自分の身体なのに自分の思うように動かせない、こんなことってあるんだね

ジストニアという病名を診断されて、病院でできる治療を受けた。
首の左右筋肉にボトックス注射をうった。
診断される前には身体がおかしいのだと思い、整体やマッサージにも行っていた。
行った直後は体が楽になったと思うのだが、扉を出て数歩歩くころには体は元どおり、後ろにひっぱられてしまうのだ。

本当に不思議だった症状

実際には不思議だった、ではすまないようなけっこうきつい症状だった。

後ろに引っ張られて前に進む一歩が重い。冬なのに数歩歩くだけで汗だく。例えて言うなら20キロくらいの重りを首の後ろにぶらさげて前に進まなければならない、という感じ。なんのトレーニングをさせられているのかわからないが、勝手に腹筋が割れてきた。病気なのに。。。

これって筋肉育っちゃう病気なの??

そんなわけないけど、もはやそもそも自分の病気が奇妙すぎてどんななのかわからなくなっていた。寒い冬空の下、うしろにひっくり返りそうになる20キロの首を両手で必死に支えて歩く。はたから見たらストレッチしながら歩いてるだけの人に見えたようだが、本人は必死の一歩である。

家までの道のり。普通歩けば20分で着くはずの帰り道が、体の重さで1時間かかる。こんなときに限ってタクシーもつかまらない。家まで帰れるかどうかの不安。そしてお山の上にある家。この場所をとても気に入っていたのだが、こうなってみると試練でしかない。

やっとたどり着くと同時に床に仰向けに倒れこむ。

こうしていれば症状はでない。唯一のお友達は床。第二のお友達は壁。むしろこの2つなしでは生きてはいけない。

ジストニアは筋肉が意思とは関係なく力が入って過緊張の状態でこわばってしまい、不思議な動きになってしまう。パーキンソンで発症する人や、遺伝の人などもいるようだが、私の場合は突発的。しかもこれだけ短期間(なにかおかしいと感じ始めて1ヶ月ほど。強く症状を感じ始めたのは最後の1週間ほど。)で症状がここまで強く出るのは珍しいと言われた。珍しいという言葉にやった〜!と喜んでしまいそうになるが、決して褒めてもらったわけではない。

局所性のジストニアは自分がこの病名を知ってから、調べていくうちにピアニストさんや楽器の演奏をされる方、スポーツ選手などでよく目にするようになった。

局所性の場合普段の生活には大きな支障はないが、その動作をしようと思うと動かなくなってしまうらしい。

全体に症状がでてしまうタイプは、通常の生活が困難になる。それ以外は正常で内蔵の疾患があるわけでも、どこかに痛みがあるわけでもないのだが、精神的ダメージはなかなか大きかった。

ジストニアと診断されて最初に実際に体験した治療と状態

ジストニアです。難病です。といわれ、とにかく手当たり次第病院や治療方法をさがしまくった。お金のことはこの際置いておいて、できることはなんでもするつもりだった。あまりに高額(うんびゃくまんとか時価なんてものも実際存在していた)なものには手は出さないが、ある程度は治るのであればなんでもしよう!と思っていた。

試したものと、実際私が感じたことを以下に参考までにまとめてみた。

・ボトックス注射(病院にて診断後)をうった→私の場合は効果がみられなかった。もう少し言えば症状が強く出てしまう箇所もあった気がした。

・指圧(ゴリゴリのものではなくとてもソフトな全体指圧)→やった直後の体は楽だったが、数分で症状はもとにもどった。マッサージとして触れてもらってる安心感と気持ちよさで気持ち的に楽だった気がする。

・脳と体のバランス整体→施術は1回30分くらい。カウンセリングはかなりしっかり。アクティベータという道具を使って弱い刺激を与えながら脳とのバランスを整えていくもの。とてもおもしろく興味深かった。続けてみてもいいかと思ったが、1回の治療がなかなか高額なのと、頻繁に通った方が効果が高いようだったが、とにかく体が辛いので頻繁に通うことが困難。治療費も保険外でまともにかようと月20万くらいいってしまいそう。治るのであれば背に腹は変えられないが、やはり遠くて通うのが大変。

・お祓い→ご祈祷してもらいお祓いもしてもらう。神様おねがいします!な気持ち。この場にいるとそれなりに軽くなった感じがする。

・針治療→針といっても全身に打つのではなく1、2本の針をうってくれる。とてもおもしろい治療院で体を透視のようにみてくれる。私の場合はわらにもすがる思いでこの治療院へいった。いろいろな治療院や病院を回った中で、はじめて、大丈夫治るよ、といってもらえた。長期的に体をよくしていくもの。針を打ってもらうとその場で体の反応は出るが、症状の改善はすぐには見られなかった。しばらく何回か通う。家からだとタクシー→電車→バス→電車→タクシーというフルコースなため、数回は通って見た。希望はもたせてもらったが結果はしばらく様子見ないとわからないかな、、、と言う感じだった。

・オイルトリートメント→信頼できるセラピストの友人にお願いした。この症状で体もガチガチだが、初めましての人に体を委ねるには勇気がいりすぎた。持つべきものは信頼できる友。安心してお任せ。数回トリートメントに来てもらった。これはジストニアを治すためといううよりも、その過緊張でガチガチになってしまっている体を少しでもリラックスさせてあげたかった。体は緩むので吸いにくかった呼吸が楽になる。そして人の手はやっぱり安心感が増す。

・セルフトリートメント→自分でデコルテ、首、手の届く背中を毎日オイルで流した。シンギングボウルも使った。これは、毎日やったというよりも、やらなければ眠れないくらい体が辛かった。

・温熱療法→体に熱を入れて行くもの。あたたかくて気持ちいいが、後のジストニアの反応が強く出てしまう気がした。

こんな感じで様々な治療を試した。

ちなみに、診断されて1ヶ月くらいの間、食べてないわけではないが、無理やり体に流し込んでいたような感じ。あれだけごはんを食べるのが好きだった自分からは考えられないような状態。体はどんどんやせ細り、引っ張りは強く、1日の大半を仰向けに寝て過ごすような状態が続いた。家から外に出る移動は難しく、ごはんとおふろは起きてくるけど、お風呂にはいるのも怖かった。上がった瞬間壁にもたれかかり、息はあがっていた。

これが最初の現状。

最初の数ヶ月治療以外にやったこと

家から動けなかった数ヶ月、とにかく本を読んだ。

治療院でおすすめされたものから、自分が読みたいと思っていた本、セラピスト関連の本や医療関係の本。薬草や植物の本。最後には医療関係者が使う解剖学書まで買っていた。

とにかく、自分に知識をつけて、医学で無理といわれることならば、なんとか自分の治癒力で治したいと本当に思っていた。

この時に読んだ本は、ランダムに選んだり、誰かから勧められたりしたもので、一見なんの関連性もないように見えたが、読むとこわいほどすべての内容がリンクする。今の医学だけではすべての病気を治すことは不可能なこと。見える世界と見えない世界の境界線がなくなってきていること。そして、その見えない世界が大切だということ。自然治癒力や植物療法やシャーマンの話。自分の好みで偏った本をセレクトしたならわかるが、著者もお医者さんから科学者、編集者、獣医師、ヨギーニ、お庭づくりの本、薬草の本など内容はかなり様々なのになぜこんなに?と思うほど内容が一緒なのだ。

私は見えない世界のことは信じているが、スピリチュアルに傾倒している人でもないし、占いなどにはまっていたりするわけでもない。

ただ、なんでこんなにもおんなじ内容なの???なにが言いたいの???って自分の中で読めば読むほど考えた。

私のからだがこうなっている原因は、筋肉じゃない。脳でもない。

ココロ...

なのかな。

この時はまだ、ぼんやり自分の中でそんなことを考えていた。

本を読んでも治るわけではないけれど、なんとなくどこかへ連れていってもらえるような気持ちになれた。

もしかしたら、まだなにか希望はあるのかも、って気持ちになれた。

とにかく体はうごかない。デコルテと背中と首の筋肉はガチガチ。

そのせいで呼吸も辛かった。

毎日毎日、明日目覚めたら治っていますように...と期待をこめた。

1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月目。

寒い寒い雪の日をこえ、もうすぐ春かな、な季節がやってくるころ。

このときの私は、このあと自分に希望が見えることなどわからずに、ウキウキもできず、ひたすら良くなることだけ願っていた。




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