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伊之助きまぐれ映画館

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観た映画の感想を気まぐれに書きます。備忘録がわりなのでネタバレ、脱線いたします。伊之助はMパテー商会、松竹蒲田撮影所、大映など映画界で働いていた祖父の名前です。
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2020年10月の記事一覧

「ある殺人 落葉の頃に」

「ある殺人 落葉の頃に」

この作品は湘南を舞台にしながら、夏の眩しい日差しや浜辺が似合わない作品だ。
確かに海は登場するが死者が運ばれる場所として描かれる。
ある人が「登場人物が皆、爆発寸前」と評していたが、中に起爆装置がある爆弾ではなく、電子レンジで加熱されている生卵が並んでいる。

しかしどれも爆発することなく、映画は静かに終わりを迎える。

何人かの観客の「よくわからなかったね」の言葉を映画館に響かせて。

ソワレ

ソワレ

「日本にも、勇敢なやつが、ひとり在つたぞ。あいつは、すごい。知つてるかい?」
「ありますか。」青年たちも、眼を輝かせた。
「清姫。安珍を追ひかけて、日高川を泳いだ。泳ぎまくつた。あいつは、すごい。ものの本によると、清姫は、あのとき十四だつたんだつてね。」

安珍清姫と聞くと、太宰治「富嶽百景」の一文がまず浮かぶ。清姫は泳ぎまくったようだが、この映画のヒロインを演じる芋生悠は走る、走る、走る。

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