に紹介してみたいと思います。

BEFORE

これはある日のランチを自然光で撮影したもの。料理が主題なので「美味しそうに見えるように」をキーワードに各パラメータを調整していきます。

明るさ・コントラストを調整して下地を作る

写真全体の明るさやコントラストが狙い通り(仕上がりのイメージ)になるくらいに露光量とコントラストを調整します。

ミッドトーンのコントラストを上げてメリハリをつける

上の写真では全体の雰囲気としてはフラットです。私はもう少しメリハリがある写真が好きなので、ミッドトーンを中心にコントラストを上げて整えていきます。
テクスチャ、明瞭度もプラス方向に。

わかりやすいようにトーンカーブは弄らず、数値の調整だけでコントラストを調整しました。このままだと、不自然ではないものの、好みよりもやや彩度が高いので、HSL等で色味を個別に調整していきます。
仕上がりがこちら。最初の写真よりも野菜の艶などに目が行くようになったと思いませんか。


撮影の段階で適切な光を見極めることが大切

影の輪郭がはっきりついた硬調な写真にしたいのに柔らかい光で撮ってしまったものや、自然な色味にしたいのにミックス光で撮ってしまったものなど、狙い通りでない、どうしようもない光で撮ったものをRAW現像ソフトの調整値で蘇らせることは困難です。思い通りのイメージに仕上げるためには、RAW現像によって魔法をかけるのではなく、撮影時に光を見極め、コントロールすることが大切なのです。RAW現像とはあくまで、予め作っておいたイメージに仕上げるための工程の一つだと私は捉えています。

迷ったときの3つのポイント

イメージのゴールを決める

撮影するときでも同じですが、RAW現像時にも同じように、どういう風に仕上げるというゴールを決めておきます。ゴールがないまま闇雲に調整すると迷いが生じてどう仕上げて良いか分からなくなることがあります。明るさ、コントラストはこどれくらいか、色味はどのような感じにするか(寒色、暖色、彩度、それぞれの色味など)決めておくようにしましょう。

好きな写真を参考にする

どうしてもゴールが決められない場合には、好きな写真を1枚用意してみてください。それを参考に調整してみましょう。参考にするときに、色については、白い背景が入っているなど、ニュートラルな色味が使われた写真を使うと参考にしやすいと思います。白背景の光が当たった部分や影になっている部分はモノクロで表現できる色なのか、それとも何色かに偏っているのかどうか、分析してみましょう。できれば画像データがあると、Lightroomなどでその部分の数値を見ることができるので参考になると思います。コントラストについても同じです。ハイライトはどれくらいか、シャドウの濃さはどれくらいかなど分析して、同じように仕上げてみましょう。それを繰り返していると、思い通りの仕上げ方というのが見えてくるのではないかと思います。

基準を決める

料理が主題であれば撮影時に美味しそうに見えるように光を見極めますが、RAW現像でも目指すところは同じです。美味しそうに見えるかどうか…その指標とは、自分が普段見慣れた色、形、質感であり、かつそれらの要素が最も良い状態であること。「鮮度が伝わる、色が自然で綺麗、形が整っている」などが挙げられるかなと思います。
客観的に判断して「誰が見ても美味しそうに見える」というのも一つの指標になります。



たまたま冷蔵庫にあった牛肉の切り落としとピーマンを使って、色についての比較をしてみたいと思います。

黒毛和牛の切り落とし。色味の補正をしていない、自然な色のもの。
やや発色を良くして、鮮度が良く見えるように見栄えを整えたもの。スーパーなどでお肉を買うときに、選びたくなるような見た目を目指してみました。
不自然に再度が高く赤い。こんなお肉のパックが売られていたら、買いますか?
色がくすんでいて、腐っているように見えてしまうかもしれません。
未調整のままの色合い。自然栽培のピーマンなので少し淡めの色です。
鮮度が良く自然で綺麗に見えるように色を補正したもの。
青っぽく彩度が高いピーマン。本物に見えないですよね。
くすんだ色のピーマン。鮮度が伝わりません。

生肉の写真で気分が悪くなってしまった方がいたらごめんなさい!
どう仕上げるかは好みに合わせて良いと思いますが、もし迷ったときには上記を参考にしてみてください。

RAW現像についてもっと詳しく学んでみたい方は、是非AURORA写真塾へ。まもなく10月期の新規受講者さんを募集します。

こちらで紹介したのは撮影テクニックのほんの一部。AURORA写真塾ではこのようなグラスドリンクの仕上げ方についても解説しました。

他にも紹介したいことが沢山あるので、来期でもRAW現像実践の回を設けました。 AURORA写真塾では9月の初めに、2024年10月から始まる教室の新規受講者さんを募集予定です。詳細は改めてご案内しますが、日程だけ事前にお知らせしておきます。

2024年10月期 日程 
10/5(土)10:00-11:30 フルーツで光の使い方を学ぶ
11/2(土)10:00-11:30 花のあるテーブル
12/7(土)10:00-11:30 クリスマス
2/1(土)10:00-11:30 バレンタイン
3/1(土)10:00-11:30 RAW現像 実践

AURORA写真塾では、皆さんの「やりたい」を実現できるよう、ご要望を反映させながらカリキュラムを決定しています。ご興味がありましたら、ぜひお気軽にご参加ください。


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